eラーニングで日本弁護士連合会の研修を受講しました。
講座名 未払賃金立替払制度
研修実施日 2012年9月13日開催
実施団体名 日本弁護士連合会
[講師]
野村 剛司 弁護士(大阪弁護士会)
吉田 清弘 氏(独立行政法人労働者健康福祉機構)
未払賃金立替払制度は、企業が倒産した場合の従業員の生活を守るセーフティーネットとして大きな役割を担っています。破産管財人として、迅速かつ適切に未払賃金の証明を行うためには、制度の仕組みと審査項目をよく知っておく必要があります。
不正受給事件が発生したこともあり、その必要性はさらに高まっています。
そこで、労働者健康福祉機構の審査担当者による説明と破産管財人経験者によるコメントを通じ、理解を深めていただきたいと思います。
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No |
講座タイトル |
時間 |
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01 |
第1部未払い賃金の立替払制度の概要と現状-1立替払制度の概要 |
00:07:34 |
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02 |
第1部未払い賃金の立替払制度の概要と現状-2請求件数の推移 |
00:02:00 |
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03 |
第1部未払い賃金の立替払制度の概要と現状-3労働者健康福祉機構の組織と請求後の流れ |
00:02:50 |
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04 |
第1部未払い賃金の立替払制度の概要と現状-4最近の問題点 |
00:05:08 |
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05 |
第1部未払い賃金の立替払制度の概要と現状-5破産管財人側から確認しておきたいこと |
00:12:51 |
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06 |
第2部立替払制度を利用する場面と申請の流れ-1破産管財人として立替過払制度の利用を検討する場面 |
00:05:56 |
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07 |
第2部立替払制度を利用する場面と申請の流れ-2事業者に係る要件 |
00:05:05 |
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08 |
第2部立替払制度を利用する場面と申請の流れ-3労働者に係る要件 |
00:01:39 |
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09 |
第2部立替払制度を利用する場面と申請の流れ-4立替払の対象となる未払賃金等 |
00:02:58 |
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10 |
第2部立替払制度を利用する場面と申請の流れ-5立替払手続きの流れ |
00:04:17 |
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第2部立替払制度を利用する場面と申請の流れ-6機構の審査事項 |
00:19:38 |
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12 |
第2部立替払制度を利用する場面と申請の流れ-7破産管財人の関与・未払賃金等の証明 |
00:06:41 |
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13 |
第2部立替払制度を利用する場面と申請の流れ-8立替払は退職所得扱いに |
00:02:17 |
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第2部立替払制度を利用する場面と申請の流れ-9もう1つのルート-労働基準監督署長の確認 |
00:02:31 |
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15 |
第2部立替払制度を利用する場面と申請の流れ-10機構の審査と位置づけ |
00:09:42 |
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16 |
第3部立替払後の処理-機構の債権管理・求償の概要-1求償 |
00:02:56 |
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17 |
第3部立替払後の処理-機構の債権管理・求償の概要-2充当関係 |
00:04:48 |
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18 |
第3部立替払後の処理-機構の債権管理・求償の概要-3財団債権の弁済、優先的破産債権の配当(弁済) |
00:04:28 |
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19 |
第3部立替払後の処理-機構の債権管理・求償の概要-4求償による回収の実情 |
00:01:03 |
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20 |
第4部疑問事例の検討-1未払いの根拠が乏しい事例 |
00:16:14 |
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21 |
第4部疑問事例の検討-2労働者性に疑問のある事例 |
00:06:52 |
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22 |
第4部疑問事例の検討-3破産管財人の関与のあり方 |
00:01:16 |
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23 |
第4部疑問事例の検討-4問題点克服のために |
00:04:07 |
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02:12:51 |
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立替払いの対象となる賃金等
・労働基準法の適用事業(1人でも他人を雇っていること。同居の親族(居住と生計を一にする親族)、家事使用人のみを雇用している場合は、適用事業ではない。)
・労災保険の適用事業に1年以上の事業継続が必要(立替払いの財源が労災保険料のため)。ただし、労災保険料を支払っていなくてもよい。
・海外支店は対象外
・破産手続開始の申立または労働基準監督署長への事実上の倒産認定申請の日の6カ月前
(破産法の財団債権となる破産手続開始決定の3カ月前とは、範囲が異なる。)、かつ、
破産手続開始決定の翌日から2年以内の賃金(実労働日で日割り計算する)、退職金が対象。
ただし、立替払い賃金は、所得税法・租税特別措置法では、退職所得として、扱われる(労働者健康福祉機構が源泉徴収する)。
・賞与、解雇予告手当は含まれない。
・破産申立代理人の立場として、未払い賃金ではなく、(立替払いの対象とならない)解雇予告手当を支払ったほうが良いケースもある。
・疑義がある事例、多数の請求が見込まれる事例では、破産管財人は、機構と事前相談。
労働者性が問題となる事例
・事業主や代表取締役は不可。
・登記上の役員
・重役等(工場長等)であっても、業務執行権・代表権がない場合は労働者である。
・経営者の同居の親族
・非常勤の顧問
・建設請負労働者(最判19・6・28、個人の大工で、労基法及び労災法の「労働者」ではない(建設手間請負業者、個人事業主、いわゆる1人親方)と判断された。)
・運送業で、持ち込みトラック運転手(トラックは、破産会社所有ではなく、運転手個人所有)で、給料明細や賃金台帳には、残業代や社会保険料の会社負担の記載があるが、出来高払いで、ガソリン代等の経費や手数料を会社が徴収していた事例(個人の請負業者ではないかと機構が審査し判断)。
未払いの根拠が乏しい事例
・賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、勤務記録、前年度の課税証明等の客観的証拠が乏しい事例(月給が50万円以上の場合は要注意。)
・根拠が不明確な退職金の請求。退職金規程の労基署への届出(建設業では入札資格を得るために退職金規程を形式的に作成し労基署への届出けたが、労働者への周知も支給実績もない事例もある。)、過去の退職金支給実績(破産管財人が証明するに際して過去に退職した労働者に確認)
・未払い期間中の破産者の事業活動の有無が疑われる事例(具体例、幽霊会社で立替払いを詐取することを目的に偽装した事例、労働者全員への長期間の賃金未払いがあるような事例。)
裁判所・破産管財人の証明以外に、労基署長の確認という、もう1つのルートがある。
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