大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「「留学」の意味、間違ってますよ。」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
カナダにいらっしゃい!

大澤 眞知子

オオサワ マチコ
( カナダ留学・クリティカルシンキング専門家 )
Super World Club 代表
サービス:1件
Q&A:116件
コラム:1,644件
写真:1件
お気軽にお問い合わせください
※ご質問・相談はもちろん、見積もりや具体的な仕事依頼まで、お気軽にお問い合わせください。
印刷画面へ
専門家への個別相談、仕事の依頼、見積の請求などは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
問い合わせ
専門家への取材依頼、執筆や講演の依頼などは、こちらからお問い合わせください。
取材の依頼

「留学」の意味、間違ってますよ。

- good

留学 大学・高校正規留学 2017-11-10 04:06

 「留学に行く」と言う日本語が非常に気になっています。

もしかしたら「留学」は、「何か既成の枠組みがあり、その中(受け身姿勢で)入れてもらうことにより魔法のように素晴らしい外国体験が出来る」と勘違いされているのでは?

 

「留学」は、外国に滞在し自国では学習出来ない能力・スキルを身につけること。 しかも異文化、異言語の社会を体験することで、思考法に大きな柔軟さが出来る。 ただし、自国の教育制度でも成果を上げていることが絶対前提条件、これが「留学」。

そして、自分自身で独立して行動する能力も必須。

 

の、はずですが、「留学に行く」という日本語の中には「留学」の本当の定義が完全に削除されているようです。

下記に回答した質問にも同様の大きな間違いが充満していると思い、敢えて苦言を呈することに致しました。

 

(質問)

留学についてなのですが、高校二年生の夏休みに短期留学に行きたいです。

英語は得意ではありません。 コミュニケーションをとるのもやや苦手です。

ですが、留学に対する気持ちは前向きでやる気はあるのでアドバイス下さい。

 

・留学試験とは

・どの程度まで喋れればいいのか

・英会話教室に行く必要があるのか

・留学先はどこがいいのか

・ホームステイと語学留学の違いとは

 

(回答)

まず「留学」の定義を見直してみましょう。

『「留学」は、外国に滞在し自国では学習出来ない能力・スキルを身につけること。 しかも異文化、異言語の社会を体験することで、思考法に大きな柔軟さが出来る。 ただし、自国の教育制度でも成果を上げていることが絶対前提条件、これが「留学」。』

 

1994年以来、日本からカナダに来る優秀な若者の留学支援をしている経験から、上記が「留学」の定義だと考えます。

 

従って、夏休みなどの短期体験は、単なる海外旅行と考えるべきであり、「留学」と呼ぶことには無理があります。

ですから、行き先も、滞在方法も(ホームステイ、寮、ホテルなど色々あります)も海外旅行をする時のように、自分で調べて行き先を決めて手配するか、それが無理なら旅行代理店のパックツアーを使うなど「旅行」として楽しめばいいと思います。

 

その短期体験から得られるものも、海外旅行から得られるものと同じです。

英語能力が変わることもありませんし、学習能力が高くなることもありません。

もちろん、日本での就職が有利になることもなければ、特別な能力を持った人と見なされることもありません。

たくさんの写真が残るだけです。


それをよく理解した上で、費用はその体験に見合うかどうか判断なさるといいですね。

 

最近流行りの「1年程度の高校・大学体験」も「留学」と呼ぶには余りにも内容がお粗末です。海外旅行の延長と考えるべき内容だと思います。

英語力も学習能力も準備が出来ていない日本の高校生・大学生がいくら頑張って「留学」と呼んでみても、内容は「英語の出来ない日本人向けのプログラム」で現地学生から隔離された体験に過ぎません。

カナダの大学関係者は「日本の大学からの短期の学生は、普通のESLにさえ入れられないんだ。かなり低いお遊びレベルの英語コースを特別に用意するんだよ。金は出すからね、彼らは。」と言っています。

 

本当の意味の「留学」をしている優秀な日本人にとり、大迷惑なのがそれら「短期体験似非留学に来る」人たちです。

外国での日本人の評判を落とし、日本人全体が「英語の出来ない・社会常識のない」民族というステレオタイプにまとめられてしまう結果となっています。

「留学に行く」という日本語が正にその残念な現実を物語っています。

 

本気で海外で勉強したいのなら、High School Diploma, University Degree, University Associate Degree などを取得し、自分の能力を証明する「留学」をして下さい。

ただし、相当の準備が必要です。

クリティカル・シンキングを応用する能力も欠かすことが出来ません。

 

「留学」準備に必要な詳細を最後にまとめておきますので、あなたは本当に「留学」したいのかじっくり腰をおちつけて考えてみて下さい。

 

留学試験というのはありませんが、英語能力を示す試験のスコアが必要です。

例えばTOEFLならiBT80~90は必要です。

普通に日本の学校に通っていて取れる点数ではありませんし、日本の大学で英語を専攻している人にもまず無理な点数です。

 

上記レベルの英語能力があれば、論理的な内容を英語で表現することがやっと出来ると思います。

抽象的な内容を具体的に明確に自分のことばで表現する、これが「英語Speaking 能力」の目安です。

従っていわゆる英会話教室に通っても、全く役に立ちません。

膨大な量の英語を読み、意見をまとめてエッセイを書く訓練が必要です。

 

留学先も人に聞くのではなく、自分の能力・適性・目的で選ぶこと、です。

  

本当の意味の「留学」、新しい日本語が必要かも知れないですね。

 

プロフィール対応業務経歴・実績連絡先・アクセスサービスQ&Aコラム写真