対象:住宅設計・構造
はじめまして、最近、家づくりの勉強中なのですが、ひとつお聞かせ下さい。
ハウスメーカーでは最近は殆ど集成材が使われ、金物で接合されているようです。私は、自然保護の観点からも、日本の林業を再生する意味でも、できれば昔の様に地元の無垢の木を使った家づくりをするべきだと思うのですが、メーカーに言わせると、無垢の木は狂い易く強度が安定していないとのこと。集成材は狂いがなく、強度も無垢の木の1.5倍あるので、これからは集成材の方が絶対いいというお話でした。やはり無垢の木よりも集成材の方が優れているのでしょうか?
ガリレオさん ( 埼玉県 / 男性 / 43歳 )
回答:5件
無垢材と集成材
アネシスプランニングの寺岡と申します。宜しくお願いします。
ご質問の件ですが、構造材としての安定性や建築コスト、後々の瑕疵担保責任などを考えると、どうしても集成材を使用することが多いかと思います。
無垢材に関しては、どうしても含水率等の問題で現状では変形が起きてしまい、施工品質のばらつきがあります。
しかしながら、集成材の方は加工等により含水率を15%以下にできたり、収縮や変形、割れなどが起き難いものが確保できます。
そういった点から、施主や施工者からもメリットがあるため利用されているわけでしょう。
決して無垢材が悪いということではありませんが、きちんと乾燥され、建築に適した材料として確保することは難しい時代です。
ですから、双方の良し悪しを理解され、どれを採用されるかはご自身の判断かと思われます。
以上、ご参考になれば幸いです。
詳しい説明が必要でしたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
宜しくお願い致します。
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- 寺岡 孝
- (東京都 / お金と住まいの専門家)
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どちらで建てるにしても構造計算はしっかり
ガリレオさん、はじめまして。
design studio bAOBabの鈴木と申します。
無垢材と集成材のどちらが優れているか?
どちらも一長一短はあると思いますが、すまい手がどこに価値を求めるかということも関係してくると思います。
集成材の場合、おっしゃるように強度が高く、寸法の狂いも生じにくくなっている関係上、構造計算を行ないやすい点、比較的コストのバラツキ、材のバラツキがなく安定供給できる点などのメリットがあります。
ただ接着剤などを用いているので抵抗感がある方も当然いらっしゃいます。
無垢材の場合は材そのものの良さを感じたり、日本の木材を使えば、CO2の問題や林業、日本の森林に対して貢献出来る一方で、材の強度のバラツキがあったり、断面の大きな材はなかなかとれないので大きな空間を作るの場合には工夫が必要であること、反り、割れなどの欠点が出たとき気にならなければよいのですが、隙間ができたり、壁の仕上材にクラックが入ったりするのが気になるようであれば、無垢材を使用する場合注意が必要です。
ハウスメーカーなどは構造的に数値がはっきりしていてそういうクレームに対処するために安定供給できる集成材を使うんだと思います。
今では在来工法といわれるものは金物無しでは成り立たなくなって来ています。結局、無垢材などの比較的強度の弱い材を金物で構造的に補うということが主流となっています。従ってどちらも優れた点は持っているし、どちらも欠点を持っているといえます。
ガリレオさんの思う”昔の様に地元の無垢の木を使った家づくりをするべきだと思う”と感じていらっしゃれば、無垢材の木を使って建てられれば良いと思います。
ただどちらで建てられるにしてもしっかりとした構造計算をしてもらうようにしてください。
御参考いただければ幸いです。
回答専門家
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![本田 明](https://d32372aj5dwogw.cloudfront.net/home/profile/front/html/img/professional/s/1224354934.jpg)
本田 明
工務店
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大量生産か、一品生産か、
住宅とは、業界内ではクレーム産業と呼ばれるありますことがあります。
大量のものを安定的に供給し、
かつ誰が作ってもそこそこの安定した品質が得られるにはどうしたら良いか、
という、ハウスメーカーの根本的命題にまじめに取り組んだ結果が、
