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自家版租税教室:全文掲載前半

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※小学校高学年向けの「税金入門」に関する記事です。

 

 

 

税金とは何か?をお話する前に、まず「公共」というものについて考えてみます。

 

 

 

皆さんが自分の家から学校に来るまでには、何があるでしょう?

 

 

 

・道路

 

・信号機

 

・横断歩道

 

 

 

こういったものがあったのではないかと思います。

 

もし道路がきちんとしていなければ、ガタガタ道の上を歩いてこなければなりません。

 

信号機や横断歩道がなければ、安心して学校まで来ることは大変でしょう。

 

 

 

こうやって、皆で使うものを「公共の財産」と呼んだりします。

 

財産、というのは「価値があるもの」ということで、なんとなくわかってもらえるのではないでしょうか。

 

ただ「公共」という言葉は、少しわかりづらいかもしれません。

 

 

 

ここで、公共というものについて少し話を続けてみます。

 

「公共」というのは、皆で一緒になって使うものです。

 

学校に来るまでの道路は「田中さんのもの」でも「鈴木さんのもの」でもありません。

 

道路は誰か一人のものではなく、色々な人が通るために用意されています。

 

 

 

では、その道路は誰が、どうやって作ってくれるのでしょう?

 

 

 

ここで、ちょっと場面を転換してみます。

 

今年の冬は、全国的に雪が沢山降りました。

 

雪が多い地方では、道路に雪が積もらないように水が出続けたり、雪を溶かすような装置がついていることがあります。

 

 

 

いま、この雪が積もらないようにする装置を新しく街のどこかに設置することにしたとします。

 

雪があまりにも多くて学校に来るのが大変なので、学校に来やすくなるように、と取り付けてもらえることになったのです。

 

そのとき、街のどこに設置をするのが一番良いでしょう?

 

 

 

この質問に対する答えは、人によって変わってくると思います。

 

駅の方から学校に来る人は、当然「学校と駅の間に装置を付けて欲しい」でしょう。

 

逆に山側から学校に来る人は「坂道で大変だからそっち側に付けて欲しい」はずです。

 

はたまた川の方から来る人は「風も強いし雪だけでもなんとかしてほしい」と思います。

 

 

 

では、誰の言っていることに従うのが良いのでしょうか?

 

 

 

雪を溶かす装置をつける場所を決めるのに、どんな方法が考えられるでしょう?

 

 

 

・一番ケンカが強い人の言うことをきく

 

・一番お金をもっている人の言うことをきく

 

・一番声が大きい人の言うことをきく

 

・じゃんけんで決める

 

 

 

どれも方法としてはわかりやすいものです。

 

でも、この方法で装置を付ける場所を決めてしまって、本当に良いのでしょうか?

 

 

 

公共というのは「みんなで使うもの」です。

 

でも、ここで言っている方法で決めてしまうと、どういうことが起こるでしょう?

 

 

 

ケンカが強い人、お金をもっている人、声が大きい人のところにばかり便利なものが集まってくることになります。

 

じゃんけんはその時の運次第なのでそういうことはないかもしれませんが・・・

 

でも「本当に装置が必要な人」のところにつけられるかどうかはわかりません。

 

 

 

公共というものを上手に保つには、何か別の方法を考えないといけなさそうです。

 

 

 

先程の「ケンカ」「お金」「声が大きい人」が優先される方法は、何が駄目なのでしょう?

 

それは

 

 

 

・装置が欲しい人に直接意見をきいていること

 

 

 

これだと思います。

 

 

 

公共は皆で使うものです。

 

だけど、使う人側の意見をきいていると、皆が納得できる決め方をすることは難しそうです。

 

 

 

なので、使う人側の意見ではなく、別の誰かに「装置はここにつけます」と決めてもらう必要がありそうです。

 

その誰かに

 

 

 

・どこに装置をつけるのが一番良いかな?

