大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「大学の交換留学制度の9ヶ月の長期留学、何も得たものがないと感じています。」 - 専門家プロファイル

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大学の交換留学制度の9ヶ月の長期留学、何も得たものがないと感じています。

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留学 大学・高校正規留学 2018-08-20 03:33

流行りの1年やそこらの「語学研修」で夢のような効果が得られると信じ込んでいる日本の学生たち。

魔法は起こりませんよ。


【質問】



大学の交換留学制度を通しての9ヶ月の長期留学もう終わりかけてるけど、何も得たものがないと感じています。


来た当初はやる気に満ち溢れていたのですが、帰国前の今は自分の無能さとクズさに絶望し、ネガティブな思考から抜け出せず、何しても楽しいと感じません。


その理由としては、6ヶ月も経ったのにまず友達と呼べる友達がほぼいないこと。
当初日本人と仲良くなりたくなくて、日本人を避けてたことが元凶だと思うのですが、特に外国人でもいつも一緒にいるような友達を作ることができませんでした。
学校ではほぼひとりだと感じています。


ほかの留学生は苦もなく毎日友達と遊んでいる(日本人同士だとしても)ので、私はなんらかの人間的な欠陥があるんだと思います。


また英語力のせいで言いたいことがあっても諦める、という場面がいまだたくさんあり、外国人(とくにネイティブ) とのコミュニケーションを半分諦めてしまってる所があります。



二つ目としては英語力の停滞です。
これも原因ははっきりとしていて、勉強と実践不足です。来る前は一緒に来た留学生の中では出来る側で、語学留学でも好成績だったのですが、学校の外で英語話す場面がほかの人と比べて少なく、スピーキング力は単純な会話以外ほんとにカスです。
自分のさっきおこった面白い出来事みたいなこともスラスラ話せません。



留学ときくと毎日パーティで世界中に一生の友達ができて、英語もペラペラ、勉強も毎日必死に頑張るみたいな幻想を抱いている人が多い所、自分は留学に来て6ヶ月かけて自分のカスさを身をもって再確認しただけでした。


留学を体験した方で、帰国前このようにネガティブな思考に陥った方いませんか?
帰国後の不安などもあり、希望が見出せないでいます。


【回答】


質問者の言葉を借りると「留学の幻想」が、実際の留学後に崩れ去るケースは、質問者あなただけでなくほぼ全員に起こりうることですね。

留学前に抱いていた幻想が崩れ、成果のないままネガティブ思考に陥り帰国する日本人が多いです。

カナダ在住、30年近く日本からやって来る優秀な若者の支援をしています。


9ヶ月の「語学研修」を「留学」と呼ぶ主催者側にも、当事者に「幻想」を抱かせた責任がありますが、その罠にまんまとはまり、効果のないまま帰国便の飛行機に乗った日本の若者は数え切れない数に上ると思います。


あなたの場合は、その結末に気が付き声をあげる勇気があったということです。

日本に帰ったあとは、ぜひもっと声をあげ「語学研修」の実態を広めて下さい。



「留学の幻想」とは:


1.とにかく英語圏に行けば英語が出来るようになるんだと大きな勘違いをしていること


1年やそこらの「語学研修」では英語力には効果はほぼありません。

出会ったクラスメートの”Hey! How are you doing?” にも瞬時に効果的な挨拶を返す能力さえつかないのが現状です。

Speakingどころか、Reading/Writing 能力などは、日本で勉強している学生の方が高いのも現実です。


特に、学生集めで必死の日本の大学が提供する「短期語学研修」は、単なる修学旅行と同じようなものだと考えることですね。

異文化を体験して帰るだけです。

学習能力・英語能力を上げるのが目的ではありません。


例外として効果が認められる可能性のある学生は、1)もともとの英語基本能力が高いこと 2)もともとの学習能力が高いこと 3)「語学研修」時点でのTOEFLなどのスコアも、英語圏の大学に入学できるレベルであること。TOEFLiBTであれば80~90以上


これが現実です。


2.受け入れ側英語圏の教育機関は、日本の学生の能力の低さをよく知っていますので、それなりのプログラムでしか受け入れをしません。


英語力の異常な低さはもちろん、コミュニケーション能力自体(母国語でも)の低さもあります。

また、日本の学生は同い年の現地学生と比べるとかなり幼いです。

「精神年齢でいうと約4〜5年幼いね」とはカナダ人の言です。


日本の教育制度下、社会との接点、社会での実体験なしで、学校と塾と部活だけの隔離保護された経験しかないからです。

大学生も同じです。

勉強の密度の濃さは英語圏の大学とは比べ物にならないくらい甘いです。

それも全部バレています。


従って、日本人学生は決して望まれる「留学生」ではなく、大学のお金儲けの道具として「日本人枠」を特別に作り受け入れているだけです。

周りが「日本からの学生」に興味を示さないのはこういうわけです。

仮に「興味を示す」現地学生がいたとしても、コミュニケーションの出来ない日本人からはすぐに離れて行きます。


ですから、友達がいるように見える日本人でも実は”Oh yeah. Good!”程度の会話しか出来ないケースがほとんどです。

これも現実です。


3.「語学研修」は帰国後の何のプラスにもなりません。


就職時に「修学旅行に行ったことがあります」が何のプラスにもならないのと同じです。

毎年、非常に多くの「語学研修」日本人がカナダにもやってきます。

他の英語圏を含めると相当な数に上ります。

それでも日本人全体の英語力は全く上がってないですよね。


日本の企業も「語学研修」の無意味さはよく知っていますが、それでも「英語力」がないということは返ってマイナスと捉えられるかも知れないですね。

 

____________

以上が現実です。


せっかくお金を払ってやって来た「語学研修」。

残りの時間は、少しでも多く異文化を観察し、修学旅行で写真をいっぱい撮ったように、人生に残る思い出作りをするといいですね。


最初から無理な注文である「英語力」「友達作り」などはきれいさっぱり忘れて楽しむことがベストだと思いますよ。


Good Luck!



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