おっしゃるような、セールストークとなるのです。
ハウスメーカーにとって住宅は「商品」であり、商品に欠陥があってはならないのです。
しかし一方で、
住宅は、お客様と設計者や工務店とがみんなで協力して、
「一つ一つ造るもの」だという考え方もあります。
木は、曲がったり反ったり縮んだりするものです。
そのそれぞれの木を、うまく組み合わせて、昔の大工さんは、建物を組み上げて行きました。
そこまで行くと、現代建築生産からすると少しかけ離れるかもしれませんが、
それに近いことは、今多くの工務店や設計者の方が考えておられると思います。
私の会社の紹介の文章に、以下のような文章を付けています。
父は、木こりから小さな材木商・工務店に、私も木にはこだわりながら建築に携わっています。
私は、現代のそしてお客様の、生活パターンが必要とする居住のための機能と性能を、
十分に評価配慮した上で、基本的には、
木(桧や杉等、合板は最小限に)と、
土(じゅらく土やプラスター)と、
焼き物(瓦やタイル)と、
紙や草(障子紙や畳)と
で、建物を構成していきたい。
自然と共に生きてきた素材が、ヒトという生き物の器として最良であり、
かつ、それが総合的には環境への負荷も最小に止められるはず。
そして、目標とされた性能を保持した上で、
**自然の素材が元々持っている、品質や見えがかりのばらつきを、
**風合い風情として許容できる方と共に一つづつ仕事に取り組みたい。
補足
質問のような思いを持っておられるのなら、
「自然素材」「木」「木の家」「住宅」などをキーワードに
設計者や工務店をお探しになれば、
お近くでも沢山あるのではないかと思います。
ただ、自然、環境、木などは、
今、建築のセールストークとしても多く掲げられ、
「ナンチャッテ自然派住宅の家」も沢山ありますので
よくネットで中味を吟味されてから、直接ご相談された方が良いと思います。
素人の方でも、少し時間さえかけてホームページを見れば
「ナンチャッテ自然派住宅の家」はわかるはずです。
「商品」と「一つ一つ造るもの」は、基本的には優劣があるものではなく
基本的性能を満たすという前提の上で
住宅に、
TVなどの電化製品のような「一分の隙もない機能・性能」を求められるか、
それとも、
陶芸の茶碗のような「味わい」を求められるか、の違いだと思います。
評価・お礼
![](https://d32372aj5dwogw.cloudfront.net/home/profile/front/html/css/img/default/user_img_s.gif)
ガリレオさん
ご回答、ありがとうございました。
本田さんのおっしゃる様に、「ナンチャッテ自然派住宅の家」がすごく多い様な気がします。表面だけ自然素材を使っても本質的なところが見えない、そんな気がします。
![野平 史彦](https://d32372aj5dwogw.cloudfront.net/home/profile/front/html/img/professional/s/1224354912.jpg)
野平 史彦
建築家
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無垢材と集成材について
昔は地元の木で家を建てるのが当たり前でした。しかし、今は日本の住宅の殆どが輸入材によって造られています。それもホワイトウッドなどと呼ばれる欧米の松系の樹木による集成材が使われています。
集成材は薄い材を接着剤で張合わせて作るので、木材乾燥は容易で狂いが少なく、必要な強度を確保する事ができる、即ち、安定した性能を持たせる事ができるのでハウスメーカーを中心に多く用いられています。
一方、無垢材は狂いが少なく、安定した強度を持たせるには、難しい人工乾燥が必要で、この人工乾燥がきちんと行われる必要があります。
人工乾燥材は一般に「KD材」と呼ばれて使われていますが、このKD材というのは実は「人工乾燥機にかけた材」ということであって、芯まできちんと乾燥された材であることを示すものではありません。
従って、多くの無垢材は乾燥不足のため家を建てた後で大きな狂いが出て、壁に隙やひび割れが出たり、建具の立付けが悪くなったりしてクレームの原因となっているケースが多いのです。
環境問題が声高に叫ばれる今は誰もができれば「地元の木で家を建てたい」と思っています。しかし、木材乾燥の重要性が分かっている人は非常に少ないのです。
ですから、無垢材を使うなら本当にきちんとした人工乾燥材を見つけなければなりません。そうした業者は非常に少ないのですが、きちんと芯までムラなく乾燥する技術を持った工場では、4寸角でも背割りのない材を作ることができるのです。
(追記)
補足
さて、ここで無垢材と集成材について環境という視点からちょっと見てみたいと思います。
