事が起こった時が教えるチャンスです。

ご質問微笑ましく読みました。きっとエネルギーが有り余っている元気なお子様なのですね。人間最後に残るのは体力ですから、元気というのはとてもありがたいことです。
と言っても、確かにお母さんはたいへんです。
外に連れて行くのが不安というお気持ちはよくわかりますし、人に迷惑をかけたくないというお母様のお気持ちは素晴らしいと思います。


お子様は２歳とのことですが、２歳と言っても２歳１カ月と２歳１０カ月では全然違いますし個人差も大きいです。子どもの成長はとても早くて、１カ月のことでずい分違います。
まだ２歳になったばかりなら、本当に何も訳がわかっておらず、今からどんどん学んで吸収していく時期です。分からなくて、できなくて当たり前です。
２歳半くらいになれば、日本語もかなり理解できるようになり、物事の良しあしもわかり始めます。大人の反応をみて、していいことか悪いことか理解しようとします。
そして３歳近くになれば、オムツも取れて「もう赤ちゃんじゃない」という自覚が生まれてきます。カッコよくなりたいと言う気持ちが強くなって、いい子になろうとします。


百貨店での出来事は、店員さんの対応で事なきを得たとのことですが、その時にお子様に、起こった出来事をしっかり理解させることはできましたか？
子どもが何かをしでかした時は、なぜそうなったのか、どうしなければならなかったか、今どうすればいいのか、そしてこれからどうすればいいのかを教えるチャンスなのです。
しつけは、それの繰り返しです。

分かりやすいので、ジュースの瓶を割ってしまったことを例にお話しますが、子供はこのたった一つの出来事で、実に多くのことを学ぶことができるのです。

・瓶は落とすと割れるということ。　　これから瓶を扱う時は気をつけよう
・割れると中のものがこぼれること。　　サラサラした液体は広がるよ
・こぼれると汚れる。（ベタベタする？）　拭かなければきれいにならないね。
・割れたガラスは危ない。　　踏むと怪我しちゃうよ。片付ける時も気をつけなきゃ
・お母さんが謝っている、なぜ？　　人のものを壊しちゃったから
・人のものを壊したら、謝らなければならない。　「ごめんなさい」を言うのは誰？
・どうして落としたの？　　走っていてぶつかったから
・じゃあ、走らなければ落とさなかった？　　たぶん
・また壊して「ごめんなさい」したい？　　いやだ
・じゃあ、これからどうしたらいい？　　たくさんの物がある所では走ったらダメだね
家の中で物を落としたり、壊したりした時も同じです。ちゃんと謝らせ、自分で後片付けをさせていきましょう。


子供は悪いことをしてやろうと思ってしているわけではありません。本能のままに行動しているだけなのです。
ですからその都度、それはしていいことか悪いことかを教えていくしかないのです。
残念ながら１回や２回で理解できるものではありません。しつけは子供との根競べです。
私達が今自然に振る舞うことができているのは、子供の頃にたくさんのことをして、その度に叱られ、諭され、教えられてきたからなのです。


家でできることは、子どもが困ったことをした時に、その都度短くわかりやすい言葉で、なぜそれをしてはいけないのか、してしまった時にはどうすればいいのか、しないようにするにはどうしたらいいのかを、しっかり根気よく伝えていくことです。

恐れず外に出かけていきましょう。子どもには実地訓練が一番です。
そして、教えるチャンスを逃さないこと。人に迷惑をかけたり、危ないことをした時は、人目を気にせずきちんと叱ることです。
叱っているということがはっきりわかるように、口調にメリハリをつけてくださいね。でないと子どもには伝わりません。

子供は周りに迷惑をかけながら成長していくものです。子供は社会で育てるもの、社会で育っていくものです。
周りの全てが教材です。迷惑顔をされるのも、しつけのための教材だと思いましょう。


どんな時にどういう風に振る舞えばいいのかをきちんと教えられた子は、どこに行ってもいつでも、堂々と振る舞えるようになります。
根気よく丁寧に教え叱ってあげてください。