- 東島 鋭
- 一級建築士事務所 東島鋭建築設計工房
- 大阪府
- 建築家
対象:住宅設計・構造
子どもたちは皆、
生を表現する天才的なアーティストです。
親が描いた絵の中に子どもを閉じ込めていませんか。
束縛されたままではその才能は発揮できません。
さらに脳力は使わないでいると錆びついてしまいます。
彼らから、感性をくすぐる生活の場や、生を表現する場を
日々奪い続けているのは、
今の環境であり私たち大人なのだと思います。
小学校に通う頃になると子どもは、
勉強机がほしいとか自分の部屋がほしいと言い出すことは少なくありません。
それは、友達が持っているからという理由やその頃になると本や大切なおもちゃなど
自分に属する物の数が増え、自分の領域を確保したいという思いの現われであったりします。
親が考える、一人で静かに勉強したい、プライバシーを確保したいというものとは異なります。
家を建てる時の要望として、子供部屋は明るく、
帰ってきた子どもが子供部屋へに行くには居間を通るような動線にしたい
といった要望を耳にすることがよくあります。
これは、親が子を思う気持ちの現われであって決して悪いものではありません。
ただ、忘れてはいけないのは、これはあくまで親の視点での要望であって、
子どもたち自らが望んでいるものではないということです。
言い換えれば、これをもって子どものことを考えた家づくりをしているとしてしまっては、
それはただの自己満足に過ぎません。
日当たりが良くてどんなに明るい部屋でも、
壁に向かって一人長時間座って勉強するなんて誰も御免なのです。
ダイニングテーブルに居るお父さんの横で、
夕食の準備をしているお母さんのそばで、宿題をしたいのです。
子どもたちが心身共に健康に成長すること。
それが、健全な社会を形作っていく源となります。
そうするためには、子どもを中心に物事を考えることが必要です。
子どもを中心に考えるとは子どもの目線で考えることです。
従来の大人と子どもの関係の、
教える→教えられる、
導く→導かれる、
遊ぶ→遊んでもらう、
という1方向のベクトルだけの考えに束縛されたままでは、
いくら子どものことを考えているといっても、
それはあくまで大人(親)いうフィルターを通した答えであって、
決して子どもの目線で物事を捉えた結果に得られたものではありません。
共に学び、互いを導きあい、一緒に遊ぶ・・・。
そういった対等な関係をより多くの場面において保つことが大切です。
(つづく)
このコラムに類似したコラム
はじめまして、子育て優先の小川です 小川 勇人 - 建築プロデューサー(2011/04/13 13:41)
五感を通して家は心を育む/子どもの目線 8 東島 鋭 - 建築家(2011/05/04 00:00)
五感を通して家は心を育む/家族を楽しむための家 7 東島 鋭 - 建築家(2011/04/29 00:00)
五感を通して家は心を育む/家が心に与える影響 3 東島 鋭 - 建築家(2011/04/05 00:00)
五感を通して家は心を育む/母乳である環境 1 東島 鋭 - 建築家(2011/03/26 12:00)