対象:事業再生と承継・M&A
ある企業の取締役(株主)を務めているのですが、筆頭株主でもあり代表取締役が第3者に譲度制限のある株券(未公開株)を売買しようとしています。このような場合、それを阻止することができるのでしょうか?
補足
2011/01/06 15:16筆頭株主(代表者)は株券を過半数もっているため、株主総会での議決権をもっています。
tomato2011さん ( 大分県 / 男性 / 38歳 )
回答:1件
松野 絵里子
弁護士
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譲渡制限株式と株主保護
ご質問は、普通株式について譲渡制限がある場合のことですね。
取締役会設置会社でない場合、株主総会の承認があれば譲渡ができるとなっていると思います(これには、定款の記載が必要で登記も必要です)。この場合、その大株主である代表取締役が議決権の過半をもっているならこの承認はなされるでしょうから、譲渡もできることになりますね。そもそも、株式は譲渡が自由なので仕方ありません。
株主総会の決議については特別利害関係を有する株主も総会で議決権行使ができるため、この場合、この代表取締役は譲渡する者として利害関係がありますが、議決権を行使できてしまいます。取締役会の決議とはここが違うのですよね。
しかし、他の少数株主にとってあまりにひどいことになるような場合の保護のために、事後的な救済措置として、そのような株主が議決権を行使したことによって著しく不当な決議がなされたときには、決議の取消の訴えを他の株主等が出来ます。よって、貴殿は著しく不当な決議がなされたときには、決議の取消の訴えを提起できます。あくまでも事後的なことになりますが。
もしも、取締役会がありその承認が必要となっている会社であれば、取締役会の承認を得るわけですが、この場合売主である代表取締役が特別利害関係を有するので決議に参加できないため、他の役員で決議します。そうすると否決されるかもしれませんね。
ただ、役員を解任することが株主総会決議でできますので、譲渡に反対するような役員についてはその大株主である代表取締役が解任してしまうでしょうから、やはり大株主のやりたい譲渡は実現できるでしょう。
評価・お礼
tomato2011さん
2011/01/07 10:04ご回答ありがとうございます。
やはり、譲渡自体をやめさせるのはむずかしいようですね。
ありがとうございました。
松野 絵里子
2011/01/07 13:38評価ありがとうございました。
そもそも株式の譲渡は自由ということが原則ですし、議決権の過半を持つということは会社の重要なことについてコントロールするパワーを持つことになりますので、会社法としては当然の結論かと思います。
(現在のポイント:-pt)
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