『先生』って
「未来に期待が持てるからそのポストを与えられた」
わけではないですね。
評価されたのは、もう終わってる『過去』についてで、
しかもその評価をした人は『更に過去』に評価された、
オジイさんたちです。
一方、大学へ学びにきているあなたは、
過去をひとつも持たない、未来に活躍するしかない人です。
図を見てください、階段状の図の、黒いライン、
20歳というところ、今あなたたちはこのへんですね、
そしていずれ30歳になって40歳になる。
その時、あなたは必ず何かしてるでしょう。
生きてさえいれば、必ずなにかやってるはずですよね、
ものを作って残すとか、活動するとか、
つまり、あなたは必ず、
あなたのステージ(世界・場)で活躍するのです。
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いま20歳のあなたたちに教えてる教授は、50歳とかでしょうか。
図の茶色いライン、ステージで生きている人達です。
この人達は、すでにひと世代前のステージの上で生きているわけですが、
あなたたち未来への世代へ向けて、
「世の中、社会、建築、○○ってもんは、こういうもんだ」
と自信満々に教えてくれるでしょう?
下手すれば80歳の学長がまだ力を持ってたり、
GAっていう、ナンバーワン(?)建築雑誌のボスの二川さんも
最近お亡くなりになる間際まで、
毎月出てくる新しい建築を、誌上で評論してた。
このおじいさんたちが、
図の黄土色ラインの人達です。
でも…こんな滑稽なことがありますか?
未来人へ向かって、すでに終わってる過去のひとが、
教えてるんですよ。
未来人に教えを乞うならまだしも。
この図を見たら、
彼らが活躍した『二世代前のステージ』での話しが、
未来のステージを予言しているわけが無い、
それがわかりますよね?
こういう気の毒な状況に、
教えてる過去のひとも、教わってる未来人のあなたも、気が付いてない、
そう考えて見ると、まったく滑稽でしょう?
これが、あなたたちがいま居る、
大学です。
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ただ、
この先に、どんな未来になるのか、
それが今の時点では誰にもわからないですね。
本当はタイムマシーンに乗って
未来をカンニングして来たいわけですけど、
私もしょっちゅう思いますが、
それができない。
そうすると、人は過去をカンニングしようとする、
なぜかと言うと、
次の図を見てください。
この年表のように時間も時代も、
一方向へ流れている、と思い込んでいるからです。
未来は過去の延長にあって、
だから過去からの流れをよーく見つめれば、
未来の方向が見えてくる、って
一般的にはそう考えている人が多いのです。
だから先達たちは、若者へ一生懸命教えてくれます、
善かれと思って、親切に。
でも、それは全部古い情報、価値観なんです。
未来を作るあなたたちにとって、
残念ながら、そのほとんどは役に立たない。
だから親切心だけありがたく受取って、
評価なんかは「へー昔の人にはそう見えるんだー、
と、ただ聞いておけばいい。
なにを批評されようが、気にする必要は全くないんです。
大学は過去を集積した場です。
でも、言い方を変えれば、
これは巨大な墓場です。
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どうですか、
人それぞれが別の時間を生きている、
だって、原発が3機吹っ飛んで、
人々の価値観がハッキリ2分された、
こんな奇妙な社会になるなんてこと、
過去の流れをいくら見ていたって、
だーれも予測はできなかったでしょう?
だから、
過去の人々の延長に、今の人々が居る、
それはきっと違いますね。
しかも、2分された向こうとこっちでは、
別の時間、別の世界を生きていますよね。
私は私の時間を生き、
あなたはあなたの時間を生きてる。
だから未来は、あなたの外にはなくて、
あなたの中にあるのです。
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だけど、その肝心なものが、
なかなか簡単には出てこない、少し時間が掛かるし、
その期間は苦しいよね。
だからつい、過去をカンニングして、
過去のひとがいいねぇって言ってくれる評価基準に合わせて、
作っちゃう、行動しちゃう。
気持ちはわかるけど、
これをやってたら、絶対にダメです。
私にとってのステージはさっきお見せしたように、
例えば、新しい木造で建築をつくることや、
社会に潰されない子どもを育てること、などです。
自分自身のステージに気がついたのは、
34歳くらいでした。
そこでのやることが、増えたり減ったり変わったりは、
あると思いますよ、
でも私はこの先50歳、60歳になっても、
同じステージでやっているはずです。
だから必ず時代遅れになって、若い人達に抜かされていきます。
…というか、未来人にはじめから追い抜かされてます。
でもそれで良いのです。
だって、
『自分のステージ』で『自分の時間』を
過ごし続けて良いのなら、
こんな幸せなことはない、と思いませんか?
それは一見カッコいいようですが、
実際には、自分の中側を無視して、
外側(人の評価)に自分を合わせ続ける、
人生ですよ。
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あなたにもそのうち「これが自分のステージだ」って気がつく瞬間があるでしょう。
ちゃんと、活きて生きてれば。
死んだまま生きててはダメですよ。
そのとき、本も、先達からの評価も、
過去の情報はほとんどいらないって、わかるでしょう。
それが本当の『自信』ですね。
いまあなたに自信がないのは当たり前、
それで良いです。
ただ、大学へ行くのなら、
『評価』によって歪められないように、
この滑稽で気の毒な状況を、
まずはしっかり意識しておいてください。
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…という私からの話しも、
「ヘー」と思って聞き流せば良いんですよ。
だってコレ、私が私のステージを生きながら、
辿り着いた答えですからね。
この考え方が、もし普遍の本質であれば、
あなたの役に立つでしょうし、
今の時代を生きるための術でしかなければ、
あなたのステージで生きるに於いては、
このままでは役立たない考え方かも知れません。
(明日へ続きます…)
このコラムの執筆専門家
- 須永 豪
- (長野県 / 建築家)
- 須永豪・サバイバルデザイン
響きあう木の空間
森や山と人、地球が健全に回っていく様子を見届けたい。 木を街に届け人の営みに森をもたらし木が、森が、地球が、生命が、人が、そして星々や宇宙までもが響あいはじめるそんな木の建築空間宇宙の意図が起動する響きあう木の空間をつくろう
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