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村田 英幸
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映画の著作物と二次的著作物利用権

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二次的著作物

翻案(27条)、二次的著作物(2条1項11号)、二次的著作物において原著作物の著作権が及ぶ範囲、

共同著作物(2条1項12号)と保護期間(51条2項括弧書き)、

 

(翻訳権、翻案権等)

第27条  著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

 

二次的著作物とは、「著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物」をいう(著作権法2条1項11号)。

原著作物と映画の著作物は、共同著作物となる。

 共同著作物とは「二人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの」をいう(2条1項12号)。

 

 

(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)

第28条  二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。

 

最高裁判例は、原著作物の著作権者は、自己が創作した表現だけでなく、二次的著作物において二次的著作物の著作者が新たに付加した創作的表現に対しても権利行使することを肯定する(最高裁平成13・6・28民集第554837頁(江差追分事件)、最高裁平成131025日・裁判集民事第203285頁(キャンディ・キャンディ事件)など)。

 

これに対して、有力説は、28条は、原著作者が創作した部分が二次的著作物に表れている部分についてのみ権利を有するが、二次的著作者が創作した部分については、原著作者は何ら寄与していないのであるから権利を有しないと解すべきである(中山信弘『著作権法』133~134頁、作花文雄『詳解著作権法(第2版)』)頁224頁、田村善之『著作権法(第2版)』(2001年)374頁、渋谷達紀『著作権法』186頁~189頁)。

 

 

(注)クラシカル・オーサーとは、「映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者」である。音楽の著作物などは、契約で定めるなどの例外を除き、原則として、映画の著作者に帰属することはない。

したがって、29条により、映画の著作物の原著作物の著作権は、原著作者に帰属したままである。

映画の著作物は、原著作物の二次的著作物である。例えば、小説を映画化した場合には、映画の著作物は、小説の二次的著作物となる(27条)。

映画の著作物には頒布権(26条)が認められている。原著作物の著作者は二次的著作物についても、同様の権利を有する(28条)。そのため、原著作者(クラシカル・オーサー)の権利の及ぶ範囲が問題となっている。

クラシカル・オーサーである小説や音楽の著作者にも、原著作物の創作的表現が現れている部分に限り、映画の著作物について頒布権があると解されている(中山信弘『著作権法』132~134頁、279~280頁)。

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