大澤 眞知子
オオサワ マチコグループ
「アジア人高校留学生が嫌われる町」- 新学期3週間で帰国してしまった高校留学生
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1年前の2月。
後期の新学期が始まり3週間。
BC州の東、ロッキー山脈が始まろうとする山岳地帯の小さな町Nelsonに留学したアジアからの高校留学生が去って行きました。
たった3週間のNelson留学でした。(地元のニュースより)
“Is it true that people here don’t like Asians?” との言葉を残して。
他の留学生から「Nelsonの地元高校生はアジア人留学生を歓迎してない。」と聞いても頑張って通い続けた学校で、実際アジア人への敵意を身を持って体験したそうです。
「うちも留学生の授業料収入がほしい!」とカナダ中120を越えるSchool Districtが高校留学プログラムを作っている現状。
社会環境も、地元カナダ人の人種差別意識も、異文化に対する必ずしも好意的でない態度も、綺麗事を並べたInternational Student Programの宣伝で覆い隠し、「大歓迎しますよ!」と留学フェアやエージェントを使い未成年の外国人高校生を勧誘しています。
この記事に取り上げられているのはNelsonという町を中心に広がるKootenay School Districtという受入学区です。
先日の受入学区調査では、非常に丁寧で温かい回答をくれた所です。
それだけに、この記事が物語っていることの重大さを感じます。
留学生プログラムの担当者の仕事は「出来るだけ多くの留学生を呼び込み授業料収入を上げる。」です。
ところが、このNelsonの地元では、留学生が授業に割り込むので地元高校生が卒業に必要なコースを履修出来ないという問題が2年程前から起こっていたそうです。
留学生獲得がうまく行き過ぎたのか、School Districtの高校運営が下手くそなのか、せっかくの授業料収入を授業枠を増やしたり、教師を雇ったりとかには使えなかったのかと不思議です。
卒業目前の地元高校生が必修単位の授業を取れない事態は、School Districtの落ち度です。
なのに、地元の人たちがそれを「留学生が来たから」と、敵意を持つなどは言語道断です。
腹を立てた親たちも、「留学生のせいでうちの子が卒業出来ない!」と煽った様子が記事に書かれています。
悲しい根性ですね。
そんな風潮が出来てしまったNelsonの町には、隠しても隠しきれないカナダの問題が隠れています。
(第二次大戦時、日系カナダ人が強制収容され僻地の収容所に送られた出来事を知っていますか?
その収容所のひとつがこのNelsonのすぐ北にあるSlocanという町です。
日系人など来るな!と地元民の敵意と差別はひどかったようです。 町のUnited Churchが先頭に立ち、日系人差別運動をした歴史もあります。 地域白人はそんな意識を受け継いでいるのかと、疑心暗鬼になってしまいました。)
カナダは広い広い国です。
バンクーバー、トロントなどの都会では移民で成り立つ他民族主義のカナダが目の当たりに存在します。
白人が少数派民族になりそうな勢いで、実に様々な人達が世界中から集まり生活しています。
有色人種の嫌いな白人も、キリスト教以外の価値観は認めない!と息巻く白人も、大人しくならざるを得ないほど多様な人たちが暮らしています。
ところが、少し都会を離れたとたん、人口分布が様変わりします。
このNelsonの様に、バンクーバーから659キロも離れた山の町はほぼ白人の場所です。
人種差別や価値観の違いなど感じる機会も余りないほど、白い町です。
また、カナダの小さな町の特徴として、もともと住んでいた住人同士の結束が強く、新参者には馴染むのが難しい所です。
未成年の高校留学生には、厳しい毎日だと感じます。
こんな状況は、カナダの田舎すべてに当てはまることだと思います。
「日本人が少ないところに行きたい」「白人が多いところがいい」などの留学希望を頻繁に耳にしますが、Nelsonの例に見るようなマイナス点が非常に大きいことも認識して下さい。
じゃ、やっぱり大都会の高校留学がいい?
今度は、学校は100人を越える留学生で溢れかえる状況に出会います。
ほぼ中国人で占める高校もあるくらいです。
ホストファミリーも移民が大多数です。
困りましたね。
「高校留学」が想像を絶するほど難しい理由がそこにあります。
アジア人留学生であふれるバンクーバーなどの都会、白人生徒が席をアジア人留学生に奪われ始めた田舎。
「カナダ高校留学」内部から破壊寸前の様相です。
現在留学中で困っている方、留学希望の方、よく事態を見極め、正しい決断をして下さいね。
ご相談もお受けしています。
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