IFRS(国際会計基準)の適用延期に続いて、30日の企業会計審議会で、適用範囲等も見直しの俎上にのぼっているようです。
IFRSの適用を、すべての上場企業から、グローバルな上場企業だけに限定し、場合によっては、IFRS市場とでもいうような別の市場の創設するべき、との意見も出ているそうです。
このIFRSの見直し議論には、大きく2つの要因があります。
一つは、日本の産業界、つまり有力企業が、IFRS導入を負担として、IFRS見直しを強く主張しています。
もう一つは、アメリカが、IFRS採用に距離を置いたということです。
しかし、これらの議論では、少し欠けている視点があります。
1つ目は、アジアの状況。
隣国の中国・韓国はいち早くIFRSを適用しています。世界の投資家からアジアを見た時に、どう映るでしょうか?
今後成長していく中国・韓国のIFRSベースの決算書と、独自基準の日本企業の決算書。
アジアの証券市場での、東証の地盤沈下が気になります。
2つ目は、国内に何種類もの会計基準が併存すること。
上場企業は、3つの基準によって作られた決算書があることになります。
・従来の日本基準
・国際会計基準
・米国基準
これでは、各社の決算書を並べて見た時に、比較することが難しくなりますよね。
そして未上場企業は、
・税務基準
・中小企業会計基準
上場企業とも違う、いずれかの基準です。
結局、日本には、全部で5つの基準があることになります。
仕事柄、いろいろな会社の決算書を見る機会があります。
しかし、これだけいろいろな基準で作られた決算書を見ていて、会計・税務のプロとしても、どれが一体本当の決算書と言えるのか、疑問に感じてきます。
国内の普通のビジネスマンが、これらの違いを十分理解できるのでしょうか?
まして、世界から見ると、どうなのでしょうか?
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このコラムの執筆専門家
- 森 滋昭
- (東京都 / 公認会計士・税理士)
- 森公認会計士事務所 公認会計士・税理士
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監査・税務・ビジネス、”3つのキャリア”で、約20年。 その間、いつも「決算書の数字の奥にあるものをみる!」感覚を研ぎ澄ましてきました。 だから・・・ベンチャーから上場企業まで、あなたの会社の、一番の社外サポーターに!
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