- 小松 俊明
- リクルーターズ株式会社 経営コンサルタント (専門/人材ビジネス)
- 東京都
- 経営コンサルタント
対象:仕事・職場
- 須貝 光一郎
- (ビジネスコーチ、経営者コーチ)
- 阿江 忠司
- (ビジネスコーチ)
ここ数年、退職勧奨(リストラ)の事例が世間的に大変増えています。特に金融ショックのころから激増しました。 そうした中で聞かれる言葉が、「人件費の削減」です。つまり社員をリストラすることで、企業は人件費という名のコストの削減を実現します。
私は仕事柄、企業の経営者や人事部長、そして再就職支援会社とも近い距離にいます。そこで気がつくのは、経営者も人事部長も、そして再就職支援会社でさえも、労働基準法、労働契約法の専門家ではないということです。
つまり「人件費の削減」という名のリストラを行うためには、実際のところは労務に詳しい弁護士の指導があります。このため今、世の中に横行しているリストラを企業が推進するためのノウハウは、だいたい同じところにその出所があるようです。
企業の人事担当者はこのトピックに関する勉強会を重ねるようになり、実際に退職勧奨の実例も増えて、言わば退職勧奨に対し、企業の現場は自信を深めている傾向があります。
退職勧奨は、つきつめれば「コミュニケーションの手法」です。だからこそ、手法が定まっていても運用するのが「個人」であることから、実際にはそのコミュニケーションに誠意があるかないか、日頃の信頼関係がどうであったかによって、企業の思惑通りにリストラが進むのかどうか、大きく結果は別れるところです。
そもそも経営者や幹部社員の経営責任が問われることなく、中間管理職や長期就業者(高齢者)を対象に「人件費削減」という名のもとに一方的な退職勧奨を行っているわけです。企業の立場からすれば、リストラする相手に対しては「選別は相対評価ではなく絶対評価である」と言います。つまり評価が低いからリストラの対象になったと言うのです。
一方、現実は「二人に一人リストラしなければいけない」という会社の事情も見えてきます。社員の方がどれだけ貢献してきたとしても、相対評価で自分がリストラの対象にされたとしたら、「それはフェアじゃない」と感じるに違いありません。
「あなたには深刻な問題がある」という言い方で、リストラを迫る手法があります。つまり漠然な理由づけをして、絶対に具体的に明確な理由は言わずして、退職に追い込むという手法です。ビジネスは一種のサバイバルゲームかもしれませんが、こうしたまったく血が通わない手法でリストラをする会社も多いものです。本来は上司の成績が悪く、自らの能力が足りなくても、リストラされるのはまずは中間管理職の部下であることが多いものです。
残念ですが、こうした話は今社会に蔓延しています。外資や日系、もしくは企業の大小にかかわりません。このように日本の雇用は今、とても不安定な状態にあるというのが実態なのです。厳しい世の中だと思います。
「人件費の削減」とは、なんとも嫌な響きです。経営者や上司にあたる人物はリストラ対象者を「採用した責任」、「育成に失敗した責任」は当面のところは問われませんからね。
最後に一つお伝えしたいことがあります。大きな視点で見れば、仮に今回一つゲームを落としたって、また別の試合で取り戻せばいい。人生は何度でもやり直すべきものであって、一度レールに乗ったからといって、そのまま終着駅まで運んでくれる会社はないと思うべきなのでしょう。万が一、リストラの対象になったら、いっそのことすっきりともらうものをもらってさっさと辞めて、あとはできるだけ早く自分が立ち直り、以前よりもっと大きく成功して相手を見返してやるのはいかがでしょうか。
リストラする側も仕事、された側もそれもまた仕事。フェアではないし、正しいくもないかもしれません。但し、会社も社員も追い込まれた時、いわば非常事態においてはそうしたフェアか正しいかどうかの議論をやりすぎても、らちがあかないのかもしれません。
深く考えてみると「人件費削減」なんていうコンセプト、使い慣れた言葉かもしれないけれど、本当に非人道的な考え方です。ただ、面白いことにひとつ、私が見つけた法則があります。
「リストラするモノは、リストラされる」
これ、結構真実です。実際、そういう人をたくさん見てきました。一人だけいつまでも得しつづけるなんて、この世の中、そんなに甘くはない・・・私は、そういう考え方をするようにしています。
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