震災の直後だったと思いますが、あるラジオ番組でパーソナリティの方が、「今まで自分たちが重要な仕事だ、大事な打ち合わせだと言って、それなりの使命感を持ってやってきたことは、こんな時に困っている人の役に立たないし、人の命に関係ある訳でないし、実は自分たちが勝手に思い上がっていただけで、大したことをしている訳では無いのだと思った」と話されているのをたまたま聞きました。
そう言われると、私の人事コンサルタントという仕事も、人の命に関係がある訳でもなし、衣食住に貢献しているわけでもなし、困っている人を直接助けられるわけでもなく、無ければ無いで済んでしまう仕事ではないかと思いました。
今回のような災害の中で、自分が人様に役に立つにはどうしたらよいのかということをよく考えるようになりましたが、考えれば考えるほど、自分のできることは大したことがないし、自分がやっている程度の仕事は、あってもなくても大差が無いなぁなどと思ってしまいます。
もしかすると、プロスポーツ選手や芸能人、レジャー産業の人やその他さまざまなサービス業の人などは、みんな私と同じような感覚だったのかもしれません。「スポーツなんて、困っている人からすれば遊びの延長だろうから、こんな時にやっていてよいのだろうか」「こんな時に楽しんで笑っている場合だろうか」「遊びを勧めるなんて不謹慎ではないか」といったように、直接役に立っていない、貢献していないという思いで、自分の仕事そのものの価値や自分自身の存在意義まで疑う気持ちになっていたのではないかと思います。
その後少し時間が経った最近になって、プロ野球やJリーグの本拠地開幕の様子、多くの芸能人が慰問やボランティアをしている様子、被災者を観光地やイベントに招待している様子などを見ていると、直接は助けになっていないかもしれないけど、その人ができる得意分野の事を一生懸命やることが、間接的であっても何らかの助けになるような気がし始めています。
私にできる事は、ご依頼いただいた企業が少しでも良い環境になるように、制度づくりや研修、その他コンサルティングなど、人事という側面を通じてお手伝いすることしかありません。
今は、お客様から与えて頂いたテーマを精一杯こなしていくことが、間接的であっても貢献につながると信じて、自分のできる事に取り組んでいこうと思っています。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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