- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
建物の値段・・6
最後にもう一つ・・
これは見積もり自体を安くするわけではないのですが。
経済的にバランスの良い家を建てること。
元の予算から見たバランスのとれた価格配分の家にしなければならない・・
ということです。
大変失礼な言い方をして申し訳ないですが。
それは・・
分不相応な家づくりをやめること。
ということなのです。
分不相応なというのは、あなたが家を建てるのにふさわしくないなどということではありません。
その家に分不相応な部分があるということ・・
全体の価格や他の機能とかけはなれた一点突出な部分のある家は非常に見積もり価格が高くなります。
何とかローコストでと頑張っているのに便所だけが何百万もする家・・
この便器っていうのは昨今は本当に異常な値段です。
売る方はエコとか環境とかにかこつけてやたら必要でもない付加設備のついた物を売って儲けようとしますので、まあ経済活動としては当然なことなのですが。
かくして・・
今では何億円の大豪邸から1千数百万円のローコスト住宅まで注文住宅と言えばどれもこれもついている便器はみな同じという便器メーカーがただ喜ぶだけの事態に陥っています。
環境のためには大変良いことではあるのですが、どうしても売電をしたいのでと10kwもの太陽光発電と蓄電池を備えた普通の家・・
その重さの太陽光発電と蓄電池を支えるために普通の大きさしかないのにとんでもない構造体費用がかかっています。
それこそちょっとやそっとの売電くらいでは元が引けません。
時々いらっしゃるのが、どこかの本で読んでいらした特殊な断熱工法などを頼まれる方・・
北海道ならそれでいいでしょうが、ここは名古屋です。
もちろん何の効果もこの地域では得られませんが、悪いことではありませんのでそれでもとおっしゃられればやります、が名古屋ではその工法を扱う業者がいませんので北海道から呼び寄せるためとんでもない価格になります。
効果の全くないことにとんでもないお金が必要です。
こういった家の作り方をすると、その部分だけではなくそれに付随する全体の価格が全て高くなります。
高価な便器を入れるために下手をすると水道管から変わってきて全設備価格が跳ね上がります。
家はその部分だけで成り立ってはいないのです。
家造りをする際にはどんな家でも構造体に何%、内装に何%、設備機器に何%、と・・
予算を配分して振り分けて考える必要があります。
一般的には建材や工法や機器類に何の要望もせずに間取りやデザインだけで設計事務所や工務店に設計を頼むと・・
最もバランスのとれた建材などで設計が行われて提案されます。
これが最も経済設計であるということです。
当然、お客さんには要望がありますのでそれはその上で網羅されなければなりません。
そこで、何が本当に必要であるのかよくよく考えなければなりません。
絶対に必要な基本的な構造・性能・機能を備えた大きさの間取りではいくら必要になるのか?
その上で何をどれだけ足すのか?
最初からこの便器ありきでは他の性能や経済性からすると便所だけ分不相応な家になってしまいます。
見積もりを安くするためには価格バランスをとることが重要なのです。
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