対象:事業再生と承継・M&A
後藤 義弘
社会保険労務士
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ご質問ありがとうございます
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*''★ 回答のポイント''
''「事業譲渡」は、当事者が契約により個別に「合意」した権利・義務のみを移転させる商取引です。 したがって、「合意」のない部分まで引き継ぐ必要はない、逆に言えば、引き継ぎたくない部分は「合意」しなければよい、ということになります。''
''【解説】''
ご質問に「譲受会社」「譲渡会社」とあることから、相手会社の事業の一部を引き継ぐ『事業譲渡』を想定し解説していきます。
''当事者間の 「合意」 で決まる 『事業譲渡』''
基本的に「事業譲渡」は、(譲受会社側からみて)欲しいもの、(譲渡会社側からみて)譲りたいものを、それぞれの「合意」((債権者がからめば、同時にその「合意」も必要です。))により、現金と交換する商取引です。
こうした「事業譲渡」の性質からすると、ご質問の「商号」「金融債務」も同じ考え方で、相手会社の「商号」については、相手会社が「合意」すれば引き継ぐことができ、「金融債務」についても、引き継ぎたくなければ引き継ぐ必要はなく、あくまで個別の「合意」に基き移転の可否が決定されます。
つまり、ご質問の「債務を引き継がないようにする」ためには、単純に引き継ぎの「合意」をしなければよい、ということになります。
''会社のすべてを引き継ぐ 『合併』''
ただ、ご質問が「事業譲渡」ではなく「合併」を想定したものであれば話が違ってきます。
「合併」は、「事業譲渡」のように欲しいものだけ引き継ぐわけにはいかず、相手会社のすべての権利・義務を引き継がなければなりません。 言ってみれば「相続」と同じです。
もしお話が「合併」を前提としたものであれば、すべての権利・義務を引き継がなければならない「合併」という事業取得スキームが適当ではないということになるかと思います。
補足
''【関連Q&A】'' ''株式譲渡と資産譲渡の違いについて''
''【関連Q&A】'' ''株式譲渡と合併、事業譲渡の違いとは?''
''【ご参考】''
あと、ご参考までに商号の引き継ぎと「登記」の関係について補足しておきます。
お話のように商号を引き継ぎ、両社が同じ商号を使うと、第三者が、本来譲渡会社が負うべき責任を、譲受会社に追及してくることが考えられます。
この場合、いくら譲渡会社が負うべき債務であったとしても、第三者が外から見ると、どちらが本当の責任主体か区別がつかないことから、第三者保護の観点より、両社が連帯責任を負わなければならないことになっています。((会社法22条1項))
しかし、譲受会社側がこうした責任を負いたくない場合、「登記」することによって譲受会社側が免責されるという例外があります。((会社法22条2項))
「(合意により)商号は引き継ぐが譲渡会社の負うべき責任は負いたくない」という場合、このように「登記」することによって、責任の負担を回避することができます。
(しかし実際には問題も多いことから、こうした商号の続用についてはやはり慎重な検討が必要です。)
今回、事業取得のスキームを「事業譲渡」と想定しましたが、もしご質問の趣旨から外れている場合は、あらためてお問い合わせください。
ご質問ありがとうございます。
今後ともALl About ProFileをよろしくお願いします。
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評価・お礼
頼りない経営者 さん
ありがとうございました。
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この回答の相談
譲受会社が、譲渡会社から債務を引き継がないようにするためには、どうすればよいのでしょうか。
商号を引き継ぎたいが、金融債務までは引き継ぎたくない場合、登記すれば問題ないでしょうか。
頼りない経営者さん (群馬県/41歳/男性)
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