 

 

 

ということを一生懸命考えて、置く場所を決めてもらうと良さそうです。

 

これなら、使う人の意見に左右されず、「公共」というものが上手に保たれていきそうです。

 

 

 

では、この「誰か」は、誰にやってもらえば良いのでしょう?

 

 

 

公共を上手に保つためには、皆で使うものをどうやって用意するのか、誰かに考えてもらう必要があります。

 

その「誰か」は、一人や二人の人間ではできません。

 

 

 

例えばこの街だけで考えても、すごく沢山の人が住んでいます。

 

その人みんなが使うものも、たくさんありそうです。

 

そんな沢山のものを使う方法を、少ない人数で考えるのは大変そうです。

 

 

 

なので、決めるための「誰か」は多くの人数で、チームとして担当してもらったほうが良さそうです。

 

このチームを「行政」と呼びます。

 

 

 

例えば皆さんがいるこの場所は、正しくはなんという場所でしょう?

 

(※ウチの子供は川崎市立の学校に通っています)

 

川崎市立◯◯小学校です。

 

この「川崎市」というのが、いまいったチームです。

 

 

 

このチームは、色々なところにあります。

 

例えば川崎市の隣には横浜市というチームがあります。

 

川崎市と横浜市は、神奈川県という大きなチームに所属しています。

 

更に、川崎市の中には高津区や中原区といった、もう少し小さなチームもあります。

 

 

 

いま皆さんがいる場所は「日本国神奈川県川崎市高津区」です。

 

さっき言った行政というチームが、この中にいくつも入っているのがわかるでしょうか?

 

 

 

公共は、行政という色々なチームがそれぞれに担当する分野で仕事をしています。

 

例えば学校だけで考えても

 

 

 

国立大学

 

県立高校

 

市立中学校・小学校

 

 

 

皆さんの周囲にもこういう名前のついている学校が沢山あるかと思います。

 

いま皆さんがいるのは

 

 

 

川崎市というチームが作った◯◯小学校

 

 

 

です。

 

あと、皆さんがお世話になっている先生たちは「チーム川崎市」で働いている人たちです。

 

こうやって行政で働いている人たちを公務員と呼びます。

 

 

 

さきほどお話した通り、公共というのは皆で活用すべきものです。

 

公共を皆が上手に使えるように保つのが、行政というだということもお話しました。

 

 

 

ところで、公共を保つための方法は行政の人たちに任せる以外にないでしょうか?

 

例えば、皆で使うものなのだから皆でいっしょに公共を守っていくのはどうでしょう?

 

 

 

実際、このような活動は存在します。

 

ボランティアと呼ばれるような活動では、多くの人々が無償で公共を守るためにがんばっています。

 

 

 

ボランティアは、これからの時代において公共をよりよくしていくために必要不可欠な存在です。

 

以前には存在していなかったインターネットやSNSを通じて、様々な種類のボランティアが活動しています。

 

 

 

公共に求められる機能は、常に変わり続けています。

 

皆さんも「少子高齢化」という言葉はきいたことがあると思います。

 

お年寄りが増えて子供が減っている状況が進む中、以前には大丈夫だったことが問題化していることも増えています。

 

 

 

皆さんの身近にも、公共の力を必要としている人は沢山います。

 

そのような中で、行政だけに頼るのではなく、ボランティアの力も活用して公共をよりよくしていくことは大切なことです。

 

 

 

ボランティアによる公共の運営が大切であることは事実です。

 

ただし、その限界は存在します。

 

 

 

例えば、雪国を想像してみましょう。

 

世界で一番雪が降る地域はどこなのか、皆さんはご存知ですか?

 

 

 

実は日本の東北地方なのだそうです。

 

日本海側は世界で最も雪が降りやすい地域で、ひと冬に10メートル近くの雪が降るのだとか。

 

10メートルというと、建物でいえば3階建てくらいでしょうか?

