大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「「プログラミングを教える目的」を取り違えていますよ」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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「プログラミングを教える目的」を取り違えていますよ

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迷子になった日本の教育 2016-06-19 17:52

珍しく新聞の社説に「そうだ、そうだ。」と相槌を打ちました。

日本経済新聞の社説「プログラミング教育への注文」


「2020年から小学校でコンピューターのプログラミング教育が必修になる。 将来子供たちがどんな職業に就くにしても必要になる知識である。 そのため早い段階からITと慣れ親しむ機会を作ることには異論はないし、アメリカを始め、多くの国がすでに小学生の段階でプログラミング教育を始めている。

 

日本の小学校では、簡単なソフトウェアでロボットを動かすという学習教材を使うことが計画されている。 しかし、プログラミング教育で大事なのは、論理的な思考力や問題解決能力を養うこと。 単なるスキルではない。

 

プログラムの作成は、問題を解決するため必要な手順を考えることにつながる。 身の回りにある多様な情報を自分なりに読み解き、使いこなす能力も求められる。

 

そうした力はこれからの社会を生きるうえで、読み書きと同様の欠かせない普遍的な力になる。

 

プログラミングを通じて論理的思考力を指導出来る教員をいかに養成するかなど、課題も多い。」


全くその通りです。

プログラミングはComputer Science という大きな科学の過程です。


科学的・論理的思考をことばで表す代わりに、コードを使うのがプログラミングです。

そのコードをとりあえず覚え、ただ規則通りに使うことがプログラミングではありません。


指導している生徒たち、小学生から高校生まで、英語の思考法と並行しプログラミングを教えて5年になります。


世界の共通言語は英語の域を超え、現在将来とも、プログラミングという共通言語が必須の能力だと見据えているからです。


相棒のRobert McMillan はComputer Science の土台である数学の専門家であり、Computer Science 思考を使いコンピューターと会話するために自由自在にコードを操れる、今の時代に一番求められている指導者です。


そのRobert からの指導を受けることの出来た生徒たちは、見る見るComputer Science の世界にはまって行きました。


ただ、周りの親や生徒の中には、プログラミング授業は、ただ単にコードを使うスキルを教えることだと勘違いしている場合もありました。


上記日経新聞が指摘している、文部科学省の勘違いと同じものです。

なるほどそうか、と。


例えばJaveScript を使い自分で何度も試し、つまったら前に戻り、丁寧に自分のミスをみつけ、あらゆる方法を探り、試し、失敗し、試しながら進んでいく過程。


問題を自分でみつけ、解決方法を自分で探し出す練習の最高峰です。

この過程に喜びを見出した生徒達は、プログラミングだけでなく、他の分野でも大きく能力を開花させるきっかけとなりました。


逆に、つまったらすぐに正解を教えてもらいたがる生徒、塾で解答を覚えることに慣れすぎているのかなと思いました。

結局根気が続かず「興味ありません」と言い出し、最後には英語の思考法にも根気がなくなってしまいます。


日本の「覚えるだけのスキル」病の弊害だと思います。


小学生・中学生にはいきなりコードではなく、簡単なブロックを組み立てていくプログラミングから始めます。

そこにも同じ問題解決能力が必要です。


指示を理解しないまま、とりあえず当てずっぽうで進む生徒もいます。

自分で試し、間違い、試しの過程から何が問題なのかを理解しないまま進むと、いつまでたっても行き当たりばったりのコードを使うだけなので、立ち往生してしまいます。


自分の目の前の情報を自分で読み解く過程に、対応出来ないケースです。

英語言語の学習過程でも同じことが起こります。

自分の間違いは、前に習った情報に戻り、自分で発見し、正していく過程が理解出来ず、立ち往生します。


ひとつひとつのブロック、コードは一体何のためで、次に何が起こるのか、これを観察し、自分の中でルールを組み立てることもこの上なく大切です。

発達途上の子供の脳には、すべての分野の学習、そして心理的成長にも、とてつもなく必要な過程です。

 


さて、日本のプログラミング必修化。

どんなことになるのでしょうか。


Computer Scienceの科学的思考法と同一線上にあるクリティカル・シンキング。

科学的・論理的・客観的・批判的思考法。

英語理解には必至の思考法。


この思考法が存在していない日本社会、日本の教育で、どんな人材が指導するのでしょうね。


鳴り物入で始まった「小学校英語必修化」と同じ惨憺たる情景が目に浮かびます。

論理的思考力のない先生たちが、文科省主催の集団集中講義かなんかでコードを暗記させられている情景が。



もはや、喜劇ですね。


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