- 西内 純
- メープルFP相談室 代表
- ファイナンシャルプランナー
対象:家計・ライフプラン
- 吉野 充巨
- (ファイナンシャルプランナー)
- 吉野 充巨
- (ファイナンシャルプランナー)
前回のブログで分散投資(ポートフォリオ運用)を少額で実現できる商品として投資信託があるとお話ししました。
ところが、本来有効な投資対象商品でありながら、日本では投資信託発生の歴史的背景や日本人の資産運用に対する考え方の問題等により、投資信託が資産運用商品として本来の強みを発揮できず、現状日本では投信の評価は低くなっていると感じます。
日本の個人金融資産は約1500兆円ありますが、ちなみにその4%(60兆円)が投資信託です。一方、米国では約12%(11兆ドル)が投資信託です。ついでに、日本と米国の個人金融資産の内訳をみると、日本では現金預金の安全資産に55%、株、投信、債券等のリスク資産に13%で、一方米国は安全資産に15%、リスク資産に53%となっています。資産運用の先進国と後進国の差が出ているように感じます。しかし、投信の数を見ると4,300本程度で日本も米国もあまり差がないようです。
何故こんな違いが出ているのかを見てみると、日本の投資信託の問題点が明らかになってきます。
①投資信託の発生に由来する問題
米国などでは投資信託は投資家のニーズから始まったのですが、日本の場合、投資信託が導入されたのは、戦後間もなく、財閥解体があり市場に株が放出され、投げ売りの発生を防ぐため、官主導で導入されました。当初は販売会社の中に運用会社があり、60年代にようやく分離されたものの、大手証券会社が80%以上の販売を担って、今でもその傘下の子会社が運用を行っています。それと最近までは大手販売会社間で結託して、販売手数料や信託報酬(管理運営費用)の自由競争がありませんでした。
ちょっと話は横道にそれますが、日本では銀行も同じように本業のお金を有効に動かすことによって利益を出すのではなく、結託した高い手数料収入で利益を出してきました。私が海外駐在して気が付いたのは、自分のお金をATMから引き出すのに時間外だからと言って手数料を取られたり、自分の銀行に振り込みをするのに手数料を取られるなどと言った馬鹿げたことはありませんでした。
販売手数料を稼ぐのが目的で新しい投信がどんどん作られるため、多くの投信が存在するが、どれも純資産残高は少なく非効率ですぐ消滅してしまいます。本来良い投信というのは、投資運用がうまく行き、純資産残高も増え、その結果効率が上がり信託報酬も下がり、長寿なものです。
次回は引き続き投資信託について、日本の投資家が未成熟であることに由来する問題点について書いてみたいと思います。
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