対象:事業再生と承継・M&A
譲受会社が、譲渡会社から債務を引き継がないようにするためには、どうすればよいのでしょうか。
商号を引き継ぎたいが、金融債務までは引き継ぎたくない場合、登記すれば問題ないでしょうか。
頼りない経営者さん ( 群馬県 / 男性 / 41歳 )
回答:3件

後藤 義弘
社会保険労務士
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ご質問ありがとうございます
*''★ 回答のポイント''
''「事業譲渡」は、当事者が契約により個別に「合意」した権利・義務のみを移転させる商取引です。 したがって、「合意」のない部分まで引き継ぐ必要はない、逆に言えば、引き継ぎたくない部分は「合意」しなければよい、ということになります。''
''【解説】''
ご質問に「譲受会社」「譲渡会社」とあることから、相手会社の事業の一部を引き継ぐ『事業譲渡』を想定し解説していきます。
''当事者間の 「合意」 で決まる 『事業譲渡』''
基本的に「事業譲渡」は、(譲受会社側からみて)欲しいもの、(譲渡会社側からみて)譲りたいものを、それぞれの「合意」((債権者がからめば、同時にその「合意」も必要です。))により、現金と交換する商取引です。
こうした「事業譲渡」の性質からすると、ご質問の「商号」「金融債務」も同じ考え方で、相手会社の「商号」については、相手会社が「合意」すれば引き継ぐことができ、「金融債務」についても、引き継ぎたくなければ引き継ぐ必要はなく、あくまで個別の「合意」に基き移転の可否が決定されます。
つまり、ご質問の「債務を引き継がないようにする」ためには、単純に引き継ぎの「合意」をしなければよい、ということになります。
''会社のすべてを引き継ぐ 『合併』''
ただ、ご質問が「事業譲渡」ではなく「合併」を想定したものであれば話が違ってきます。
「合併」は、「事業譲渡」のように欲しいものだけ引き継ぐわけにはいかず、相手会社のすべての権利・義務を引き継がなければなりません。 言ってみれば「相続」と同じです。
もしお話が「合併」を前提としたものであれば、すべての権利・義務を引き継がなければならない「合併」という事業取得スキームが適当ではないということになるかと思います。
補足
''【関連Q&A】'' ''株式譲渡と資産譲渡の違いについて''
''【関連Q&A】'' ''株式譲渡と合併、事業譲渡の違いとは?''
''【ご参考】''
あと、ご参考までに商号の引き継ぎと「登記」の関係について補足しておきます。
お話のように商号を引き継ぎ、両社が同じ商号を使うと、第三者が、本来譲渡会社が負うべき責任を、譲受会社に追及してくることが考えられます。
この場合、いくら譲渡会社が負うべき債務であったとしても、第三者が外から見ると、どちらが本当の責任主体か区別がつかないことから、第三者保護の観点より、両社が連帯責任を負わなければならないことになっています。((会社法22条1項))
しかし、譲受会社側がこうした責任を負いたくない場合、「登記」することによって譲受会社側が免責されるという例外があります。((会社法22条2項))
「(合意により)商号は引き継ぐが譲渡会社の負うべき責任は負いたくない」という場合、このように「登記」することによって、責任の負担を回避することができます。
(しかし実際には問題も多いことから、こうした商号の続用についてはやはり慎重な検討が必要です。)
今回、事業取得のスキームを「事業譲渡」と想定しましたが、もしご質問の趣旨から外れている場合は、あらためてお問い合わせください。
ご質問ありがとうございます。
今後ともALl About ProFileをよろしくお願いします。
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評価・お礼

頼りない経営者さん
ありがとうございました。

東郷 弘純
弁護士
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ご回答申し上げます
事業譲渡によって、譲受会社の債務は原則として移転しませんので、債務は引き継がつがないということになります。譲受会社の債務を譲渡会社に債務を移転させるためには、債権者の同意が必要です。
だたし、事業譲渡をする上での注意点は、事業譲渡の適正な対価が支払われるということです。事業が適正な価格で譲渡されるのであれば、譲渡会社の資産価値に変化がないことになりますので、その債権者を害さないことになります。事業が無償あるいは適正価格より低い価格で譲渡すると譲渡会社の債権者を害することになり、詐害行為取消権の行使や法人格否認の法理により責任追及を受ける等の可能性があります。
次に、「商号を引き継ぎたい」とあります。譲受会社が、譲渡会社の商号を引き続き使用する場合、原則として譲渡人の債務を引き継いでしまいます。ただし、債務を引き継がない旨の登記を遅滞なくした場合は債務を引き継ぎません。したがって、事業譲渡後、遅滞なくその登記すれば原則として債務を引き継ぎません。

東郷 弘純
弁護士
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ご回答申し上げます
事業譲渡によって、譲受会社の債務は原則として移転しませんので、債務は引き継がつがないということになります。譲受会社の債務を譲渡会社に債務を移転させるためには、債権者の同意が必要です。
だたし、事業譲渡をする上での注意点は、事業譲渡の適正な対価が支払われるということです。事業が適正な価格で譲渡されるのであれば、譲渡会社の資産価値に変化がないことになりますので、その債権者を害さないことになります。事業が無償あるいは適正価格より低い価格で譲渡すると譲渡会社の債権者を害することになり、詐害行為取消権の行使や法人格否認の法理により責任追及を受ける等の可能性があります。
次に、「商号を引き継ぎたい」とあります。譲受会社が、譲渡会社の商号を引き続き使用する場合、原則として譲渡人の債務を引き継いでしまいます。ただし、債務を引き継がない旨の登記を遅滞なくした場合は債務を引き継ぎません。したがって、事業譲渡後、遅滞なくその登記すれば原則として債務を引き継ぎません。
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