被せた歯の痛み

お話を聞く限りでは、急性の歯髄炎の初期症状の可能性が考えられそうですね。炎症の5徴候は?発赤?熱感?腫脹?疼痛?機能障害です。病理学的な呼び方は、急性漿液性歯髄炎といいます。

臨床的には、
? 歯の歯冠部歯髄に炎症が限局しているものを、急性一部性単純性歯髄炎といい冷刺激や甘味などで誘発痛があり、間欠性の自発痛があります。通常は消炎鎮痛療法を複数回繰り返すことで症状が消失することがありますが、痛みがおさまらない場合は歯髄除去療法となります。しかし、一時的に症状が良くなっても将来、全部性歯髄炎に移行することがあるので注意が必要です。
? 炎症が歯根部の歯髄に達する場合、急性全部性単純性歯髄炎といい、持続性の自発痛(激痛)があり、不可逆性歯髄炎であるため歯髄除去療法となります。

最近では、新しい治療法として、
? Heal Ozone (ヒールオゾン)と呼ばれる、ドイツKavo (カボ)社から発売されている虫歯の新しい治療システム(オゾン照射のあとフッ素入りの薬剤を使用)があります。
? 3Mix-XP 法(3種類の抗生物質、?Metronidazol メトロニタゾール?Minocyycline ミノサイクリン?Cyprofloxacin シプロフロサンシンに?MP マクロゴール、プロピレングリコールを混ぜたものを使用。)
などがあげられますが、適応に限界が考えられます。
噛み合わせは勿論、重要ですので、充分な診査が必要ですね。

お大事になさってくださいね。

はい、噛み合わせから歯がしみてしまうこともあります。
虫歯以外に歯がしみてしまう原因としましては、噛み合わせから由来する咬合性外傷、歯肉炎、マイクロクラック。また、歯周病や体調不良から歯がしみることもございます。

治療法は、まず噛み合わせを一時的に排除し、歯肉炎のコントロール。歯の表面には、ＹＡＧレーザーや、レジンなどで開放象牙細管やクラックの閉鎖、最近では３Ｍｉｘの応用なども考えられます。
但し、予後の経過によっては抜髄（神経を抜くこと）も視野に入れなければいけないと思います。なぜならば、歯髄は一度炎症になると、歯の中で壊疽してしまうこともあるからです。

余談ですが、先日観た映画『鉄コン筋クリート』のなかのシロ少年は、「安心、安心。」という印象的なセリフを言っていました。ご相談者さまのシロさまにも早く安心していただける日がくることをお祈り申し上げます。