
- 吉野 充巨
- オフィスマイエフ・ピー 代表
- 東京都
- ファイナンシャルプランナー
対象:家計・ライフプラン
- 吉野 充巨
- (ファイナンシャルプランナー)
- 吉野 充巨
- (ファイナンシャルプランナー)
新ファミリー一族は、凡そ2~3戸の住宅を保有されています。
ここに、先代から不動産を相続すると、きわめて維持管理が困難になります。
何故ならば、住む方が居ないことに為りかねません。貸せば良いとしても、借り手も居ないことが多くなっています。
これに対応するために、今後新ファミリー一族は新しい不動産は取得しないことが、ベターな選択になると考えています。現在保有している不動産を減らす事こそこれからの時代に合った考え方です。不動産を保有するのは、現役世代の二代目だけにするのが、ベターな一族の家計になります。
理由の一つは、5年に一度に調査を行う土地統計調査で発表された様に、平成25年は全国の空屋率が13.5%で、空家が全国に820万戸も存在するからです。図に示されているように、年々空き家率は増大しています。
都道府県別の空家率は下記の通りです。
低い分類に入る東京都でも、10.9%になります。これは10件に1件が空き家だということです。そして、これからも住宅の新築が計画されていますので空き家は増々増えてしまいます。
一方で、少子化の進展で、人口の減少に見舞われています。
内閣府の平成25年度高齢社会白書には人口の推計とその年齢構成が図のように示されています。
2015年に126,597千人の人口が15年後には116,618千人に減少すると推計されています。実に、9,979千人も少なくなるのです。そして、現役世代が減少します。
15年後は、新ファミリー一族の1代目、70歳の方も85歳になります。
健康寿命は厚労省資料によれば男性は70.42歳、女性は73.62歳と報告されていますので、元気でおられても75歳程度になられたら、介助・看護が必要になると考えられます。
従って、ご自宅で住まわれるよりも、介護サービス付き高齢者住宅に賃貸で入ることをお考えください。もし、ご家族が近県にいらっしゃるのでしたら、二代目に現在の家を貸し、その賃貸料で高齢者住宅の賃料に使われてはいかがでしょう。
一族の家計としてのキャッシュフローは
二代目が支払われている現在の賃貸料をご両親に払い、それを原資として高齢者住宅の賃料に当てることに為ります。全体では大きな支出と出費は無くなります。
もし、新しく住宅を購入すると、一族の家計に、新しい住宅資産が増えますが、負債も増え、住宅ローンの返済という、新しいキャッシュ・アウトが発生します。
そして、一代目が介助や介護のために自宅から高齢者用施設に入ることに為れば、そこでも継続的なキャッシュ・アウトが発生し、一族の家計負担は極めて大きくなります。
一代目の住宅があるから、売却できるのではとお考えになろうかと思いますが、思っていらっしゃる値段では売れないのが実情です。
不動産の基礎知識として、ご自宅の価値は建物を除外します。何故ならば、建物は25年で償却するという慣習があり、25年でゼロ円評価になります。従って、売却の多くは土地の値段だけで売買されます。ましてや、建物は取り壊しが必要ですので、ご自身で取り壊しをするか、または、その費用を予め引いた値段で売買することに為ります。
一方で、その一代目の住宅をリニューアルして、若いご家族が入ることで、リニューアル費用というキャッシュ・アウトはあるものの、一族トータルでの支出は節約できますし、住宅ローンという大きな負債は抱えなくて済みます。
なお、二世帯住宅はよほどのことが無ければお勧めしません。
何故ならば、健康寿命までの時間はとても短いのです。
ご一緒に過ごす時間は短く、結果として、2代目の手を煩わすことに為り、その負担は測りきれません。そして、空き家がこれだけ多いのですから、賃貸収入を得るという困難さが付きまといます。
一代目として、そのような負担を息子さんや娘さんの配偶者に負わせても良いのでしょうか。それよりも、3世代の将来にわたる、ライフプラン表・キャッシュフロー表・バランスシートを作成して、どの様にすれば、ご家族の豊かな生活が可能かお考えになっては如何でしょう。
新ファミリー一族とは下記のような家族を指す言葉として著者が使用しています。
次回は、住宅購入は極めて高いリスクをはらんだ投資になることをテーマとします。
文責
FP学会会員
独立系顧問料制ファイナンシャル・アドバイザー
オフィス マイ エフ・ピー 代表 吉野 充巨
【保有資格】
ファイナンシャル・プランナー:日本FP協会認定CFP®
日本証券アナリスト協会認定 プライマリー プライベート・バンカー
宅地建物取引主任者 (東京)第188140号
ロングステイ財団登録ロングステイアドバイザー&登録講師
独立系顧問料制アドバイザーとは
http://profile.allabout.co.jp/w/c-64005/
http://mbp-tokyo.com/officemyfp/column/12298/
http://www.officemyfp.com/komonryouseiadviser.html
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