対象:リフォーム・増改築
上村 美智夫
建築家
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平屋の吹抜け(舟底天井)は天井が高く解放感を演出できます
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屋根と天井の間の空間(小屋裏)が無くなりますので、夏は屋根からの熱が入り、冬は逆に室内の熱が逃げることとなり、今よりは、夏は暑く、冬はより寒くなると思われます。
そうならない為には、床、壁、屋根を断熱する必要があります。断熱性能が十分確保されていれば、天井が高く、解放感がアップして、快適な空間になると思います。平屋だけに限らず、水平な天井を作らず、屋根の勾配をそのまま見せる、舟底天井形式のものは、比較的多く見られます。私も多数設計しています。2階にLDKを計画する場合は、天井高が高く、解放感のある舟底天井形式とすることが多くあります。
屋根材の瓦と鋼板の違いですが、これは一般的によく言われていることですが、瓦の方が重いため建物により負担がかかり、耐震性の面では不利な方向に作用します。新築時であれば、その分強度を増すことが可能ですので問題はありません。ですので、今回のようなリフォームの場合は、強度的な心配があるようで有れば、何らかの補強をすればより安心できます。断熱性については、瓦であれ鋼板であれ、快適に生活する為には共に同程度の断熱が必要になります。
また、鋼板は夕立等の雨音が、室内に伝わりやすいと言われています。水平な天井がない場合は、小屋裏空間が無くなりますので、更に雨音等が伝わりやすいといえます。しかし、屋根裏の面をグラスウール等の吸音性の高い断熱材を使用することで、ほぼ解決できると思います。何件かの経験があり、これは建て主の感じ方にもよるとは思いますが、今のところ大きな支障はないようです。
断熱性能をしっかり確保すれば、既存の柱や梁を生かして、レトロな雰囲気の天井の高い、吹き抜けのある開放的な空間でも十分快適なものになると思います。
参考までに、舟底天井形式の実例
・平塚の家(プロファイル/PAO建築設計)
http://profile.ne.jp/pf/k-michio/g/l-5982/
・国分寺の家(PAO建築設計ホームページ)
http://www2.gol.com/users/paoarchi/asa_jirei-2.html
・松戸の家(PAO建築設計ホームページ)
http://www2.gol.com/users/paoarchi/jirei-MAT/MAT-jirei-2.html
少しでも参考になれば幸いです。
評価・お礼
きゅー さん
2014/04/16 21:29
舟底天井、いいですね。
平屋の屋根の勾配が見えるのは住宅と別の何か違う建物の雰囲気が共存しているようで、興味深いです。
鋼板についてのご説明もどうもありがとうございました。
参考にさせていただきます。
上村 美智夫
2014/04/17 16:04
天井は直接触ったりはできない、これといった具体的な使用目的のない存在ではありますが、いつも広い範囲で見えているという点では、そこで長い時間を過ごす者にとって、心理面に与える影響は大きいものがあるとは、容易に想像できます。特に高い、舟底天井等は、瞑想や、心をふと別の世界へと開放させてくれる効果があるでしょう。
どなたかが触れていましたが、家全体で見たときは、平らな天井も適宜配して、その高い天井が効果的に感じられる、心理的なシークエンス(移動することで変化する景色)を工夫してみるのも一つのアイディアかなと思いました。
返信ありがとうございました。
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この回答の相談
築50年の平屋をリフォーム予定です。
建物は南北に長く、切妻屋根です。
柱や梁を活かしたく、狭さ対策、採光の面からも吹き抜けにしたいと考えているのですが、暑さや寒さ対策の面でデメリットを目にする… [続きを読む]
きゅーさん (神奈川県/46歳/女性)
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