- 山本 雅暁
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
- 神奈川県
- 経営コンサルタント
対象:新規事業・事業拡大
- 下村 豊
- (経営コンサルタント)
日経記事;『鴻海、米中でEVの分散生産検討 事業「スマホ超え」も』に関する考察
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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
3月21日付の日経新聞に、『鴻海、米中でEVの分散生産検討 事業「スマホ超え」も』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『電気自動車(EV)事業に参入する準備を進めている台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が米国と中国で完成車の生産を検討していることが明らかになった。基幹部品を台湾などで集中して作る一方、需要地で完成車を組み立てる「分散型」の生産体制を築く。自動運転のソフトで日本の新興企業と組むなど外部企業との連携も広げる。。。』
電気自動車(EV)の事業分野には、多くの企業が参入しつつあります。本日の記事にあります鴻海もその1社になります。鴻海は、台湾を代表する情報通信事業者であるIT企業の一つになります。
最近、米アップルが自動運転機能付EVの開発・実用化を本格的に加速していることが記事になっています。米大手IT企業の中では、グーグルやアップルに加えて、アマゾンも当該市場に参入する考えをもっていることが報じられています。
これらのIT企業は、自動運転機能付きEVを、既存の自動車と同じ枠ではとらえていません。言わば、EVをタブレット端末やスマートフォンなどと同じ、動く電子端末機器としてとらえています。
グーグルやアップルは、決して自動車メーカーにはなりません。彼らは、インターネットの出口端末機器市場を、自動運転機能付きEVの導入により拡大しようとしているのです。
テスラモーターズは、既存自動車メーカーと同じ事業基盤で事業展開するEVメーカーです。この会社は、電池を含めて主要部品を内製化しています。
しかし、テスラ以外の新規参入企業は、決して既存自動車の事業基盤での事業展開を行いません。
テスラはEVあくまで、自動車として位置付けていますが、他のEVメーカーは、ほとんどの場合、動くインターネットの電子端末機器としてとらえています。
トヨタやホンダなどの既存自動車は、このような全く既存の自動車に対する付加価値のとらえ方の異なる企業と激しい競争を行うことになります。
加えて、鴻海のビジネスモデルは、スマートフォンと同じようにEVの製造受託に特化するものになるようです。鴻海は、水平分業方式でEVを廉価に製造するように動きます。
このことは、自動車専業ではない企業が、より一層EVの市場に参入できることを意味しています。
もし完全な自動運転レベルであるレベル5のEVが開発・実用化されると、自動車に要求される安全基準自体が変更される可能性があります。もし安全基準が緩和されると、EV市場への参入障壁が低くなります。
トヨタの経営トップは、今が100年に1度の大変革期にあると言っている意味がここにあります。
自動運転機能付EVの開発・実用化は、多くの参入企業がIT分野で使われている水平分業方式で行われます。マイクロソフト、アップル、アマゾン、グーグルなどの米大手IT企業は、既存事業基盤を急速に破壊・再構築してきました。鴻海は、その動きをバックヤードで、製造受託者として支えてきました。この企業は、EVの分野でも同じことを行おうとしています。
トヨタやホンダなどの既存自動車メーカーは、これらの新規参入者とどのように戦うのか、今までのやり方に固執せず、彼らとの経営スピードに負けないように事業を行わないと市場から退出させられるリスクがあります。
自動運転機能付EVの開発・実用化における既存自動車メーカーにとってのキーワードは、水平分業方式の徹底活用、AI・IoT対応を実現するためのオープンイノベーション、自社にない技術資源を獲得するための徹底的な協業・連携(アライアンス)の積極的な活用になります。
同時に、DXを徹底化させて、経営スピードを上げることも必要になります。既存自動車メーカーは、今までの縦割り思考や組織体制、既存のやり方にとらわれない、経営のやり方が重要であり、必要になります。
今後の国内自動車メーカーの動き方に注目していきます。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
このコラムの執筆専門家
- 山本 雅暁
- (神奈川県 / 経営コンサルタント)
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
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