 

 

 

これだけ雪が降ってしまうと、除雪作業をしなければ身動きが取れなくなってしまいます。

 

街を守るため、つまり公共を守るためには雪かき作業が必要なのですが・・・

 

 

 

この量の雪かきを「ボランティアにお願いします!」とお願いできるでしょうか?

 

ちょっと難しいのは、皆さんもお分かりいただけるかと思います。

 

 

 

ボランティアによる公共の維持は、地域に存在する沢山の小さな課題を解決するのには向いています。

 

でも、いま紹介したような大きな課題を解決するには、ちょっと不向きな面があります。

 

 

 

ボランティアだけで公共を維持することは難しい。

 

それでは、どうすれば公共を維持することができるでしょう?

 

 

 

・・・ここで、皆さんに身も蓋もないお話をします。

 

ずばり「お金の力は結構スゴイ」ということです。

 

 

 

お金がすべてではない、というのは本当です。

 

後でお話するように、私は税理士という常にお金に関わるお仕事をしています。

 

その仕事を通じて、お金があれば絶対幸せになれる、というわけではないことをよく知っています。

 

ただし、その一方で「お金の力で多くのことが解決できる」ということも知っています。

 

 

 

例えば先程の雪かき。

 

ボランティアの力だけで街中の雪かきをすることは無理です。

 

しかし、お金の力を使うとそれが可能になります。

 

 

 

「街中の雪かきをして下さい」というお仕事を、誰かに頼めば良いのです。

 

ボランティアでは動けなくても、お金をもらえる仕事となれば動ける人は出てきます。

 

公共を維持するためにお金を使う、これは別に悪いことでもなんでもありません。

 

 

 

ここで行政という言葉を思い出して下さい。

 

行政は公共を上手に守っていくためのチームだと説明しました。

 

 

 

公共を守るためのチームが行政です。

 

そして公共はボランティアだけでは維持できず、お金の力が必要だということも説明しました。

 

 

 

つまり

 

 

 

・お金を使って行政を上手に動かすことができれば、公共が守られる

 

 

 

ということを意味します。

 

 

 

ちょっと考えてみればわかることですが・・・皆さんに勉強を教えてくれる先生だって生活があります。

 

ボランティアで生徒に勉強を教えてください、では明日のご飯にだって困ってしまうでしょう。

 

 

 

先程、行政で働く人たちのことを公務員と呼ぶとお話しました。

 

公務員の人たちだって、働いているからにはお金が欲しいのは当たり前のことです。

 

 

 

チーム行政には、公務員以外にも様々なものがあります。

 

市役所や学校といった建物、道路などですね。

 

これらを建設、維持していくためにも、やっぱりお金の力は必要なのです。

 

 

 

行政を上手く動かして公共を守るためのお金には、特別な名前がついています。

 

それが「税金」です。

 

 

 

皆さんも税金という言葉はなんども聴いたことがあると思います。

 

多分、こんなイメージじゃないでしょうか?

 

 

 

・なんか嫌なものらしい

 

・なんか高いものらしい

 

・なんか無駄遣いされているらしい

 

・なんか政治家さんとかが色々とやっているらしい

 

 

 

この世の中で、税金のことを良く言う人はほとんどいません。

 

ただ、それでは税金がなくなってしまったらどうなるのか?

 

ボランティアだけで公共を守ることは可能なのか?

