今回からは人事考課の仕組みや課題について書いてみたいと思います。人事考課=評価と一般には捉えられていますので、評価を中心に考えてみます。
よく「人が人を評価するのは難しい」と言われますが、私達は日常的に人を評価しています。「あの人は格好いい」とか「だらしがない」とか。あるいは「このお店の料理は美味しい」とか「美味しくない」というように提供されるものを通して、作った人の腕前を間接的に評価することもあります。
このように、改めて考えてみると私達は常に周囲を評価して暮らしていることに気づきます。にもかかわらず「評価が難しい」のはなぜでしょうか?
人が人を評価するとき評価する人の中には主観的ではありますが、評価の基準(価値基準)が存在しています。
この基準は、主観的であるがゆえに、「格好いい」と評価する人がいる一方で、「どこが?」と疑問を呈する人も出てくるわけです。一般的には、人が何かを評価しようとするとき、主観的な基準に頼ります。そのため、同じ人を評価するときでも、評価する人によって違いが生じるのです。特に人事考課においては、評価される人(被考課者)が評価に納得がいかなければ、仕事の励みにならないどころかやる気を失ってしまうことさえあります。
そうしたことから「人が人を評価するのは難しい」と言われるわけです。では、この難しいことをどのようにすれば、簡単にできるのでしょうか。もちろん、簡単に出来る方法などないのですが、これまでの人事考課の実務の歴史の中で様々な工夫がなされ、人による評価の差が起きにくい仕組みが作られてきました。次回以降で、その中身について解説していきたいと思います。
ところで、私は「評価」と「考課」の二通りの言葉を使っています。一般的に同じ意味で使われていますが、私は「評価とは、管理者が部下を評価すること(言うなれば採点の方法)」であり、「考課とは、企業が定めている評価の仕組み(評価の方針や方法を全体としてみたもの)」としてとらえています。この稿では、この定義に沿って話を進めていきます。
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