対象:住宅設計・構造
遠野 未来
建築家
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●地盤置換工法について
ご質問は既に解決済みかもしれませんが、地盤改良の一つの方法として「地盤置換工法」をご紹介させていただきます。事例は、当事務所が設計・監理を行った神奈川県三浦市の「みらいのいえ」と名づけられた木造2階住宅です。
そこではスウェーデン式サウンディング試験を5カ所行い、換算N値は1〜3mまで場所によって1.5〜3.8とばらつきがあり、全ての場所で地表から1.5〜3mで自沈層があり、(荷重50〜100kgで)同時に行ったハンドオーガボーリングでも地表から1〜2mの間は黒土と言われる有機質粘土が出ました。
この結果を地盤調査会社、構造事務所と共に検討して不同沈下の恐れがあると判断し、建主さんにご説明し地盤補強をすることにしました。
そこで、選んだのが「地盤置換工法」です。
この工法は新たな技術で、他の工法が地盤を固めたり、地盤に対し突っ張るのに対し、全く逆の発想で「基礎の下の土を軽量な発泡樹脂と置き換えることにより、土の重量を軽量化し、沈下を抑制する」・・・極端に言うと「発泡樹脂の上に建物が浮かばせ、沈まないようにする」のです。「コロンブス工法」という工法名の通り、これまでと全く違う発想です。もちろん保証もあります。
素晴らしいのは、地盤の種類に左右されず、換算N値0でも対応が出来ること。地盤に対し突っ張らないので免震効果があり、今回の東日本大震災でも、東北地方でその有効性が実証されました。三浦市は震度4でしたが、その住宅ではオープンの本棚から本が一つも落ちず、基礎にクラックも全く入りませんでした。
もう一つの効果が断熱性。ベタ基礎の下に25cmの断熱材を入れていると同じなので、断熱効果があり、底冷えがしません。
気になるコストですが、施工面積89M2で工務店さんの経費込みで約120万円でした。メーカー資料では柱状改良より若干高く、鋼管杭とほぼ同等とのことです。
私は自然素材の家づくりを行っているので、正直土に還らない素材は避けたいのですが、セメントや鋼管との比較、免震と断熱効果もあること、何より「地球とけんかしない」というその原理に魅力を感じて採用し、とても良かったと思っています。
補足
地盤補強は各工法で特徴があり、場所と地盤により何がいいか一概に言えませんので、工務店さん、設計士さんとよく検討され、最適なご判断をしていただければと思います。
お住まいのご成功をお祈りしています。
以下、その住宅と地盤置換工法の写真です。ご参考になさってください。
http://www.tonomirai.com/2010/works_2010m.html
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この回答の相談
新築にあたり工務店より柱状改良工事の見積もりを提示されました。
建物は1階20.50坪 2階17.50坪で2階建てです。
地盤調査の結果スウェーデン式サウンディング試験を5箇所行い、
1.75mまでが荷重10… [続きを読む]
ショコラチップさん (千葉県/34歳/男性)
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