
- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- クリティカルシンキング/バイリンガル教育
「日本の成績は悪いですが留学出来ますか」「お金さえ払えば留学もどきは出来ますが卒業は出来ません」
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「留学」をすべて日本で自分が知っている制度に当てはめて考えてしまう幼さ。
能力のなさにも関わらず、誰でも「留学」出来ると思い込んでいるわけはここかぁ!と思える質問です。
日本の高校は、余程のことがない限り3年経てば卒業出来ますからね。
カナダはそうはいきませんよ。
そんな簡単な当たり前の事実さえも知らずによく「留学」を思いつくもんだと呆れてしまいました。
(質問)
高校留学(卒業留学←公立の高校)
には入学試験がないと聞きましたが、不合格はありえますか??
3あれば留学できると聞いたんですがそれは全ての教科なんでしょうか?
いきたい学校はAbbotsfordです!
EFエージェントは実際どうですか?
(回答)
カナダで日本からの優秀な留学生のサポートをして30年近くになります。
カナダからの直接忠告です。
親のお金を無駄にする前に、よく聞いて下さい。
「聞いたんですが」という言葉が質問の中に多いですね。
恐らく色々なエージェントのサイトからでしょうか。
エージェントのサイトは信用しないこと。 これ鉄則です。
エージェントはどんな生徒でも構わず、送った数に応じて相当額のリベートをもらいます。
リベートは、あなたが払った授業料の15〜20%ほどを、留学先のスクールボードが払います。
「留学は厳しいですよ」などとサイトに書くと留学希望者が激減しますから、嘘で塗り固めたバラ色のことが書かれてありますよ。
エージェントの「担当者」もノルマに追われて必死です。
とにかく生徒数を獲得するのが課されたですから。
留学先の高校が日本人留学生を受け入れるかどうか。
留学先でどんな勉強が出来るのか。
この2つは全く異なりますので、これも要注意。
1.留学先の高校が日本人留学生を受け容れるかどうか。
受け入れ先は、留学生の払う高額な授業料を必要としています。
政府の予算では足りない分に留学生の授業料を割り当て、地元カナダ人高校生が恩恵を受ける仕組みです。
コースも増やしたり、教師も増やしたり、設備を改築したりなどに使われます。
従って、ほとんどのスクールボードは、日本での悪い成績にも目をつぶります。
通知表に2があったらダメですよと、書いてあるHPもありますが、実際は誰でも構わず受け入れます。
年間百万以上も払ってくれる留学生を断るのは勿体ないからです。
2.留学先にどんな勉強が出来るのか。
これは全く別次元の問題です。
カナダで生まれ、英語とクリティカル・シンキング環境で育ち、更にクリティカル・シンキングの訓練を9年生までじっかり受けてきたカナダの同年代の高校生と同じ授業には入れてもらえません。
英語も満足に出来ず、日本の学校でさえも好成績が取れず、エージェントの嘘を丸々信じ込むほど幼い日本人高校生が、そんなカナダ人高校生と同じクラスでついていけるとは、まさか思っていませんよね。
そんなクラスに日本人を入れたら、現地の高校生にも先生にも大迷惑です。
従って、留学生はESLという英語の出来ない留学生用のコースに入れられます。
アボッツフォードの高校には結構大規模なESLがありますので、英語も出来なく、母国でもうまくいかないまま親に送られた低級な留学生がいっぱい入っています。
クリティカル・シンキングの準備の出来たカナダの14〜15歳が履修するENGLISH10には、ESLのレベルを卒業するまでは入れてもらえません。
個人差はありますが、もともとの能力がある程度あり、学習サポートも受けた留学生で1年、そうでない留学生の場合は、先の見込みも絶ちません。
2年目になっても、果たしていつEnglish10に入れるのかも見えない状態です。
カナダの高校卒業資格には、English10,11,12がすべて必要ですので、日本と同じように3年で卒業出来ると思っているのなら、大ショックを受けることになります。
それも、5年かけてでも卒業にこぎつけられる場合の話です。
ほとんどの日本人高校生は、いつの間にか消えて行きます。
中卒のまま帰国したのでしょうね。
アボッツフォードの留学生リクルート担当者とはずいぶん前に一度話したことがあります。
隣のラングレーが、留学生マニーを必死で追っかけて、誰でも構わず受け入れ授業料を稼いでいるのに刺激された地区です。
学校を決めるのも、ただ単にホームページに書いてあることだけに惑わされず、直接メールで問い合わせをし、担当者がどんな人物なのかをよく見極めることが重要です。
のちのち、その担当者があなたの命綱になりますから。
エージェントは自分たちが一番儲かる地区を紹介するだけですので、それも要注意。
それよりも、3があるけ留学出来ますか?と心配している時点で、留学は見直すべきだと思います。
Watch out!
このコラムの執筆専門家

- 大澤 眞知子
- (クリティカルシンキング/バイリンガル教育)
- Super World Club 代表
Be Bilingual
カナダ在住。カナダからオンライン講座カナダクラブ提供。留学生へのアカデミックサポート(エッセイ指導)留学希望生へのアカデミック準備 (Reading, writing, エッセイ基本)Critical Thinking指導、最新の理論に基づくBilingual Education特別提供中。
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