 

残念ながら、それは難しいでしょう。

 

 

 

皆さん一人一人や、お父さんお母さんにとって、税金はあまり好きなものではありません。

 

でも、公共を守っていくためには、税金はないと本当に困るものなのです。

 

 

 

繰り返しになりますが、公共を守るために活動しているのがチーム行政です。

 

そこで、チーム行政は次のような活動をします。

 

 

 

1.多くの人々から税金を集めて回る

 

2.集めた税金を計算して、何にどれくらい使うのかを考える

 

3.考えた結果に従って、税金を色々なところに支払って仕事をしてもらう

 

 

 

税金の使いみちは様々です。

 

 

 

・学校を建てるために建設のお仕事をしている人に仕事を頼む

 

・皆さんがお昼に食べる給食を作るために材料費や水道電気代を支払う

 

・理科の実験で使う道具を買う

 

 

 

学校以外でも沢山あります。

 

 

 

・道路を作ったり補修したりする

 

・水道工事を通じて家に水が届くようにする

 

 

 

最近の例でいえば「オリンピック、パラリンピックに向けて外国人の人をもてなす準備をする」なんてものもあります。

 

 

 

チーム行政の人たちは、集めた税金をどうやって使うのか常に考え続けています。

 

先程も少し触れましたが、公共を守るための課題は常に変化が続いています。

 

 

 

いまから数十年前、日本では高度経済成長時代というものがありました。

 

皆揃ってどんどんお金持ちになって、街中がイケイケ状態だったのですね。

 

人口も増え続け、住むための家も足りなくなり、日本中で建物がニョキニョキ建ち続けました。

 

 

 

このような状態のとき、行政は公共を守るためにどんなことをしたでしょうか?

 

 

 

・道路をバンバン作って動きやすいようにした

 

・学校をどんどん作って増え続ける生徒を受け入れた

 

・大きなスーパーを呼び込んで、買い物をしやすいまちづくりをした

 

 

 

行政の仕事は「盛り上げる」ことが中心でした。

 

しかし、現在は少子高齢化時代に入り、以前のような経済成長は見込めません。

 

 

 

当然、チーム行政の仕事も変化しなければなりません。

 

チーム行政にとって大切なのは、公共にいま必要なのは何で、そのためにどう税金を使うのか?を考え続けることです。

 

 

 

行政は税金の使いみちを必死に考え続けなければなりませんが・・・

 

ここで「公平」という言葉について考えてみたいと思います。

 

 

 

ちょっとアンケートを取らせて下さい。

 

ここにはいま、大体100人くらいの生徒さんがいらっしゃいます。

 

この中で左利きの方は手を上げて下さい。

 

(100人中、このときは約5人が手を上げた)

 

 

 

はい、ありがとうございます。

 

それでは皆さんに少し質問をしてみたいと思います。

 

 

 

・右利きの人が全員「なんとなく調子が悪い」という症状になる病気

 

・左利きの人が全員「本当に辛い頭痛」という症状になる病気

 

 

 

どちらかの病気に対して、税金で研究を援助することにします。

 

このとき、どちらの病気に対してより積極的に対応すべきでしょうか?

 

(このとき、小学生は「それなら左利きの人を優先すべきでは?」という意見が多数)

 

 

 

なるほど。

 

それではもし「右利きの人がそれなりにひどい頭痛に悩まされる」だとしたらどうでしょう?

 

(小学生、なんとなく意見が分かれてくる)

 

 

 

はい、だんだん判断が難しくなってきましたね。

 

 

 

公平という言葉はなんとなく皆さんもわかっていると思います。

 

でも、実際に公平を実現するのは、本当に難しいことがわかるでしょうか?

 

 

 

先程の例でいえば「右利きの人を助ける」ことは「左利きの人を見捨てる」ことと同義です。

 

もちろん逆のことも言えます。

 

 

 

多数派の「なんとなくの不便」を解消するのが良いのか?

 

少数派の「かなり大変なこと」を助けるのが良いのか?

