- 田中 紳詞
- 株式会社Exciter 代表取締役/主席コンサルタント
- 東京都
- 経営コンサルタント/ITコンサルタント
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対象:会社設立
今回は、資本金の金額について書きたいと思います。
資本金とは何ぞや、というと、要は元手のことで、フリーランサー(個人事業主)ではこの言葉を使いませんが、同義の存在はあり、要は事業を営むための資金についてのお話です。
(※不動産などの対価を資本金に組み込むという方法はありますが、ここでは割愛します)
昔は、会社を作るにあたって、株式会社の場合は資本金が1000万円以上なければならないという縛りがありました。
その額に満たなくても○年以内までに増額(増資と呼びます)すればよい、というルールもありましたが、それにしても大きなハードルであり、貯蓄がそれに満たなければ融資・出資してもらうしかないわけで、おいそれとできるものではなかったようです。
しかし今は法律が改正され、資本金は1円でも開業することができますが、この記事でコメントしたいのは、この点についてです。
資本金が少ない=会社のお金が少ない、ということ
よく起業が身近になってきたせいで「さあ、みんな起業しようぜ!」的な論調もあるのですが、前述の通り資本金の額とは、すなわち元手のことです。
元手がないと、どういうことが起きるのでしょうか?
例えば資本金=元手となる現金が100万円あれば、例えば仕入や経費の支払いがある場合、そこから払います。つまり、会社の費用を会社のお金で支払います。当たり前ですね。
ところが、資本金1円で起業した場合はどうでしょうか?
払いたくとも、会社のお金は1円しかありません。それでは誰が払うのでしょうか?
そうです。社長がポッケから支払います。
会社としては費用が発生し、社長に立て替えてもらったお金は社長からの借入金として処理します。
もちろん、当初の資本金は抑えて、社長が立て替えたお金を資本金に振り替えるという手法はあるため、これが悪い方法という意図はありませんが、そういったことを鑑みずに「資本金1円でも起業できる世の中だぜ!イエー!」というのは、あまりにヒドい発想です。
予め、登記や書士さんへの支払いなど起業すること自体にかかる費用や、事業を開始するために必要な先行投資、売上が入ってくるまでになければならない当面の現金などを計算し、資本金とするか融資を受けて借入金とするかはともかく、必要なだけの額を計算して用意しましょう。
融資を受けるにせよ、確かな担保などがなければ、元手以上に調達することは容易ではありません。
それに、資本金の額が全てではないにせよ、あまりに小額の会社というのは、傍から見れば「事業主がロクにお金を出していない、あるいは出すことができない、あるいは出そうと思わなかった会社である」と見えます。
取引先の立場になった時、そんな会社と取引したいですか?
それが全てではないにせよ、です。
だからといって、多ければ多い程よいということでもない
資本金の額によって、納める額が変わる税金もあります。
例えば消費税が挙げられ、資本金の額が1000万未満の法人の場合は、少なくとも一期目は消費税が免税となります。
自らが納税義務を負わない場合であっても、顧客側としては消費税の支払い義務があるため、こちらから請求することになります。
つまり、その期間だけ貰い得になるわけですから、これは馬鹿になりません。
当初は少ない資金で開業し、消費税の納税義務を負ったら増資するという進め方は、大いにアリです。
ただし、人材派遣業や金融業のように、資本金の額に縛りがある事業もありますので、これらは全ての事業に該当するわけではないことを申し上げておきます。
資本金を増やす方法
最初から多くの資金を用意することは簡単ではありません。
また、資本金の額は設立時に決めた額が据え置かれるわけではなく、後から増やすこともでき、これを増資と呼びます。
代表的な増資の方法には、下記があります。
・自分(経営者)で更にお金を出す
・誰かにもっとお金を出してもらう(出資を募る)
・自分が会社に貸したり立て替えたお金を充当する
・利益を出して、それを資本金に充てる
ご参考までに。
このコラムの執筆専門家
- 田中 紳詞
- (東京都 / 経営コンサルタント/ITコンサルタント)
- 株式会社Exciter 代表取締役/主席コンサルタント
業務システムからモバイルまで、IT業界の無差別格闘家
専門はSAPなどの業務システムとコンサルティングですが、それに限らず企業にとって必要なITとその活用を考え、幅広い分野の経験を積んできたと自負しております。ITには多くの分野がありますが、一面ではなくトータルで勘案したプロの仕事をお届けします。
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