「人事制度の形骸化」に対してやるべきことを考える - 人事評価・賃金精度 - 専門家プロファイル

ユニティ・サポート 代表
東京都
経営コンサルタント
03-4590-2921
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:人事労務・組織

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

「人事制度の形骸化」に対してやるべきことを考える

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 人事労務・組織
  3. 人事評価・賃金精度
社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験

 私がご相談を頂くテーマに、人事制度の関するものは多いですが、その中でも「制度の形骸化」という話が良く出てきます。

 

 形骸化というのは、当初の意義や目的が忘れられて、手続きなどの形だけが継続されているような状態です。会社にはいろいろな制度や仕組みがありますが、人事制度はその中でも形骸化しやすいものの一つです。

 

 その理由はいくつもありますが、最も大きなものは、手間がかかる割には自分に直接どんな影響があるのかを実感しづらいということがあります。社員の処遇を決める重要な仕組みであるにもかかわらず、特に評価を担当する上司の側には、そういう意識の薄いケースが見受けられます。

 

 マネージャークラスの人たちにとって、時間や手間が取られる割に、自分の仕事への直接的な影響は感じられないとなれば、それはただの「めんどくさいこと」になります。

立場としてその「めんどくさいこと」をやらなければならないとなれば、事務的にイヤイヤこなすだけになり、まさに形骸化していきます。

 

 こんな形骸化をさせないための方法はただ一つで、制度を運用することによって、自分へのメリットが感じられるかどうかです。しかし、それはなかなか簡単には行かないことで、そのためには小さなことも含めて、「めんどくさい」と感じさせない様々な工夫が必要になります。

 

 初めは、記入書式や処理手順といった事務処理プロセスの工夫があり、さらに、評価人数などの作業工数を軽減する工夫や、面談などのコミュニケーションの場を実務に活かしてもらえるようにする工夫などがあります。

特に、制度を導入したばかりの頃に出てくる些細な不満は、それを放置すると、社内に「今の人事制度はめんどくさい」という認識が噂のように広まり、後から立て直すことが難しくなります。できることには迅速に対応することが望ましいです。

 

 そうは言っても、この手の不満が出始めると、それを増幅するような動きというのは、なかなか止められません。

 そんな中で、これはある会社で実際にやったことですが、人事制度や評価の手続きに関して、中には理不尽とも思える批判までがされていたところで、あえて「それでは言う通りに全部やめましょう」と、すべての人事制度を一時廃止したことがあります。多くの会社に適用できる方法ではありませんが、この会社での不満の発信のされ方、マネージャーたちの態度などを総合判断した上でのことです。

 

 ここまでやってしまうと、それまで声高に批判していたマネージャーたちは、人事制度を通じて行っていた部下とのオフィシャルなコミュニケーションや、仕事上の評価を含めた様々な話を伝える機会を失います。

 制度で決められたものが無くなってしまうと、それを補完する手段は自分で考えなければなりませんが、実際にそれをやろうとすると、時間調整その他で意外と手間がかかることに気づきます。もしも手間を惜しんでサボってしまうと、今度は部下たちから突き上げられたりします。

 

 このように、人事制度が本当になくなってしまうと、自分たちにも困ることがあるということを、はっきり思い知ると、そこで初めて、何が必要でどんな仕組みにすればよいのかという建設的な議論が成り立つようになります。

 

 人事制度を形骸化させないためには、それを運用する社員たちに、それなりのメリットを感じてもらう必要があります。

 人事担当者はしっかりと現場の意見を聞き、できるだけの対応をしていくことが原則ですが、それではどうしてもうまく行かない時には、こんな荒療治が必要になることもあるかもしれません。

 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(東京都 / 経営コンサルタント)
ユニティ・サポート 代表

組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。

03-4590-2921
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。

カテゴリ 「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム

カテゴリ このコラムに関連するサービス

対面相談 【対面】「活気がない」「やる気が出ない」職場活性化を考える

当事者では気づきづらい組織風土の問題をアドバイス。同テーマ商品の対面相談版です。

料金
6,000円

「今一つ元気がない」「何となく一体感がない」など、職場の風土や雰囲気に関する悩みについては、当事者しかわからない事情とともに、当事者であるために気づきづらい事もあります。これまでのコンサルティングで、活気を維持する、活気を失う、活気を取り戻す、という様々な事例、プロセスを見た経験から、会社状況に合わせた原因分析、対策をアドバイスします。(同テーマのメール相談を、より詳細に行うための対面相談です)

【対面】「活気がない」「やる気が出ない」職場活性化を考える

このコラムに類似したコラム

「理想の仕事」という調査結果を見て思ったこと 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2022/11/30 22:00)

人事制度改革で「あまり変えないでほしい」と言った社長 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2022/07/20 21:40)

「計画作り」に疲れて「実行」がおろそかになってしまう話 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2022/05/19 07:00)

その「報告書」「社内資料」「会議」は本当に必要か? 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2021/11/18 07:00)

方針が示されないから制度が作れない? 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2021/08/31 07:00)