- 松岡 在丸
- 松岡在丸とハウジング・ワールド
- 東京都
- 建築プロデューサー
対象:住宅設計・構造
家の資産管理という観点で考えて、「家はお金を生み出すわけではない」という考えに基づいて、住まいにはあまり期待を持たない、という意見を聞くことがあります。
でも、本当にそうでしょうか。家はお金を生み出さないのでしょうか。
いいえ、お金を生み出す家の建て方・住まい方というのがあります。視点を変えて、いくつかの分野について考えましょう。
病気をしにくい家
住まい環境が良くなれば、健康を維持しやすくなります。もし自宅が、埃っぽい環境、陽の当たらない環境、冬に空気が乾燥しやすい環境、湿気でカビが増殖しやすい環境であったとすれば、病気になりやすくなり、それはそのまま医療費アップにつながります。
健康を維持するということは、医療費削減になります。無駄な医療費を掛ける必要がなくなっていきます。
これは財産を守る重要なポイントではないでしょうか。しかも、健康的になれば元気に働くこともできます。稼げるようになるということですね。
大切なのは、病気をしにくい環境を作り出せる家に住むかどうか、ということです。精神的にきつい状況で毎日を暮らすのは、健康を害すれば自分も苦しいしお金も出て行きます。
食事に例えると分かりやすいですよね。食事は自分の健康への投資。だからなるべく良質のものと選びます。「食事はお金が出て行く。生み出すことはない」といいながら、粗悪な食べ物を毎日の食事にしたいと考える人は、本末転倒ではないでしょうか。
子供がスクスク育つ家
子供がのびのびと成長し、家族を支える稼ぎ手として立派に成長することを親は望むものです。そして子供の成長には住環境が与える影響はとても大きいものです。
快適な空間でストレスなく何かに集中できるでしょうか。家族の団欒が自然にできる空間があり、親子のコミュニケーションを図りやすいでしょうか。子供が活躍できる場面が家の中にどれだけあるでしょうか。
子供が元気に成長するということは、大きな投資が関係しています。子供の教育に多額の費用を掛けながら、その子供が学習に力を注げる環境を作り出さない、というのもまた本末転倒なお話ではありませんか?
人が集まる家
たくさんのお客さんが来る家の子供は、コミュニケーション能力が向上するようです。親の知人・友人、そして親族が訪問しやすい家と、ほとんど外部の人間を入れない家とでは、人としてのコミュニケーション能力やホスピタリティーの精神を得ることはできません。
子供のコミュニケーション能力が向上すれば、前述の「スクスク育つ」ということにも繋がります。コミュニケーション能力が高まると社会性が生まれ、仕事もうまくいきやすくなるのではないでしょうか。
子供の頃にたくさんの大人たちと意見交換ができるということは、そのような環境が家でできたかどうかということに大きく比例するものです。
自信が出てくる家
自分の家に満足していると、自分の人生にも自信が増し加わります。これは外で働く人にとってはかなり重要です。家で満足できないと、ストレスを解消できないまま仕事に向かうことになります。仕事に集中できないと生産効率も下がります。
家がリラックスできると、気持ちにもゆとりが生まれます。気持ちが休まることによって、心に余裕が生まれます。心の余裕が、自分や家族を見直すきっかけを作りやすくなります。個人や家族がストレスなく生活できるようになると、それがすべて自信にもつながります。
心理学を考慮した様々な自己啓発本が流行っていますが、その多くが、自分の時間や空間の重要性を述べています。家は、まさしく自分の時間・空間の基地。
しっかりした家で安心して生活できることは、自分と家族への投資。自分と家族の生産性を向上させることになり、無駄な出費を抑えることにもなり、最終的に資産は増していきます。収入が増える、ということだからです。
せっかく家を建てるのですから、その家に生活する人の人生が向上するものにしたいですよね。そのためにも、「家はお金を生まない」という考え方を捨てましょう。
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