声帯切除手術後の犬の変化

声帯をどんな医療機器で切除したのかにもよります。当院で遭遇したケースですが、ブリーダーさんのワンちゃんの帝王切開を頼まれました。超短時間麻酔をかけて気管チューブを挿管しようとしましたら被裂軟骨の奥に、気道を半分以上閉塞している硬い突起物があって、チューブが入っていきませんでした。ブリーダーさんに尋ねたところ、ある病院で電気メスで声帯を切ってもらったとの事でした。もしこれ似た状態になっているのでしたら術後、ハーハーすることが起こる可能性はあります。声帯切除の術後一ヶ月以上炎症が継続するとは思えませんが、現在炎症性疾患が継続しているかどうかは、苦熱時の白血球数やCRP検査で大体判定できると思います。

声帯除去手術の術後合併症ですが喉頭の狭窄性瘢痕が形成されることがあります。上部気道の狭窄の原因となることがあり、呼吸状態の悪化を引き起こします。これは手術手技の問題というよりも組織の修復の過程で発生する正常な組織反応が原因です。

今回の相談犬は一ヵ月前に声帯除去手術してから寝ているとき以外はハアハアしているとのことですが呼吸の荒くなる原因はいくつもありますので他の部位に異常が認められないようであれば声帯除去手術の術後合併症が原因となっているかもしれません。体温については正常の範囲内と思われます。術後の狭窄性瘢痕が明らかに呼吸困難の原因となっている場合は瘢痕の切除手術が勧められます。

実際に見てみないと状態が分かりませんので現在の状態が問題となる呼吸状態かどうかセカンドオピニオンを受けてはいかがでしょうか?