大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「カナダ高校のIB プログラム - 不人気です」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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カナダ高校のIB プログラム - 不人気です

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留学 大学・高校正規留学 2019-02-16 04:06

2018年にいただいたご相談で一番多かったのが「高校留学するならどこがベストですか」で断トツ他を大きく引き離しています。

次が「カナダの名門私立への留学アドバイス、どこがいいですか?」

面白い現象だなと感じました。


問題の多い公立高校留学は最初から外して考えるケースが増えていると思います。

しかも、ご相談を受けた留学希望の子供さんは、日本での成績も良く、それを一層高めるための高校留学を考えているケースです。

能力のある日本の高校生が、カナダに払う授業料のもとを取れるような留学先環境を模索するお手伝い。

今後も増えると思われます。


そして、こんなご相談「カナダのIB プログラムはどこがいいですか?」「この公立高校のIBプログラムをどう思いますか?」がチラホラ舞い込んで来ました。

IBはカナダではそれほど人気のプログラムではありません。

もともと英語が母国語の国ですし、中学・高校レベルの教育は、正にIBプログラムが行っているのと同レベルのクリティカル・シンキングを訓練するものです。

また、特にIB資格などがなくても、カナダの高校を好成績で卒業していれば、カナダ・アメリカのどこの大学にでも入学出来る条件が整っていますので、必要性がないんですね。


しかし、1990年代後半から10年程前までは、各地のスクールボードが、我も我もとIBプログラムに参入しました。

なぜでしょう?

地元の高校生はIBには興味はないというのに?


もちろん、スクールボードの狙いは、留学生です。

もとから高い留学生の授業料に、更に多額な上乗せが可能なIBプログラムですから、狸の皮算用がカナダ各地で行われたようです。


ところが。

皮算用には大きな間違いがありました。

エージェントが送り込んで来る留学生の質が異常に低かったことです。

IBプログラムのレベルになど、10年かかっても届かない留学生たちの英語と学習能力レベル。

ということで、夢のごとく消えた「IB に留学生を呼び込んで儲けるぞ!」プランです。


その結果、10年程前から各地のスクールボードでは、IBプログラムをキャンセルする所が続出しています。

急激に数が減っているIB プログラム提供公立高校。

これが現在のカナダのIBプログラムの結末です。


昨年の10月になりますが、オンタリオ州のUpper Canada School DistrictもIB プログラムを廃止を決めました。

その理由は:

1.プログラム運営に多額の費用がかかる(年間$130,000)

しかも、その費用には州からの援助はない。

2.生徒がほとんど関心を示さない。

3.遠くからIBを受講する生徒用のスクールバスがない。 従って近い所からの生徒しか受講出来ない。

4.教師はIB指導の資格を取る必要があり、授業外でも生徒には多大な量のケアが必要。

従って、教師の確保が難しい。

5.通常の高校授業の内容は、IB内容とほぼ同じなので、わざわざIBプログラムを開講する必要性がない。


IB プログラム開始以来この状態が続いていたのを放置して来たUpper Canada School District 。

来年からは、プログラムレベルを維持するためには運営費用が倍になるのを受け、廃止が決まりました。

これまでの赤字は$1.8 million ドルだそうです。

ありゃ。 留学生が来なかったんですね。 お気の毒に。


廃止をボードの理事たちに訴えかけた教育長「IBプログラムに留学生がやって来ることを期待していましたが、皆無でした。」


日本国内ではIBプログラムを提供する学校が増えているようですね。

英語の出来ない日本の教育下では、将来を考え、世界が認めるレベルのIBを希望する親も子供も潜在人口は多いと思います。


しかし、英語を使う、クリティカル・シンキングの国カナダでは、日本のみなさんが考えるような特権意識はIBプログラムには付随していないことをよく認識して下さい。

カナダの公立高校の「大学進学組」と同等レベルの授業が取れる能力を持つ日本人高校生なら、わざわざ何倍もの授業料を払い「私立高校」やIB校などに行く必要のない国がカナダということを理解して留学計画を立てて下さい。

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