対象:会計・経理
高橋 聡
公認会計士
1
不備の内容を吟味する必要があります
初めまして、公認会計士の高橋と申します。
久川先生のご回答と重複する部分もございますが、私見を述べたいと思います。
一口に「不備」と言いましても、財務報告の信頼性に与える影響により「重要な欠陥」になるものとそうでないものがあります。まずは、監査法人との協議によりまして、当該不備が財務報告の信頼性を損なうような「重要な欠陥」となりえるものか否か、検討する必要があります。仮に「重要な欠陥」となるものであれば、会社としては早急に是正措置を講じる講じる必要があり、期末日までに是正されていれば、内部統制は有効と判断されます。また、期末日後に是正措置を講じた場合には、この是正措置については内部統制報告書及び内部統制監査報告書において開示されることになります。
さて、ここでさらに問題となるのは、内部監査も内部統制の一環ですから、このような「重要な欠陥」が内部監査によって発見・是正されなかったこと自体が「重要な欠陥」であると捉えられる可能性もあります。その場合には内部監査の計画立案、実施手法等を抜本的に見直す必要性が生じるでしょう。
一方、当該不備が、財務報告の信頼性には影響を与えない、又は与えたとしても軽微であると判断される場合には、内部統制としては有効であるとの結論になります。ただ、「不備」の内容によっては何らかの是正措置を講じることも検討する必要性があります。
最後になりましたが、内部統制報告制度は今年度(平成21年3月期)が初めてであり、監査法人においても十分なノウハウを蓄積していません。担当者によっては、「不備」と言いながら、よくよく調べてみると全く的外れな指摘をして来る可能性も十分にあります。まずは監査法人と十分な協議を行うことをお勧めします。会社として「不備」であるとの認識を持っていないということでしたら、監査法人担当者に対して十分な説明を行うことも必要です。
以上、ご参考になれば幸いです。
(現在のポイント:-pt)
この回答の相談
財務諸表監査において発見された不備は内部統制においても不備となることは認識しておりますが、監査法人より不備であると指摘された内容について内部監査担当として再度検証・評価する必要… [続きを読む]
内部統制男さん (神奈川県/43歳/男性)
このQ&Aの回答
このQ&Aに類似したQ&A