対象:企業法務
お世話になります。
当方、最近中小企業の代表に就任いたしました。もともと戦後すぐに創業の製造業を営む会社で、社員数も百名を超える時もありましたが、平成になり業種を転換、それに伴い社員の方もほとんどいない小さな会社となっております。
相談内容としては、創業時及びその後の業務拡大の時期に数十人の株主が「存在する」ように登記簿上あるのですが、実際にお金を出資した株主はその内のほんの数人というのが実情のようであり、また、かなり昔の話と言うこともあり、ほとんどの方は自分が株主となっていることを忘れているもしくは分かっていないようなのです。配当に関しては、これまで特に出していなかった(出せなかった?)ようです。
現在の会社の状況と株主数のミスマッチが目立つこともあり、これを機に整理をしたいと考えているのですが、一人一人に説明するのも前述のような事情で難しく困っております。
何か良い考えはないかお知恵を拝借いたしたく。何卒よろしくお願いいたします。
companyさん ( 東京都 / 男性 / 37歳 )
回答:1件
株主の整理は難しいでしょうから新会社の設立かも
まず、株主名簿上の株主のうち、法律上、実際にお金を出資していない者は、株主になりません。そこで、そのような株主には、その旨通知して名簿から抹消し、実際に出資した方の名義にすることが考えられます。しかし、名義上とはいえ株主となっている人に、実質的な株主の人が出資金を貸し付けて会社に払い込んでもらったという場合、名義人が株主になりありえます。そこで、昔のことで事情が不明の場合には、単なる名義人の株主も含めて、株主名簿に記載の人すべてを株主として考えざるをえないと思われます。
次に、これらの株主の整理をどのようにすればよいかですが、一番簡単な形は、質問者の方が全ての株式を買取ることでしょう。一人一人の住所がわかっているのであれば、手紙等で通知を出して、株式の買取りを打診することが考えられます。「かなり昔の話」であっても手紙で丁寧に説明すれば事情をわかっていただけるかもしれません。
しかし、相手方の同意が得られなければ買い取れません。値段についても相手との交渉が必要になります。また、株主の方が亡くなっていた場合、相続人を探し出して、相続人と交渉をしなければなりません。相続関係が複雑であれば途方もない手間がかかります。
そこで、現在の会社について株主を整理することはあきらめて、別の会社を作って、そちらに今の会社の事業を譲渡してしまうということが考えられます。事業譲渡を行えば、現在の会社は、法的には解散しない限り存続し続けることになりますが、実際の営業は複雑な株主を持たない新会社で従来どおり続けることができるようになります。
なお、この手段をとるためには、株主総会において、事業譲渡を承認する必要がありますが(特別決議で行う必要があります)、その際必要となる株主総会の通知は、名簿上の株主に対して行えばよく、質問者の方が自ら相続人等の調査をする必要がありません。
評価・お礼
companyさん
金井様
ご回答ありがとうございます。お話、よくわかりました。
まず、買取に関してですが、以前税理士さんに出して頂いた一株あたりの評価価格が、以前と比べ数倍になってしまっており(登記簿上の株価の数倍)、私個人、もしくは会社としても、今の現状では、多くの株主さんを「整理」出来るほど買い取れないのが現状です。本当は買い取れればいいと思ってはいるのですが。
新会社設立の案は今後検討させていただきます。実際のところ、現時点では取引先も限られていますので、もし新会社に事業譲渡しても理解は得られやすいと思いますので。
ただ、その際にも金井様がおっしゃるように、元の会社は残り、多くの株主も残る形になるのですね。できれば「名実ともに」すっきりさせられればと思っております。
ありがとうございます。
回答専門家
- 金井 高志
- (弁護士)
- フランテック法律事務所
フランチャイズとIT業界に特化。最先端ノウハウで支援します
フランチャイズ本部と加盟店に対して、法的アドバイスでのお手伝いをしてきています。また、インターネット関連のベンチャー企業の事業展開のお手伝いもしています。特に、株式公開を目指すベンチャー企業のために、お手伝いができればと思っています。
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