日経記事:『トヨタ、HV特許2万3000件を無償開放 副社長が会見』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事:『トヨタ、HV特許2万3000件を無償開放 副社長が会見』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. アライアンス・事業提携
経営戦略 アライアンスの事例と経営手法としての活用と課題

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
4月3日付の日経新聞に、『トヨタ、HV特許2万3000件を無償開放 副社長が会見』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『トヨタ自動車は3日、ハイブリッド車(HV)など電動車に関し、自社の関連技術の特許を使用する権利を無償開放すると正式発表した。開放する特許は約2万3740件に上る。世界的に燃費規制強化の波が広がる中、競合他社に技術を無償提供し、HVの市場拡大を目指す。。。』
今まで何度か、私は本ブログ・コラムでトヨタ自動車のオープンイノベーション;水平分業方式のやり方を取り上げてきました。

そのトヨタがオープンイノベーション;水平分業方式のやり方をさらに徹底して行っています。

その一つが、今回の記事になります最強の競争力をもっているハイブリッド(HV)技術の無償提供です。

トヨタは、HVのプラットフォームを世界市場に広げて、HVの市場拡大を図るとともに、より安いHVを普及させる狙いがあります。

HVを手掛ける自動車メーカーが増えれば、部品メーカーはトヨタ方式のHV技術に対応した部品やデバイスを作りますので、これらの調達コストが下がります。

EVは、現時点で究極の環境対応車であり、ヨーロッパ、中国、米国のカリフォルニア州やニューヨーク州などで、強力に支持されています。

しかしながら、EVの本格的な普及には、ガソリンエンジン車と同じ実用的な性能をもつ電池の開発・実用化を待つ必要があります。

このため、EVや燃料電池車などの究極的な環境対応車が開発・実用化されるまで、HVは繋ぎの役割が期待されます。

欧州では、1キロ走行当たりの二酸化炭素(CO2)排出量の目標値の平均を2021年に2015年に比べて、3割近く引き下げ、平均95グラム以下にすることを求めてられています。

このCO2排出量を達成するには、ガソリン車の燃費に直すと1リットルあたり24.4キロメートルの水準を要求されます。

トヨタのHV技術は、このCO2排出量基準を満たすと言われています。

また、トヨタは、4月4日に、米ゼネラル・モーターズ(GM)およびフォード・モーターとの3社共同で、自動運転車の安全基準づくりで連携すると発表しました。

この3社の米国市場での自動車シェアは、50%以上になります。この「ビッグ3」が、自動運転車の安全基準を作れば、事実上の米国市場でのデファクトスタンダードになります。

基本的には、日本市場も当該安全基準に準拠する可能性があります。

3社は、自動車規格の業界団体、米自動車技術者協会(SAE)と共同で「自動運転車安全コンソーシアム」(AVSC)を組織化するようです。

この3社共同の安全基準作りも、トヨタのオープンイノベーション;水平分業方式のやり方の一つになります。

このような状況から、トヨタは、かっての垂直統合方式で、自社のみで行っていた事業展開のやり方を変えたと断言できます。

トヨタが、近々に米国市場で競合するのは、EVの自動運転車の開発・実用化にまい進する米グーグルです。

この巨大IT企業に対抗するために、トヨタは徹底したオープンイノベーション;水平分業方式のやり方で、事業展開をしています。

国内企業は、ベンチャーから中堅・大手まで、ほとんどの場合、生産年齢人口の急減少で市場規模が小さくなる国内市場だけでは、収益の維持・拡大ができません。

多くの国内企業は、必然的に米欧アセアンなどの海外市場で、事業展開を行う必要があります。

このときに、大きな役割を果たす手法の一つが、オープンイノベーション;水平分業方式になります。

オープンイノベーションは、「Win/Win」の仕組みで動く、他社との事業連携(アライアンス)のやり方になります。

今後、多くの国内企業は、このオープンイノベーション;他社との事業連携(アライアンス)を、トヨタのように巧みに、計画・実行していく必要があります。

この必要性を認識している企業には、トヨタのオープンイノベーション;水平分業方式のやり方を、良く見て理解することが重要です。

ところで、私は下記セミナー「共同研究・開発の進め方と技術アライアンス成功のポイント」の講師を務めます。
https://www.j-techno.co.jp/seminar/seminar-26963/
開催日時;2019年04月18日(木) 10:30-17:30
山本担当時間帯 14:30-17:20

本セミナーにご関心のある方は、受講してください。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム