この本の最も気になったところは、「会社をよくするのに必要なのは、「スキル」よりも「センス」を磨くことの台詞にはぐらっときました。日ごろからとても気になっているのが、経営スキルばかりに依存し過ぎる起業家が多いことです。スキルはどこまで行ってもスキルで、小手先の利益を上げることは可能ですが、会社を多くの人から必要とされる会社にするのは無理です。
経営センスの源は、ミッションや企業理念に由来しているように思います。起業家と従業員とお客さんの3者が満足し、社会での役割を明記するのがミッション。センスはその延長線上にあって、楠木さんは「良し悪し」ではなく、「好き嫌い」の次元と言い切っています。
また、「会社の中には、数人はセンスのよい人がいるので、そのような人に経営を任せる」なんてことも言っています。大学の先生の場合、イメージして書く舞台は、ほとんどが大手企業の話。これから起業を目指す人とは、舞台仕掛けとは少し違いすぎる嫌いはあります。
起業する場合は、スキルだ、センスだなどとは言っていられません。自分の中でセンスを取り込んでいくしかありません。ただ、スキルばかりに依存した経営は、ともすると方向性をまったく考えない経営に陥ることが多いです。お客さんに好かれない会社は、結局長く続かないことになります。
【一言】
新潮新書の「経営センスの論理」は、ダイヤモンド社が運営するオンラインサイト「ハーバード・ビジネス・レビュー」で連載した記事をまとめたものです。そのため、1回読みきりの記事をつなげているため、内容が飛び飛びになっていて、まとまりのない内容なのが欠点です。ただ、最新の経営を知るには役立つ本ではあります。選挙になると思い出すのがこの傑作コントです。暇な人はみてくだい。
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