勇気を奮って親の会社を引き継いだのに - 独立開業全般 - 専門家プロファイル

中山おさひろ
東京都
起業コンサルタント

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対象:独立開業

尾崎 友俐
尾崎 友俐
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2024年04月26日更新

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勇気を奮って親の会社を引き継いだのに

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 勇気という言葉は、使い方一つでどうにでも理解される言葉なので注意が必要です。JR横浜線での踏切事故では、人命を救助しようとして自分が死んだ女性は勇気があります。ただ、素直にその勇気を評価する気にはなれません。勇気ある40歳の人が死んで、線路に倒れていた74歳の人が助かったのですから。

 川や海の水難事故では、子供が深みで溺れて、助けようとした中年男性が亡くなるケースはよくあります。時には泳げない人が、助けようと勇気を振り絞って飛び込み、死んでしまうようなことは毎年夏になると発生しています。このような場合、知人縁者が勇気を讃えても、マスコミが賞賛して記事を書いたなど聞いたことがありません。

 当然、政府や行政の首長が、亡くなった人の通夜に行って、感謝状を渡すなってこともありません。人の勇気は、その人がよかれと思って行う行為で、他人がとやかく言うことではないかも知れません。ただ、政府や行政が組織を挙げてその勇気を賞賛するとき、勇気は売り買いされたような薄っぺらいものになる気がします。

 2年前、会社経営をしていた父親が急死して、息子のMさんは急遽跡を継ぐことになりました。それまで、機械メーカーで製品開発の仕事をしていて、会社経営の経験はまったくなし。父親名義の会社の借金を引き継ぐのは息子が一番という、親族や銀行の言葉に勇気を奮って会社社長になりました。

 この勇気は、結局失敗に終わります。Mさんにとってまったく知らない世界のうえ、製品や資金を騙されることも重なって、3年で会社は破産することになりました。Mさんは行き場を失くし、父親の葬儀にはあんなに集まった人たちも、誰もいなくなって一人で後処理をしました。

 現在は、新たに会社勤めをしながら残った借金の返済をしています。勇気を賞賛する人がいますが、それは勇気を奮って上手くいったから感動する話なのであって、失敗したら「向こう見ず」ということにもなりかねません。どちらにしても、政府や行政が人気取りのためにちょろちょろするのは、せっかく命がけの勇気をぶち壊しにしてしまいます。

【一言】
 起業するにも、勇気は必要です。こればかりは、誰にでもできるものではありません。わたしが思うのは、しっかり準備した上で勇気を奮って起業するべきで、緊急を要する起業はしないこと。また、行政や政治が煽る起業は、起業家のためではなく、自分たちのための政治的な煽りですから、決して口車には乗らないこと。あくまでも、自分のスタイルで起業を実現させることです。

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