- 磯部 茂
- 有限会社ペア・ファクトリー 代表取締役
- 神奈川県
- コピーライター
-
046-242-8248
対象:クリエイティブ制作
- 赤坂 卓哉
- (クリエイティブディレクター)
- 赤坂 卓哉
- (クリエイティブディレクター)
トヨタが、遂にピンクのクラウンを登場させた。
TVCMを観たが、正直うーんと唸ってしまう。
ピンクのボディカラーは特別色らしいが、
この色を前面に打ち出すには、当然訳がある。
曰く、ピンクは愛の色らしい。
という訳で、クラウンが突然、愛を語り出したのだ。
このCMには、たけしとジャン・レノという大物が共演。
「愛は勝つ」という唄をモチーフに、
クラウンの新しいコンセプトを、
力技で語っているようにも思える。
キャッチフレーズは、
「権力より、愛だ」
で、ピンクのクラウンなのだ。
それが格好いいかどうか、
そしてクラウンが愛を叫ぶことに、
私のアタマはしばし混乱した。
クラウンといえば、かつては当然ように白だった。
ムカシから白いクラウンは、ある意味、
成功者の乗り物だったのだ。
中小企業の社長さんも、
サラリーマンとして順調に昇進したお父さんも、
最後の「上がり」のクルマとして、
みな白いクラウンを選んだ。
その頃のクラウンのキャッチフレーズは、
「いつかはクラウン」
頑張って努力して、いつの日にか
クラウンに乗れるような人間になりたい…
そういう意味合いが、
「いつかは、クラウン」というコピーに込められていた。
また、
クラウンは成功の証としてのシンボルだけでなく、
日本の代表する高級車であり、
気品と風格も兼ね備えているという点で、
右に並ぶクルマはそうそうなかった時代もあった。
ライバルとして日産セドリックが挙げられるが、
ブランド力として、クラウンの方に軍配は上がった。
これらの評価は、クルマの性能ではなく、
やはり広告によるイメージの力が担っていた、
ように思えるのだが…
そして、
クラウンは今更ながら、権力を捨てた。
権力はレクサスにバトンタッチしたのかな?
はたまたとうの昔に、ベンツに奪われていたのか。
今頃になって愛に気づいたクラウンは、
まずピンクのボディカラーで、
出直す事を決意したのだ。
で、愛はピンクなのかどうか私はよく分からないが、
急にそんな事言われても困りますと、
かつて置いてけぼりを食わされた家族とか恋人からは、
かなり責められそうな気がするクラウンの、
今回の方向転換。
人に例えると、
そんなこといまごろになって言っても遅いわよと、
そっぽを向かれるのが関の山のような…
調子いいゾ!
しかし、
「生まれ変わるためだよ」とたけしが真剣に語る表情に、
トヨタの必死さがみえるのは、私だけか。
ちょっと様子をみようと思う。
このコラムの執筆専門家
- 磯部 茂
- (神奈川県 / コピーライター)
- 有限会社ペア・ファクトリー 代表取締役
ひとの心に、化学反応を!
広告って心理学?…これホントです。謎を紐解く。広告作りは、ここに集約されると言ってもいいでしょう。売る仕掛け、アクションのスイッチ。このマーケティングの核を探ることは、人の心の広い海原を旅することと似ています…。
「マーケティング」のコラム
就活者のための基礎知識「広告業界の現状と今後の動向について」(2019/08/27 14:08)
時代とコピー普遍性について(2018/08/18 18:08)
アイデアはタダではない(2018/03/19 19:03)
広告の普遍的手法(2014/01/11 19:01)
或る編集者の記録(2013/08/27 10:08)
このコラムに類似したコラム
時代とコピー普遍性について 磯部 茂 - コピーライター(2018/08/18 18:51)
コピーづくりの現場 磯部 茂 - コピーライター(2012/11/26 15:05)
モーレツなコマーシャル 磯部 茂 - コピーライター(2012/07/31 14:51)
君の瞳は10000ボルトか? 磯部 茂 - コピーライター(2012/06/23 06:17)
薬事法 「アレルギーテスト」表示 赤坂 卓哉 - クリエイティブディレクター(2011/11/09 11:00)