別の視点から

　はじめまして。東京・神田を拠点に自然素材による健康な住まいの設計を目指している遠野未来建築事務所の遠野未来と申します。

　この件にお答えしていいのか迷ったのですが、どうしても気になったので客観的な事実として他の方と違う視点でお答えします。こういう考えもあるということで、意見の1つとしてお聞きいただければと思います。

　合板を使うことはシックハウス法でF☆☆☆☆という基準で国が認めているから問題ないと、一般的な工務店さん、設計事務所では言うでしょう。おそらく90％以上はそう言うと思います。しかし、環境問題や自然素材、身体に安全な住宅をつくろうと取り組んでいる人たちは、合板やビニールクロスを全く、あるいは可能な限り使わないことも知っていただきたいと思います。F☆☆☆☆とはその中から出る「ホルムアルデヒドという物質の放散量が少ない」という意味ですが、ゼロではなく他の化学物質も入っています。

　ですから、健康を考え自然素材を扱っている建築家としては、内壁、特にお子様のお部屋の間仕切りに使われるのはおすすめできません。私ならお子様の将来を考え、そここそコストをかけて身体に安全な自然素材で仕上げます。しっくいや土壁（お子様ということで傷みを気にされるなら腰は和紙か板を貼るなど）あるいは無垢の板壁・・・など。

　またもう一つ、木の使用率について。
　私も木造の家が高温多湿な日本で一番適していると考え、木造+土壁の家をつくっています。一方で、人間は空間に入った時、木の割合がある程度以上になると脳が飽きてしまい、反応しなくなるという科学的なデータがあります。私の印象では最低でも5割を超えるとそう感じるのではと思います。その意味でも壁を合板を使わず木摺り（きずり）という杉の小割板を使った下地で、しっくい、土壁などの塗り壁にするか、ケイカル板を下地に和紙や紙のクロスを貼るということをおすすめします。

　お住まいが広島ということでしたら、広島の牡蠣を使った「瀬戸漆喰」という安全で見た目も美しい製品が出ていますのでおすすめします。木摺りの下地に使うと石膏ボードに漆喰を塗るコストと同程度で施工可能です。

　以上、これはあくまでひとつの意見として、参考にしていただければと思います。
お読みいただき、どうもありがとうございました。