酒井 尚土
弁護士
10
養子の子の代襲相続について
- (
- 5.0
- )
まず前提として、代襲相続で相続ができるのは被相続人の直系卑属に限られますので(民法887条1項但書き)、相談者たちが養子縁組後に出まれた子であること(相談者たちが連れ子の状態で養子縁組したのではないこと)が必要となりますが、この点は大丈夫でしょうか?
以下は、この前提をクリアしているものとして回答させて頂きます。
1)について
できます。法律上は、養子縁組の解消(離縁)の手続きに当たって、養子の子に必ずそのことが伝わるような仕組みにはなっていません。協議離縁など、縁組の当事者間で離縁の届出書を作成して役場に提出するだけです。戸籍関係(父の除籍など)の調査をすれば、祖父と父が生前に養子縁組を解消していたか否かは分かるでしょう。
2)について
「相続手続きの期限である10か月」というのは相続税の申告期限のことですね。
叔母の意図について特定はできませんが、財産全部を叔母が相続するという(公正証書)遺言があるので、遺言書の内容に従って既に相続税申告・登記移転等の処理を済ませているためあなたに連絡を取らなかった、あるいは遺留分減殺請求権が行使されないようにあなたに連絡を取らないようにしているとか、相続税との関係では、そもそも申告するほどの財産がなかった、あるいは法定相続分だけの申告を済ませているとか、単に面倒であるいはほかに厄介なことがあって放置しているとか、色々な推測はできると思います。
3)について
当事者の一方が死亡した場合に生存している他方が離縁するための「死後離縁」という制度はありますが(民法811条6項)、縁組の当事者双方が死亡した後に第三者が離縁をさせることはできません。
4)について
民法は「第1042条《減殺請求権の期間の制限》減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。」と定めています。
1年3月前に祖父が他界したようですが、問題はいつから上の条文に規定されている時効の「一年間」を数えるかという点(起算点)です。あなたが「相続の開始」を知ったのはいつかという点も問題となりますが、「減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時」がいつかという点も重要です。あなたが、遺言等によって叔母に対して相談者たちの遺留分を侵害するような遺贈がなされた事実を確認したことはないというのでしたら、起算点がないので、未だに1年の期間は開始も到来もしていないとも考えられますね。事実関係によりますし、相手方との間では1年の起算点を巡って揉める可能性はありますが、書かれている内容からすると遺留分減殺請求権が行使できる可能性はあると考えられます。
以上、大阪・南森町の弁護士酒井尚土が回答しました。
評価・お礼
taro11 さん
2014/02/03 09:36
すぐに わかりやすいお返事頂けて ありがとうございます。専門的な事だし色々と調べましたが どこへ相談していいかわからず困っていたので とても有難く思います。
本当にわかりやすく説明頂いて ありがとうございました。
酒井 尚土
2014/02/03 09:49こちらこそ、評価を頂きましてありがとうございます。色々難しい問題もあると思いますが、頑張って下さい。
(現在のポイント:2pt)
この回答の相談
1)11年前に他界した父は血のつながりのない祖父と養子縁組を交わしています。父の子である私達に内緒で生前祖父は父との養子縁組の解消ができますか? 2)祖父も1年3か月前に他界 祖父に… [続きを読む]
taro11さん (大阪府/42歳/男性)
このQ&Aに類似したQ&A