対象:企業法務
証券取引等監視委員会の、金融商品取引業者に対する検査について教えてください。
私の友人は、主にオフショアと呼ばれる地域に設立されたファンドを日本の投資家に紹介する業務を行っております。
各国の複数のファンド運営者やプライベートバンクとエージェント契約を結んでおり、日本では第二種金融商品取引業と投資助言・代理業の登録をしています。
金融商品取引業者として、もちろん日本の法律を守り、業務を行っていくのは当然ですが、一つ心配していることがあります。
それは、個人情報の取扱いに関してです。
オフショア諸国では個人情報はとても厳しく守られていて、個人情報の漏えいは懲役を含む罰則が用意されており、たとえ警察から求められても決して個人情報を出すことはないそうです。
エージェント契約をしている者に対しても同様の義務が課されています。
でも、日本においては金融商品取引業者である以上、証券取引等監視委員会が来れば、個人情報が含まれているであろう法定帳簿や資料等を検査官に見せなければならないのでしょうか?
また、資料のコピーを取られることを拒否することはできないのでしょうか?
個人情報を出せば本国からの罰則、
出さなければ金融庁から罰則
を受けざるを得ないのでしょうか?
以前から懸念はしておりましたが、テリーサポートフォリオマネジメント株式会社への行政処分を知り、ますます疑問と恐怖が大きくなっています。
回答をいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
しづかさん ( 大阪府 / 女性 / 33歳 )
回答:1件
国内規制と海外規制の調整について
テリーサポートフォリオマネジメント株式会社は、予想通り、法律上の最長期間の業務停止と、最も厳しい処分になりました。仮に、この処分に従わないことがあれば、登録抹消は免れないと思います。
私の知る限り、日本はマレーシアについで個人情報の取扱いが厳しい国だと思いますが、ご質問の趣旨は「どこが厳しいか」ではなく
<海外の規制が適用される日本支社(又は現地法人)があったとき、当該規制の内容が「顧客(個人)情報は、当該顧客の同意がなければ、監督当局に提供することもできない」と規定されていた場合、現実的には、当該日本支社等は、当局検査の際、どういう対応が可能なのか>
だと思います。
私は、過去の検査で、同じではないですが、似たような経験をしたことがあります。結論は、あっけないほど簡単で、むしろ恐縮ですが、「海外の規制で開示できない」と検査官に伝えればいいです。
そうすれば、証券取引等監視委員会や金融庁は、必要に応じて、当該海外当局から「開示を認める」という「お墨付き」を貰ってくれることもあるでしょう。
また、実際、証券取引等監視委員会や金融庁は「検査協定」というのか、証券取引等監視委員会も金融庁も、海外当局とのパイプがありますから、いずれにしても適切なアドバイスをくれるはずです。
検査官に事情を話さないで、「海外規制はこうだから」と自社で判断して、顧客情報を香港に送ったために、検査忌避に問われたケースもありますから、要注意です。
ご参考にしてください。
コンプライアンス・コンサルタント
川崎善徳
評価・お礼
しづかさん
とても分かりやすく、また実体験に基づいたアドバイスをどうもありがとうございました。
疑問や不安がスッキリ解消しました!
今後ともよろしくお願いいたします。
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