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杉浦 恵祐
ファイナンシャルプランナー
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持株会の規約を確認してみましょう
ジャクソンさんへ。FPで株式公開コンサルタントの杉浦恵祐です。
多くの未上場会社の従業員持株会は、民法上の任意組合の形をとっています。
民法上の任意組合では、株主となるのは従業員持株会自体であり、持株会会員(従業員)はその持株会に対して持分を持つにすぎません。
よって、会社が定時株主総会招集通知書類(決算報告書含む)を送るのは、従業員持株会という株主に1部で構いません。
よって、民法上の任意組合の形の未上場会社持株会では、決算報告書を持株会会員に1部ずつ渡さなくても、会社法上も違法ではありません。
次に「社長が2代目になり社員の給料を抑えると同時に配当金を増やし暴利を貪っています」ですが、社員の給料総額を最終的に決めるのは経営にあたる取締役又は取締役会です。その取締役を選任したり会社の利益を配当として株主に渡すか内部留保にあてるか等は株主総会で決めます。株主総会の議決は1人1票ではなく1株1票ですから、もし2代目社長やその親族が大株主であるなら、彼らが好きなようにして構わないのです。
それから「持株会を退会するなど株主として防衛策をとる」ということですが、多くの未上場会社の従業員持株会では、従業員持株会のルールを定めている「規約」で、以下のような条文を入れているいることが多いです。
第○条 会員は、登録配分された株式持分を引き出すこと、他に譲渡すること、又は担保に供することができない。
第○条 会員が退会した場合においては、その会員に登録配分された株式持分について、従業員持株会理事会が別に定める価格を基準として換価し、その代金及び残余金を返還する。
補足
会社側は、従業員が退職するときに高額で買取りを要求されたり、株主としての権利を乱用されたり、関係のない第三者に譲渡されたりしないように、「持株会から自社株を引出しできない」、「社員が退職する場合は持株会から持分の払戻しを受ける」、「その払戻金額はあらかじめ定めておく」等と規約で定めているのが普通です。
つまり、このような規約の場合は、持株会を退会する=所有する株式持分を手放さなければならない=完全に株主ではなくなるので、「株主として防衛策をとる」ということ自体不可能、ということです。
もし、ジャクソンさんの会社の従業員持株会の規約が上記のようなものになっていればどうしようもありません。
しかし、規約が中途半端なものであって従業員側が権利を強く主張できるものであったり、従業員持株会の存在自体が怪しいような場合(=会社側の従業員持株会の設立、管理がいい加減)は、法的に争えば勝てる可能性がある場合もあるかもしれません。
まずは持株会の規約をよく読んでみてください。それで、もし本気で争うことも考えるなら、労働者側に立ってくれる弁護士さんに相談してみてください。
評価・お礼
ジャクソンさん
丁寧なご回答ありがとうございます。
定時株主総会招集通知書類が従業員持株会員ひとり一人に配る必要がない理由が理解できました。
(現在のポイント:-pt)
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