- 堀江 健一
- カウンセリングルーム エンパシィ 代表責任者
- 東京都
- 恋愛恐怖症・心の問題カウンセラー
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前回のコラムでは、誰でも辛い感情とは向き合いたくない物ですが、その感情にフタをしてしまうことで、楽しい感情にもフタをしてしまうことにもなり、そしてそれがウツ状態に至ってしまう事がある、と言うお話をしました。
今回は、辛い感情にフタをしてしまっていた場合、心身に及ぼす影響についてお伝えしてみたいと思います。
恋愛に関して言えば、「失恋」という経験は心の傷になってしまいかねない辛い感情ですよね。
失恋と言っても様々なケースがあるでしょう。
●恋愛関係になる以前に、失恋してしまった。
●一定期間恋愛関係になれた恋人がいたのに、何らかの理由で、別れてしまうことになった。
ケース別の詳しい話は、後々するとして、失恋すると誰でも、悲しくて辛い気持ちになるものかと思います。
ある人は、もう傷付きたくなくて、恋愛から遠ざかろうとする気持ちになるかも知れません。
ある人は、傷が癒えれば、また次の恋を探し始めるかも知れません。
失恋してしまうような事は、誰にもあることなので、次の恋を探し始められる方は、悩みはあるでしょうが、精神的には健康と言えるでしょう。
失恋して悲しくて大泣きしてしまったり、やけ食いしてしまったり、やけ酒したり、相手に怒りをおぼえたり、友人に慰めてもらいたくなったり・・・
そんな風に感情を表現できるのは、辛いでしょうが健康的なのです。
今回のコラムでは、もっとカウンセリングなどのケアが必要な方の例を取り上げてみます。
失恋に限らず、あまりに辛い気持ちがあると、心にフタをして何も感じないようにしてしまう方がおられます。悲しみも怒りも感じないように。
そして特に「寂しさ」を。
最初は意識して心からそうした感情を占め出しているのですが、段々それが習慣化してくると、意識して占め出そうとしなくても、無意識的に何も感じない状態が「普通」の状態になってしまいます。
それはそれで、心の平和を保てるのですが、普通の人なら、「そんな事をされたら、頭にくるでしょう!?」というような事を他人にされても、怒りの気持ちさえあまり湧かないような状態になってしまいます。
楽しいなと思ってもおかしくないような出来事があっても、自分では楽しいと思えず、笑えません。
ですから、感情が表情に現れる事が少なく、無表情になりがちです。
自分の感情と切り離されてしまっているのです。そうでない人からしたら、そんなことがあるのか?と思われるかも知れませんが、本当です。
でも、切り離されてしまっているだけで、感情が無くなってしまったわけではありません。
文学的な表現で言えば、心の奥深くに、封印されてしまったのです。
心理学的に言えば、抑圧されてしまったのです。
医学的に言えば、乖離(かいり)されてしまったのです。
カウンセリングでも、過去の出来事などお話しされている時に、悲しかったり、辛いと思うだろうなぁと言うことがあって、「それは悲しく思われたでしょう?」とお尋ねしても、「・・・別にそんなに悲しく感じたりはしないですけど・・・」とお答えになられたりします。
でも眼からは涙が溢れていたりします。そこで「でも泣いていらっしゃるのではないですか?涙が出ていますよ?」と尋ねると、「あら、本当だ。なんで涙が出ているんだろう?不思議ですね?」なんてお答えになります。
強がって言っているのではありません。本当にご本人は、悲しくて泣いているのに、「悲しくて泣いている」と言う自分の感情がわからなくなっているのです。
では奥深くに追いやられている感情はどうなるのでしょう?
心身に「症状」として現れることがあります。「心身症」と呼ばれています。
例えば、以前も書きましたが、「安心感」や「幸福感」といった感情を司る脳内物質に「セロトニン」というものがあります。腸にもその物質を受け取る受容体という器官があります。
そのため、感情のバランスが崩れたり、乖離してしまっていたり、緊張が強いと、腸の働きが悪くなります。
便秘が酷くなったり、下痢になったり、それを交互に繰り返してしまったり。
「過敏性腸症候群」と呼ばれる症状です。
朝、学校や職場に行く電車の中で、お腹の調子が悪くなるので、電車に乗るのが不安になります。快速や急行だと、トイレに行きたくなっても乗車区間が長いので、すぐに降りてトイレに行けないために、各駅停車にしか乗れなくなります。
街中で、いつでもトイレに行けるように、デパートやスーパーなど、どこに行けばトイレがあるかチェックするようになります。
楽しい約束があって、外出したいのですが、お腹が心配なので、キャンセルしてしまったりするようになります。
本人は大変辛い状況です。でも「全部、お腹のせい。病弱なせい」としか思いません。神経質なせいなのかな?緊張しているからなのかな?くらいは感じているかも知れませんが、まさか自分が感情を切り離してしまっているからバランスが悪くなって、その影響がお腹に出ているとは思いません。
切り離してしまっているという意識もないのですから、当然ですが。
そうした心身に出る症状は、心の奥の封印されてしまった、もう一人の自分からの「SOS」なのです。
このコラムの執筆専門家
- 堀江 健一
- (東京都 / 恋愛恐怖症・心の問題カウンセラー)
- カウンセリングルーム エンパシィ 代表責任者
何より優しく共感を持って、あなたの味方になります
2021年公認心理師(国家資格)取得13年間で1万人以上の相談実績を基に、深く人を理解し心のもつれた糸を解きほぐします。恋愛が出来ない、自己否定感、人と接するのが怖い、夫婦間の亀裂など、人間関係全般、アスペルガーの方の社会適応などのご相談。
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