今、日本の山から切り出した杉から一本の柱を作るとします。実は、この一本の柱を作るために、この柱の4本分の端材が出て、その多くがただ捨てられているのです。
日本の人工林を再生するためには、勿論、輸入材をやめてできるだけ日本の木を使う様にしなければなりません。
しかし、日本の森林を守るには、こうして捨てられる端材を如何に有効に利用するか、ということも同時に考えなければならないのです。
企業は環境への貢献度がその会社の評価に繋がってくる時代ですから、大手のハウスメーカーでは、ホワイトウッド集成材から国産杉集成材への切り替えが始まっています。
私達も、例えそれを柱や梁といった構造材に用いなくとも、大いに国産材の集成材を利用してゆきたいものです。
(注記:上記は私共のHP中の''「木の家」マニアの駆け込み寺''というQ&Aから抜粋したものです。その他、ためになる様々なQ&Aを載せておりますのでご覧下さい。)
評価・お礼
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ガリレオさん
時々このQ&Aを見させて頂いているのですが、質問者がいつも野平先生のご回答に5☆を付けているのがよく分かります。質問者が何を求めているのか、それを読み取り、的確に答えてくれる先生の回答は秀逸です。
今回は無垢の木の問題点やその対策について具体的に示してもらいたかったのですが、他の皆さんはあまりその辺に触れて頂けませんでした。また、私が環境問題に関心があることを察して、その辺の話題を膨らませて頂いたところなど、流石でした。ありがとうございました。
![宮原 謙治](https://d32372aj5dwogw.cloudfront.net/home/profile/front/html/img/professional/s/1224354785.jpg)
宮原 謙治
工務店
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環境適応資材としては無垢材が優れています!
大阪の住宅家・幸せこだわり住宅職人謙さんです。
■集成材と無垢材の優劣を問う時に、何を持って決めるかということがあります。
一般的には、強度を持って強いとか弱いとか言っていますが、単品としての実験データーから集成材の方が強いということだと思います。
しかしどの樹種の無垢材との比較かは意外と明確でないでしょう。
また、木材(構造材)を使った住宅の場合、木組みをどうするかによって、その材料(木材)が持つ特性が異なってきます。金物多様の住宅では、曲がりやたわみの数値をもって優劣の評価をしているのが業界です。
すなわち、優劣を建築学観点から論議すれば集成材とか無垢材がとか、人工乾燥材とか自然乾燥材とかいう事になり、価格も絡んでの結論となるのではないでしょうか。
■住宅を中心的生活環境とすれば、環境適応素材としての議論が必要です。
無垢材がかもし出す雰囲気(木性)が住む人に与える影響力や感化力からして、無垢材に勝る材料は見当たりません。木材を人間も地上生物であり同類ですから相性が良いのでしょうね。
■整形した芸能人などが年をとりおかしな顔になっているのを見かけるときがあります。若い時は一時で、年齢を加えれば加えるほどシワやシミやそばかすなどが目立つようになってもおかしくはありません。長く生きた証拠です。
住宅も住めば住むほど飽きることなく愛着が湧いてきて長く利用される為には、つくられた木材より、無垢の木材、本物の木材が良いのではないでしょうか?
評価・お礼
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ガリレオさん
ご回答ありがとうございました。
長い間、木の家を造られてきた謙さんの想いが伝わってきました。無垢の木をご推奨して頂けて、心強いです。
![質問者](https://d32372aj5dwogw.cloudfront.net/home/profile/front/html/css/img/default/user_img.gif)
ガリレオさん
集成材の接着力やVOCは?
2008/10/06 18:28ご回答ありがとうございます。
1本の柱をつくるのに、4本分の端材がでるので、それで集成材を作ろう、というお話、成る程と思いました。ただ国産材を使えば日本の森が守られる、という訳ではないのですね?
そこでまた質問なのですが、集成材に使われる接着剤は化学物質だと思うのですが、その接着力の信頼性やVOCの問題はないのでしょうか?
ガリレオさん (埼玉県/43歳/男性)
(現在のポイント:6pt)
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