 

両方同時に対処できれば、それに越したことはありません。

 

 

 

しかし、残念ながら問題解決のために費やせる資源は、限られていることが多いです。

 

時間、人手、それにお金・・・これらは限られたものであり、無制限に使えるわけではないのです。

 

 

 

実はこのようなことを必死に考え続けている人たちもいます。

 

「正義」と呼ばれるものを研究している人たちですね。

 

 

 

「10人の人間を助けるために1人の人間を見殺しにしなければならない」

 

このような仮定を用いて必死に考え続ける、という授業をやっている大学が実際にあります。

 

 

 

正義と公平は同じ意味ではありませんが、似通っている部分もあります。

 

税金についての「公平」は、実は2つの方向から考える必要があります。

 

一つは先程も考えた「税金の使いみち」です。

 

もう一つについては、あとでもう一度触れますので、ちょっと覚えておいて下さい。

 

 

 

話を税金に戻したいと思います。

 

公共を守るためにチーム行政は仕事をしています。

 

その仕事をスムーズに進めるために、税金というお金を使います。

 

 

 

さて、それでは税金はどうやって集めるのでしょう?

 

答えは「日本に住んでいる多くの人々から集める」です。

 

皆さんの保護者さんも、ここにいる先生も、もちろん私も、そして皆さんも税金を納めています。

 

 

 

憲法という言葉を聴いたことがあると思います。

 

憲法というのは法律のボスです。

 

何か法律を新しく作るとき、憲法に違反するような内容のものは作れないことになっています。

 

そういう大切なものなので、憲法については簡単に内容を作り変えたりすることができないようになっています。

 

 

 

その憲法に「日本国民の三大義務」というものが定められています。

 

皆さんはご存知でしょうか?

 

(小学生、パラパラと答えてくれる)

 

 

 

はい、その通りです。

 

・教育

 

・勤労

 

・納税

 

 

 

この3つが国民の三大義務です。

 

 

 

ここで憲法の第三十条の条文を読んでみましょう。

 

 

 

「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」

 

 

 

はい、実はこの一文の中には、ものすご~く大切な内容が含まれています。

 

それは「法律の定めるところ」という部分です。

 

 

 

ここで税金の歴史を振り返ってみます。

 

税金という仕組みは、随分と昔からありました。

 

しかし、どうやって税金を集めるのか?という点に関しては色々なことがありました。

 

 

 

例えば昔、とあるところではこんなことがあったかもしれません。

 

 

 

王様

 

「なんか私の髪の毛が薄くなってきたからムカつく」

 

「私より髪の毛が長いやつは、その長さに応じて税金をかけよう!!」

 

 

 

そんな無茶苦茶な・・・と思うかもしれません。

 

しかし、王様と呼ばれる人が絶対の権力を有している場合、逆らうこともできません。

 

税金というのは「権力者の思いつき」で負担しなければいけなかった時代があるのです。

 

 

 

このような権力者の気まぐれで税金を課され続けた結果、色々な戦いが起こりました。

 

そんな中で定められてきたのが

 

 

 

・税金は法律に基づいて負担すべきだ

 

 

 

という考え方なのです。

 

権力者の気分や機嫌で決まるのではなく、しかるべき手続きを踏んで、法律に基づいて負担をする。

 

これが長い歴史の中で獲得した人間の知恵なのです。

 

 

 

先程、日本国憲法の第三十条を紹介しました。

 

先程も紹介した通り、憲法というのは法律のボスです。

 

ですので、そこに書ける内容は非常に限定されています。

 

この中に書かれているものは、法律の中でも厳選されたとっっっても大切な内容なのです。

 

 

 

実は憲法には、もう一つ税金に関するものが含まれています。

 

第八十四条にはこのように書かれています。

 

 

 

「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」

 

 

 

新しく税金を負担させる場合には、ちゃんと法律を定めなさい、というルールです。

 

源泉すべき憲法の内容に、わざわざ2つの条文を割いていることからも、憲法が税金を重視しているのがわかります。

 

 

 

皆さんは社会の授業で三権分立について勉強をしましたか?

 

ひょっとしたら国会見学に行ったりもしたでしょうか?

