対象:経営コンサルティング
後藤 義弘
社会保険労務士
-
ご質問ありがとうございます
会社運営、個人事業での運営どちらが経済的か、線引きは難しいところです。 詳細はうかがえず一概に有利・不利を申し上げられませんが、ここでお話いただいた情報をもとに、一定の前提に基きシミュレーションをしてみましょう。
*''■ ご提案''
''『合同会社』での運営をご検討されてはいかがでしょう。''
''【解説】''
**''★ 前提''
売上が年間600万円ということですから、月換算で50万円、運営経費を20万円として、利益を30万円と想定させていただきます。
「社会保険」についてのお話されていたので、今の「国民年金」と「国民健康保険」の組み合わせよりも有利な「厚生年金」と「健康保険」の適用を受けることを主眼とし、上ご提案の合理性・経済性を検証してみます。
**''★ 方法''
まず、今の事業を「個人」から「会社」での運営に切り替え、その会社に社会保険を適用させます。 そして、現在の利益相当額30万円(月額)をお給料とし、このうち8万円((税法上の扶養の範囲内に設定))程度を奥様のお給料として支払い、パパ★さんたさんご自身で会社の社会保険に加入、かつ奥様を「扶養」に入れます。 (これでサラリーマン世帯の方と同じカタチとなります)
この場合、社会保険料の年間 (会社+本人) 負担額は
(30 - 8)万円 × 約25%((厚生年金+健康保険+介護保険+児童手当拠出金)) × 12m = 660 千円 … (A)
次に、会社運営に伴い発生する増分コストですが、毎月の経理処理は現在ご自身でなされているとしても、決算処理については税理士さんに委託した方がよいかもしれません。
ここでそのコストを仮に
12万円 (1万円×12ヵ月) … (B)
としましょう。
税負担ですが、上のとおり利益相当額を同額お給料として経費化しているので、法人税 (国税) をゼロと想定、しかしながら地方税の負担は下記額が最低限発生します。
7万円 … (C) [東京都の場合]
あと、会社設立に付随する初期コストですが
補足
「株式会社」だと約30万円ほどかかってしまい割高なので、ここは ''「合同会社」 '' という「株式会社」よりお手軽なハコを使います。 (ほとんど株式会社と機能は変わりません。) これにより、設立コストは約半分程度で済みます。
お話では現在、税・社会保険料で年間80万円以上 (X) を負担されているとのことですが、以上会社運営時のコストと現状のそれを対比してみると
''会社運営時 [ (A) + (B) + (C) ] ≒ 個人事業時 [ (X) ]''
となります。
つまり会社から出ていくお金にほとんど差はないということが確認できます。 (ここでは初期費用としての会社設立コストは考慮しません)
では何が有利なのか?
それは主に社会保険加入によるメリット享受です。
**''★ 社会保険加入のメリット''
(1) 将来の年金額アップ
(2) 障害・死亡時の年金額アップ
(3) 病気やケガで働けないときの所得保障 [傷病手当金] など
とくに(3)は概ねお給料の額の ''2/3'' が健康保険から給付される仕組みですが、現在ご加入の国民健康保険にはない大きなメリットと言えます。
**''★ その他のメリット''
(1) 個人事業では認められなかった事業主のお給料の経費化が可能
(2) 法人化により繰越欠損金を ''7年間'' 引き継ぎことができる
上のシミュレーションでは、比較上会社設立に伴うコスト(十数万円)は考慮しませんでしたが、以上のメリットを考え併せると、中長期的に回収できるレベルの負担と考えられます。
したがって、上の前提・条件がパパ★さんたさんの事業の実態にあったものであり、売上も安定している状況であれば、今回ご提案させていただいた事業の法人運営も、一考の余地があるものと思われます。
ご参考までに。
ご質問ありがとうございます。
今後ともAll About ProFileをよろしくお願いします。
(現在のポイント:2pt)
この回答の相談
夫婦で理容店を開業しています。今年の売上は600万円の見込みです。今現在は、青色で申告していますが、国保年金税金が、年80万以上かかっています。
気持ち的には、年金は厚生年金… [続きを読む]
ぱぱ★ さんたさん (北海道/44歳/男性)
このQ&Aの回答
このQ&Aに類似したQ&A