大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「カナダ高校留学 - 隠し続ける深刻なホスト不足」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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カナダ高校留学 - 隠し続ける深刻なホスト不足

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留学 大学・高校正規留学 2019-08-02 03:32

2012, 2013年のカナダローカルニュースを調べているうちにこんな現実に遭遇しました。

School Boardが管轄する高校留学プログラムが「ホストファミリーになりませんか〜」広告や記事を載せています。

かなりの数に上ります。


実は2012年よりももっと前からホスト不足は大きな問題だったのですが、州政府が「もっと留学生を入れろ〜〜〜」と旗振りをし、各受入れ学区も授業料収入に目がくらみ、節操なく高校留学生を呼び込み始めたこの時期から事態はますます深刻化しています。


1990年前半から始まったカナダ公立高校留学プログラム。

最初は地元でも信用されている裕福で善意あふれるカナダの人たちがホストファミリーを買って出ました。

いい時代でしたよ。


ところが、「留学生=経済効果」という公式しか見えなくなったカナダ側は、エージェントが連れて来る留学生は誰でも制限なく受入れ始めました。

成績も、本国でも素行も、そしてもっと呆れることには「卒業などとても見込めない低い能力の生徒」にも「卒業は出来ますよ」と受け入れ始めたのが2000年になる手前です。


エージェントも授業料からのリベート欲しさに、「英語が出来なくても大丈夫」「カナダの高校は誰でも入れます」と嘘八百を並べ日本の未成年を勧誘します。


結果、この10年で留学生総数が大きく増え、School Boardは入ってくる金額に目が眩んでいます。

トランプアメリカを嫌う留学生がカナダに殺到したことも、カナダにはラッキーな要因でした。


ところが、ホームステイの現場にジワジワと迫っていた大破綻には、お金に目がくらんだSchool Boardもエージェントも気がつかなかったようです。

アホですね。


質に関係なく高校留学生を入れた結果、カナダの良い人たちがホストファミリーから引いてしまいました。

「ホストはもう懲り懲り。」と。

英語も出来ない、カナダの常識もない、躾も出来ていない、無礼な外国人高校生に辟易したのというのが当然の成り行きでした。

2000年になる以前から起こり始めたホストファミリーの逃亡です。


残ったのは、毎月のホームステイ費が家計に必要な人達しかいないホストファミリーリストです。

当然のことながら経済的に困窮している移民家庭のホストが増えました。

「え!白人家庭じゃない!」と日本から来た甘々の留学生はショックを受けます。


じゃ、白人ならOKでしょうか?

家族関係が壊れた、子供が薬物中毒、無職、借金を抱えている、給料だけでは生活出来ないなどの白人家庭も多くなりました。

住宅価格、生活費が高騰を続けるカナダでは、毎月の家賃も払えない人が多いです。

住宅ローンも破綻手前の人が多いです。

給料が1日でも遅れると支払い不能に陥るカナダ人の割合も高いです。

「カナダのホストファミリーの経済事情 - 借金に喘ぐ懐具合」

 

また「お金に甘いカナダ人 - ホストファミリーに現れる社会現象」にも書いたように、カナダ人の金銭感覚の甘さもその現実を物語っていると思います。


もともと10軒ほどしかいないホストファミリーリストを持つSchool Boardに、留学フェアでセールスをし、エージェントをプッシュし、50人もの留学生を勧誘した結果のホスト不足が毎年、毎学期のように起こっているのが「カナダ高校留学の実態」です。


もう20年以上も続くホストファミリー不足問題。

「お金が必要なホスト」を集め尽くしてもまだ足りない問題が表面化した2012年頃。

改善されないホスト不足を埋めるため、奔走する留学プログラムhomestay coordinatorたち。

留学生からのホストへの不満などには「誤魔化し」のいい加減な対応をします。

ホストチェンジと言われても代わりはいないし、ただでさえ少ないホストファミリーの機嫌を損ねたくないですから。

求人サイトには常に”homestay coordinator”募集広告が様々なSchool Boardから寄せられています。

給料の割に合わない職場なのでしょうね。


カナダでホームステイ中(予定)のみなさん、ホストファミリーに疑問を感じることがあればすぐに声をあげたらいいですよ。

我慢する必要は全くありませんよ。

あなた達にはその権利がありますから。


ご相談もお聞きしています。


Don’t be shy.



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