 

(小学校六年生の間に一度くらい見学に行っていることが多い模様)

 

 

 

はい、三権分立、1つずつ言って下さい。

 

(パラパラと回答あり)

 

 

 

・司法

 

・立法

 

・行政

 

 

 

はい、ありがとうございます。

 

司法というのは裁判所ですね。

 

行政は内閣、つまり内閣総理大臣や◯◯大臣と呼ばれる人たちは

 

 

 

・日本の行政、つまり公共を守る仕事をしている人たち

 

 

 

ということになります。

 

そして皆さんが行った国会議事堂、あそこは国会が仕事をする場所です。

 

立法、つまり法律を作るのがお仕事です。

 

当然、税金に関する法律も国会で議論され、作られています。

 

 

 

租税法律主義の考え方に基づき、国会では税法の内容が話し合われます。

 

ここで注意が必要なのは、税法は一度作ったら終わりではないということです。

 

 

 

世の中の景気と呼ばれるものや、必要となるものは変化を続けています。

 

皆さんもご存知の通り、今の日本は少子高齢化が進んでいます。

 

皆さんのような子供の数が減って、お年寄りの数が増えているのですね。

 

 

 

この状態が進むと、どういうことが起こるかわかりますか?

 

国の中で働ける年齢の人が減ってくることになるのです。

 

 

 

もちろん、年をとってもできる仕事はたくさんあります。

 

これからITやAIと呼ばれるものが発展してくると、高齢者でもできる仕事は増えてくるでしょう。

 

 

 

しかし、それでもやっぱり働き手の数が減ることは大きな影響があります。

 

そのような状態になってきたとき、税法が以前のまま変わらないと

 

 

 

・使わなければいけないところに税金が回せない

 

 

 

ということが起こってしまいます。

 

 

 

国会で税法が話し合われるとき、何を中心に議論するのかわかりますか?

 

それは

 

 

 

・誰に、どれくらいの税金を負担してもらうのか?

 

 

 

ということです。

 

例えば、現在日本には大体1億人くらいの人がいるとされています。

 

その人達を分ける方法は色々とあります。

 

 

 

・男と女

 

・高齢者と大人と子どもと赤ちゃん

 

・結婚をしている人とそうではない人

 

・沢山稼いでいる人とそうではない人

 

・土地をたくさん持っている人とそうではない人

 

・会社に努めている人と自分で仕事をしている人

 

 

 

さて、ここで先ほどお話をした公平について考えてみたいと思います。

 

税金の負担を考えたとき、公平というのはどのような状態をいうのでしょうか?

 

 

 

税金は公平に負担しなければならない、という考え方を租税公平主義といいます。

 

先ほど紹介をした「租税法律主義」と一組になっている、大切な考え方です。

 

 

 

それでは、次のウチどちらが公平でしょうか?

 

 

 

・沢山お金をもっている人も、そうでない人も持っているお金のうち2割を税金として負担する

 

・沢山お金をもっている人は3割負担、普通の人は2割負担、あまりお金がない人は1割負担する

 

 

 

皆さんは、どちらの方が公平だと感じますか?

 

 

 

(小学生に意見を聴いてみる、大概は後者の方が公平だと感じることが多い模様)

 

 

 

なるほど、お金をたくさん持っている人にはそれだけ税金を負担してもらう。

 

これが皆さんの考える公平ですね?

 

 

 

それでは、いっそこうしたらどうでしょう?

 

 

 

・沢山お金をもっている人は8割税金、そうでない人は1割だけ負担する

 

 

 

この方がもっと公平でしょうか?

 

 

 

お金を沢山もっているのだから沢山税金を負担してもらおう。

 

そのことに納得をする人は多いみたいです。

 

でも、もし8割も税金で負担しなければならないとしたら、どんなことが起こるでしょう?

 

 

 

・どんなに頑張っても全部税金で持っていかれるのだったら、もう頑張るのはやめよう

 

 

 

こんな風に感じる人が出てくると思いませんか?

