大澤 眞知子
オオサワ マチコグループ
外国で働くということ(日本式思い込みを排除)
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「留学して外国で働きたいです!」というご相談が多いです。
前回のコラムでも指摘したように、日本の学校制度、就職の仕方をそのまま外国に当てはめてしまっている誤解が目につきます。
特にカナダ・アメリカなどの英語圏で学位を取り希望の仕事を手に入れるには、まず日本式思い込みを排除することから始めて下さい。
先日もこんなご質問に回答しました。
「今中学生です。将来はアメリカのディズニーに就職したいです。カリフォルニアの芸術大学を出ると就職出来ると聞いたのですが、どのくらいのレベルの大学ですか。」
(回答)
日本の教育制度のせいだと思いますが「。。。大学卒業」という就職の仕方への思い込みがありますね。
そのような就職方法は存在しないのがカナダ・アメリカです。
「。。大学を出た」より、「大学でどんな専門知識とスキル」を身につけ、それを実社会で使えるかどうかが就職の鍵になります。
数多くの留学相談を見ていると、そのに大きな勘違いをしている質問が多いのに気がつきます。
「大学」という枠組みに自分を当てはめるのではなく「生まれ持った自分の能力」が一番効果的に伸ばせる専門分野を持つ大学を自分に合わせて選ぶこと、これが留学です。
まだ中学生ということですので、時間がいっぱいありますから、次のプロセスを経てよく考え、準備して下さい。
1.あなたの生まれ持った能力(ギフトと言います。親の遺伝子からもらった贈り物ですね、いわば。)は何ですか?
日本では今まで考えたこともない人がほとんどだと思いますが、ヒントとしては、特に努力をしなくても人よりよく出来ることを考えることです。
人には誰でもギフトがあります。 そしてそれが人よりよく出来ることで、興味を持ち、どんどん確立した自分のスキルとなって行きます。
例:数字を覚えるのが得意な子供は、周りの数に興味を持ち、頭の中に数学的思考が育って行きます。将来の勉強分野としてはコンピューターサイエンス、数学、科学分野などが向いてますね。
2.ギフトをみつけたら、ディズニーは企業としてどんな能力・スキルを持った人材を求めているのか調べて見て下さい。
例:Product Design 部門に応募しようと思えば、一体どんな専門知識とスキルが必要か。
Marketing 部門と協力し、消費者の求めるデザインについてのデータを分析、チームを組み結果を追跡し。。と詳細が書かれています。
https://www.glassdoor.ca/Jobs/Walt-Disney-Company-Jobs-E717_P3.htm
3.自分の能力を一番生かせそうな職種をみつけたら、そのためには大学で何を学ぶべきかを調べます。
例えば、Product Design 部門なら、経済、マーケティング、数字の概念、コンピューターサイエンス(データ分析のため)は必須でしょうね。 デザインも自分が創造するというより、消費者動向に合わせたデザインを選別するスキルが必要だと思いますので、何らかのVisual Artの訓練は必要かも知れません。
アメリカもそうですが、特にカナダの大学は日本のように学部ががっちり決まっているのではなく、自分の希望に合わせて単位を取って行きますし、大学間の単位互換も簡単に出来ますので、複数の教育機関からの単位を合わせて学士号を取ることも可能です。
英語が母国語でないことで、英語の訓練にかなりの時間を要しますし、上記の専門分野を網羅していくには結構な年数も必要ですので、心しておいて下さい。
4.アメリカもカナダも、日本のようにみんな一緒の就活は存在しませんので、個人的に希望する会社にアプローチすることになります。
これも厳しい現実ですが、外国人であるあなたが大学卒業後すぐにDisneyに採用される可能性はゼロに近いです。
経験もないし、外国人用のビザも必要ですし、英語も問題なく使えるレベルには到達していません。
(これも誤解が多いですが、英語圏の大学を卒業したからと言って、仕事で普通に英語が使えるレベルに到達する日本人は多くはありません。)
5.まずは、ボランティアかパートタイムで、出来るだけDisneyで希望する職種に近い経験をたくさん積むこと。
その経験と、大学で学んだ専門スキルを履歴書に書いて、やっと応募するレベルになれると思います。
6.経験を積みながら、出来るだけ高い教育レベルを目指すのも将来の就職に有利に働きます。
自分の学士号の専門分野を更に伸ばすべく、大学院で勉強します。 修士号が出ます。
そのくらいの教育レベルをアメリカで達成すれば、英語のレベルも仕事で使うに不自由なくなるはずですので、応募するにも有利です。
というように、決して簡単なプロセスではありませんし、おそらく日本の高校卒業後10年程度はかかる可能性があります。
また、日本の高校卒業時に、アメリカの大学に正式入学するに足る英語力に足りない場合(ほとんどの日本人がそうです)英語の訓練にも年数が必要となります。
このような道のりを頭において、大学に入学に必要な英語力(TOEFL90以上)そしてアメリカ・カナダの大学に必須のクリティカル・シンキングの訓練を中学生のうちから始めるといいですね。
少しでも道が近くなるように。
将来Disneyで働く自分を想像しながら、しかし、甘く簡単に勘違いするのではなく、現実を見据えてじっかり準備をして下さい。
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ひとつひとつ自分の能力をどう伸ばせるかの挑戦が、最終的に外国での活躍の場にたどりつくと思います。
「何大学を出て。。。。に就職」という固定観念を吹き飛ばすことができれば、そこから大いなる冒険が始まります。
Good Luck, 日本のみなさん!
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