大澤 眞知子
オオサワ マチコグループ
Critical Thinking 不在の日本の「教育再生」計画
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日本経済新聞1月30日の記事より:
―安部政権が重要課題とする「教育再生」問題では約300億円を計上した。
抽出方式になっている全国学力テストを全員参加に戻す費用として54億円。
Wait a minute.
Define your terms.
Critical Thinkingで客観的、論理的、科学的に解決方法をみつけて行くためには、まず議題となることを定義すること。 つまりこの場合は「教育」。
一体この国の大人たちは、「教育」をどう定義しているのだろうと思います。
「子供の生まれ持った能力を最大現に伸ばす、また個々に特性のある能力をその子供に一番合った方法で伸ばす手助けをし、世界標準の思考法Critical Thinking を駆使し、問題を自分でみつけ解決出来る能力を作ること。 そしてその能力は将来において国や社会に生産的に貢献出来るものとする。」
という定義ではまったくなさそうです。
テストをすると学力が上がりますか? 考える訓練をするのではなく、「答えのある問題の解き方」を暗記させ、その暗記力を競うのが「教育」だと定義するのならまだ理解出来ますが、そうなのでしょうか? 余りにも時代錯誤で、子供の能力を壊してしまう「再生」です。 「教育破壊」ですね。
―事業仕訳でインターネット版のみの公開となった道徳教材「心のノート」も内容を改定し、全員に配布するための費用を計上した。
Wait a minute.
Examine the evidence.
私たちの税金をこんなアホなことに使う前に、証拠を科学的に分析しなくては、Critical Thinking に笑われます。 「道徳ノート」が果たしてどのような効果を持っているのか。 十分コントロールされたリサーチを多く行い、明らかに日本の子供にPositive な効果があると断定出来てから考えるのならまだしも、新総理大臣の好みで税金の無駄遣いをしているようであきれます。
Analyze your assumptions and biases.
この「道徳ノート」には大きなassumption (勝手な思い込み)が隠れていると思います。 「仲間外れにしてはいけません。」「みんなで助け合いましょう」などと書かれたものを読むことで(退屈な講義を聞きながら)、子供たちが「そうかぁ!いじめはやめよう。」と決意するほど人間の心理は単純ではないことくらいは、子供たち本人でもわかっていることではないでしょうか。
―グローバル人勢を育成するため、海外留学する日本人学生1万人分の奨学金を計上する。
Wait a minute.
Ask questions.
なぜ日本の高校生達が留学をしなくなったのでしょうか? それも優秀な高校生ほど、親が日本に留めておく傾向があるのはなぜでしょうか? 根本的な教育方法を変えることなく、「考える力」も「創造力」も、「コミュニケーション能力」も、「問題をみつけて解決する能力」も、6年勉強してもまったく使うことすらできない「英語能力」もおきざりにした高校までの教育がそもそも問題です。 そんな中に育った子供たちが外の世界に冒険に行く決断が出来るわけもありません。 国の時代遅れの教育方針にあおられている親たちも、必死で子供をこの国の中に囲い込んでいます。
お金を出せばどんどん日本の高校生が、外国の大学を目指すような、単純なことではこの問題は解決不可能です。
この国の「教育再生」計画。 子供がますます破壊されると思います。
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