 

 

 

お金持ちに負担をさせ過ぎると社会全体でのやる気が下がる。

 

かといって、それでは全員が同じように税金を負担するのは、お金持ちを優遇してそうでない人に負担が高い。

 

 

 

それでは、どれくらいにしておくのが一番良いのでしょう?

 

 

 

この質問に対して、唯一の正解はありません。

 

強いていえば、この質問に対する答えは皆さん自身が一人ひとりで考えるべきことです。

 

 

 

実はこのことが、選挙と呼ばれる制度とすごく密接に関わってきます。

 

皆さんも成人したら、選挙で投票をすることができます。

 

そのとき、税金のことも選挙の投票基準となるのです。

 

 

 

選挙というのは何をしているのかというと

 

 

 

・法律を作る人達を選ぶもの

 

 

 

です。

 

実際にはそこまで単純ではありませんが・・・この部分が一番大きいのは確かです。

 

 

 

選挙のとき、候補者の人たちはそれぞれ

 

 

 

・私はこの国、県、市をこんな風にしていきたい!!

 

・そのためにこういう法律を作っていこうと考えている!!

 

・だから私の考え方に賛同して頂けるのであれば、ぜひ私に投票をして欲しい!!!

 

 

 

ということを訴えています。

 

税金についても同様で、各候補者は

 

 

 

・どんな人達に対して

 

・どんな税金を

 

・どれくらいの率で負担してもらうべきか

 

 

 

ということを訴えています。

 

皆さんは、自分で考える「公平と思われる税金の負担方法」と一致する候補者を選べばよいのです。

 

 

 

いま言った方法は

 

 

 

・自分の考え方に近い人を応援することで、自分の理想に近い社会にしてもらう

 

 

 

という方法です。

 

先ほどもお話した通り、税金一つとっても「誰にどれくらい負担してもらうのか」は唯一の正解がありません。

 

このことについて「これが唯一の正解だ!」という大人がもしいたら、その人の言うことは疑った方が良いです。

 

 

 

もちろん、選挙で争われるのは税法のことだけではありません。

 

税法の議論というのは、主に「どうやって税金を集めるのか」というお話です。

 

ソレ以外にも「集めた税金をどこに使っていくのか?」ということも議論となります。

 

 

 

もちろん、税金以外の点も色々と話にはなります。

 

ただ、実のところ選挙で話し合われている多くの点は、多少強引な言い方をすると

 

 

 

・どうやってお金を集めて、どこに使っていくのか?

 

 

 

とまとめることが可能です。

 

人によっては「会社を強くするのが大切」だったり「障害者支援が必要」だったり、立場は異なります。

 

 

 

皆さんはそういうことを自分で考えたり、周囲の人と話し合ったりして決めていく必要があります。

 

自分なりの結論に近い人を、選挙という形で応援する。

 

それが私達一人ひとりに課されている責任であり、権利でもあるのです。

 

 

 

さて、実はもう一つ方法論があります。

 

それは皆さん自身が

 

 

 

・選挙で投票してもらう側に回る

 

 

 

という方法です。

 

よく「政治家」と呼ばれる人たちに皆さん自身がなる、ということですね。

 

 

 

実はこれが「自分が良いと思う社会」を構築するための一番簡単な方法でもあります。

 

もちろん、社会を作るのは政治家だけの仕事ではありません。

 

しかし、どんな会社でも団体でも、そして個人でも法律に従って生きていく必要があります。

 

 

 

政治家になる、ということはその法律、つまり基本ルールを作る側に回る、ということを意味します。

 

もっとも強力に「社会を作り出す」お仕事であるといえるでしょう。

 

 

 

ただし、政治家になるためには相当な勉強が必要です。

 

もし皆さんが

 

 

 

・こういう社会を作りたい!

 

・そのためにはこういう風に税金を負担してもらう必要がある!!!

 

 

 

ということを強烈に、はっきりと自覚するようなことがあれば、ぜひ政治家を目指してみて下さい。

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高橋昌也税理士・FP事務所 税理士

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