対象:経営コンサルティング
現在社員60名ほどのIT企業です。
今回あるプロジェクトの開始に伴い、プロジェクトの成果に連動したかたちのインセンティブ制度として、リーダー(部長クラス)職の社員の一部にストックオプションの採用を検討しようと思いますが、弊社のような規模の会社でも問題なく運用できるでしょうか。
そして導入はどのような手順で進めればよいでしょうか。
初歩的な質問で申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
だるさん ( 東京都 / 男性 / 45歳 )
回答:1件
後藤 義弘
社会保険労務士
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ご質問ありがとうございます
*'' ■ 回 答''
''会社規模やお話の内容からみて、従業員のインセンティブ制度としてストックオプションを採用するには慎重な検討が必要と思われます。 個人的には、シンプルに 「賞与」 と人事考課での対応、もしくは信託 (『信託受益権』) の活用をお勧めします。''
**''【解説&アドバイス】''
ストックオプション (以下 「SO」) は、「新株予約権」 と呼ばれ、一定期間経過後一定の価格で自社の株式を有利に買うことができる権利です。
SOを取得した社員や役員は、その後株価が値上がりしたある時点でその権利を行使し、転換した株式を売却することで差益を得ることができます。 そして、これを業績向上のインセンティブとして上場企業やIPO前のベンチャー企業などが採用していることはご存知かと思います。
しかし、非上場会社のSO採用については、SOの時価の算定が非常に難しく、さらに税務上の問題((設計によっては、税負担が重くなる。))や、将来の従業員株主の出現 (株主権の濫用等) など、運用上の問題や諸々のリスクを検討しなければなりません。
経営者養成など経営上の戦略や、IPOを想定した資本政策など明確な目的がある場合はともかく、将来株主となる従業員による議決権や他の株主権の行使による経営混乱の可能性などの潜在リスクを考え併せると、非上場の中小企業が従業員に安易に (将来 「株式」 となる) SOを持たせることにはやはり慎重にならざるを得ません。
事実非上場の中小企業でSOをインセンティブツールとして採用している例は多くありません。
そういう意味で、SOは非上場中小企業にとって身の丈にあったインセンティブツールかどうかについては、やはり慎重な検討が必要と思われます。
そこで、中小企業でも使えるインセンティブツールとしてご提案したいのが ''信託 (「信託受益権」) '' の活用です。 これはSOと同じく業績連動型の新しいインセンティブツールです。
補足
例えば、お話のようにあるプロジェクトを一事業として 「信託」 というかたちで切り出し、これを他の事業から形式的に独立させ、そのプロジェクトから得られる収益とインセンティブを結びつけることができます。 さらには、SOのように将来株主権が与えられることもなく、諸々の株主リスクも排除することができます。
SOの場合、一プロジェクトの業績と株式の価額を完全にひも付きにすることは難しいですが、この 「信託受益権」 を使うとそれが可能となります。
「信託」 そのものの構造は少し難しいですが、プロジェクトを形式的に社内分社化する (実際法人格の分割は起こらない) といったイメージです。
まだ、従業員インセンティブツールとして 「信託受益権」 を活用する例はまだほとんど見られませんが、今後中小企業規模でも使い勝手のよいツールとしてその活用が期待されています。 (弊社顧問先において活用事例があります。 詳細ご興味あればお問い合わせください。)
ご質問ありがとうございます。
今後ともAll About ProFleをよろしくお願いします。
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