大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「カナダ高校留学受入学区調査【最終回】丁寧な返信のあったSD」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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カナダ高校留学受入学区調査【最終回】丁寧な返信のあったSD

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留学 大学・高校正規留学 2019-03-05 10:35

カナダ全土より65のSchool District International Student Program を選び、調査の目的と質問を記したメールを送りました。 宛先は「留学プログラム」の責任者です。

責任者の姿勢が、プログラム全体にかなりの影響を与えるのを目撃した経験からです。

「未成年を扱い多額の授業料を取るのに規制がないのはおかしい。日本人高校留学生とその親のために情報を集めています。日本からの留学生をどうケアしていますか。」という趣旨の質問を送りました。

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結果のStatisticsです。

質問への返信があったSD(School District) 11 (17%)
自動返信が来たSD     5
質問への協力を拒否したSD 5
返信なし 44 (68%)
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【最終回】は返信のあったSDからの回答紹介です。 

質問への回答があったSD(アルファベット順)


Ontario 

Hamilton Wentworth District School Board

Limestone District School Board

Waterloo Region District School Board


Alberta 

Lethbridge School District

Red Deer Public Schools


British Columbia 

Campbell River School District

Kootenay Lake School District

Mission International Student Program

Powell River School District

Saanich International Student Program

Sea to sky School District

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回答内容やコミュニケーション姿勢は様々ですが、どの返信も「日本からの高校留学生のためならば、喜んでご協力します。」という前向きなものでした。 

各学区からの回答を分析し、データとして数字化もしましたが、コラムでの公表は控えさせていただきます。

理由は:

1.直接訪ね、直接聞いた回答ではないこと

2.学区の環境を直接訪ねて調べてはいないこと

3.回答内容だけに基づいて分析した結果であること

3.回答はSDからの自己申告であること

4.留学の目的により、ポイントも変わること

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総評 

とても興味深い結果ですが、返信のあったすべてのSDからは、質問メールの宛先である「留学プログラム」責任者から直接丁寧なメールが戻って来たことです。


返信メールは内容も、単に回答だけではなく日本人留学生への理解度、今回このような質問を出した私個人への配慮のあるメッセージも記されているのが目に付きました。

「カナダの良い価値観」ですね。 それを感じることが出来たのは収穫でした。

Ontario,Albertaからは1件づつ、BCからは4件の回答がこれに当たります。


ホームステイはOntario1件、Alberta一件、外部委託しているSDがあったのが残念ですが、他はすべて「質を保つために独自ホームステイ運営」をしているそうです。


「カナダの高校卒業規定」への説明は、11のSDのすべてが「本人の英語力次第」を上げています。

条件さえ整えば最低2年〜3年。。。ま、4年は必要との回答です。

エージェントの「カナダ高校留学ホームページ」では余り見ない正直な説明ですね。


英語力不足の留学生は、十分な能力がつくまではESLに留め置くことにしているが「ESLではなく通常の授業に入れてほしい」と、言って来る留学生が結構いますとのコメントが気になりました。

留学前のエージェントからの説明が不明瞭な部分がありそうです。


「日本の高校単位をカナダの高校に移行出来ますよ」と謳うエージェントのホームページとは少々食い違う回答も戻って来ました。

「カナダの高校に移行出来る単位は限られています。 Grade10のコースには、English10のように単位移行を認めず、必ずカナダで履修・合格しなければ卒業に至らないものもいくつかあります。」


日本の親に関しては、残念ながらコミュニケーション能力へのマイナスイメージを持っているのが気になりました。

「日本の親は英語が出来ない。」

「直接SDとやりとりするためには英語が絶対不可欠」

「親と交渉するより、エージェントの方が話が早い」

一番驚いたのが「エージェントを通していない留学生には手間が非常にかかるし、私達の時間も取られる。英語が出来ないから。」

日本の親の払う、高い高い授業料への認識は欠如かもと感じた残念なコメントでした。


「日本からの留学希望者に、エージェントが正確な情報を提供していると思いますか?」という問には、面白いことに、YesやNoの明確な回答はどこからもなしでした。

「信頼しているエージェントしか使っていない」とか「正直だと思う」とか。

トレーニングは特に何も行われていない様子です。


「モニターしています」と答えたSDがBC州に2つありました。

ひとつは、方法の記載はなし。

もうひとつは生徒へ直接、「エージェントは責任を果たしているか、法外な費用をふっかけていないか、信頼出来るか、満足しているか」などの聞き取り調査を定期的に行っているとのこと。

SDとエージェントとの信頼関係は薄いのではと感じた回答でした。


「定期的に留学生の親に報告をしているか」は今回の質問には含んでいませんが、BC州のSD一箇所が、毎月定期レポートを「親」に送っていると書いてくれました。 「親」に実際そのまま届いているのか、エージェントに任せているのかは不明です。

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今回返信のあったSchool Districtとは、再質問などを含め、コミュニケーションルートは確保しておきたいと考えています。


現在留学中、計画中の方で、これらSDの詳細が必要な方は直接ご連絡下さい。

また、実際に留学中の方からの正直な感想もありましたらぜひお聞きしたいと思っています。

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1994年にカナダに乗り込み、目撃し、驚愕した「公立高校留学プログラム」

年を追うごとに、留学生が金のなる木となってしまった残念な現状です。

2004年に「カナダ高校留学」の実態を書籍化し「留学せん事」として発表しました。

たくさんの高校生、そしてその親達から深刻なご相談も受け、まだまだ活動が必要だと実態をコラムにて発信を続けてきました。

2016年9月、カナダにベースを移したのをきっかけに更に活動を深め「カナダ高校留学の実態eBook」を発表、その集大成としてのリサーチが今回の活動です。


ひとつの社会的・道義的責任を果たしたかなと感じています。
( エージェント商売にはさぞかし鬱陶しい存在でしょうけど!)

「私たちのプログラムでは留学生のリクルートにかける予算はとても少ないです。リクルートにお金や時間をかけるより、私たちがここにいて、留学生のための活動に専念する方が大切ですから。」

BC州のあるSDよりの返信

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なかなか終われません。 

ちょうどこのコラムをアップロード寸前に Canadian Association of Public Schools - International (CAPS-I)というNPOからメールが来ました。 「留学プログラム」を持つカナダの公立高校が加盟する団体です。 「情報を集めているならご協力しますよ。」と。 また、何か日本のみなさんの役に立つ情報が出てくるかも知れませんね。


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