不動産と私③~土地価格の不可思議
総量規制が実施される前には高騰する土地価格を抑制するために時限立法として施行されたのがミニ国土法でした。土地取引の価格規制が実施され、取引の前に売買予定金額の届出をして審査を受け、高すぎると判断された場合には適正価格の指導を受けるというものでした。
需要と供給の市場原理で定まるべき価格が行政判断で規制される、という考えればおかしな規制を受けることに陥ってしまったわけです。
国土利用計画法の条文には「市街化区域」で2000㎡の土地取引においては届出を求められています。しかし「ミニ国土法」と呼ばれて規制区域に指定された市区町村では100㎡や200㎡の取引から取引金額に規制が行われたわけです。
一部には100㎡未満の土地面積で届け出を必要としない取引において、相変わらず土地ころがしで転売利益を目論む取引等も見受けられましたが、やがてボクシングのボディブローのような効果が出てきて取引価格の上昇気運が阻まれ、地価を抑えていったことは事実です。
しかし自由経済の市場原理として取引は自由に行われるものであり、行政判断とはいえそこに第三者の意向が加えられることにすごく違和感も覚えました。
確かに過剰な土地価格は正しいものではないと考えますが、市場はやがて適正価格に誘導する能力を持っていると信じていましたので尚更でした。
何れの判断が正しいかどうかの議論はともかく、規制がなされた後のバブル崩壊により長期間に亘る土地の値崩れ、資産デフレ、景気低迷という「負の経済」が生んだ社会の変化に直面し、この長かった期間に私の人生においてとてつもなく大きな体験をして不動産について否応なしに学習させられた意義は大きい。
また三大都市圏とりわけ首都圏と地方の格差が大きく広がり、超高齢化社会に向かう人口ピラミッドの形態にもこれからの土地価格の在り方のヒントや使命が隠されている気がします。
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