叔父の名前を叫びながら教室を廻ったが返事が帰ってこない。よし区役所だ。学校を飛び出した時、携帯電話が鳴った。
声の主は妻からだが電波状態が非常に悪い。何を言っているのか全然判らない、多分携帯電話の中継所も被災しているのだろう。電気も無いはずだからここで通話出来たのが不思議なくらいだ。
受話器の向こうで大声で何か叫んでいる。途中で途切れてしまったが数分後また掛かってきた。今度は前より鮮明に聞こえる。叔父の消息が判ったとのこと。
西神ニュータウンにいる従兄弟の家に夫婦そろって避難していたのだ。電話が不通でどうしても連絡がとれず公衆電話を数時間並んでやっと知らせて来たとのこと。急に体中の力が抜けていった。さあこれからどうして奈良に帰ろう。
この時ここに来た事を一番後悔した。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
06-6714-6693
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